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260 村人、二十九階を制圧する。

 

 誤字脱字修正だけでなく設定の修正にも手を出しました。


①SP



 元々、キュアに低レベルクリアをさせたくて 『攻略wikiを見れないキュアはSPを稼げないので、スキルを得づらい』 という風に遣りたかったのですが……攻略wikiを見れないのなら、そもそも装備を効率よく集められない事に後から気付き、完全な 『死に設定』 に成っていました。

 のでSPは撤廃し、防御系スキルならば

『○○回ダメージを受けると○○スキルがスキルボードに解放、SPを1ポイント消費して会得』 ではなく、

『○○回ダメージを受けたその場でスキル会得』 に変えました。



②魔法名



 【火球】(ファイヤーボール)【水球】(ウォーターボール)【雷球】(サンダーボール)───


 【火柱】(ファイヤーピラー)【水柱】(ウォーターピラー)【雷柱】(サンダーピラー)───


 などと【球】×5【柱】×5【盾】×5───といった、属性分全てを会得させるより、【属性】+【形状】とした方が纏まりが良いだろうと、変えました。


 ストーリーに変化は有りません。

 

 

「え、延々と、武器や鎧だけが落ちているぜ……」


「私……この光景、夢に見そうよ……」




 バーンとオードリーの兄妹の異母兄、外交官のヘップ。 彼は、隣国を怒らせてしまった自らヘマを取り返すために……隣国敷地内にある塔を占拠した(・・・・)【黒鼠教団】と思わしきラットマンを退治せよという命令を出した。

 その数、私設兵団の10倍以上。


 兄妹と私設兵団を助けるため、ラットマンで犇めく六十階建ての塔へ突入するキュアとチェンと朱雀達。

 絶望が広がりゆく私設兵団の前で、【輝くトラペゾヘドロン】の必殺技である【闇をさ迷う者】を放ったキュアだったが…………現実ほんたいの朱雀の、神たる魔力が剣の中に満タンまで入っていた所為で塔の半分近くまで【闇】が浸食しラットマンを魂ごと消滅させていった。


 そのあまりに恐ろしげな光景に、血の気が引いている私設兵団の面々。

 しかし、当の本人キュアは───




「三鬼と山のような餓鬼を全滅させた、あの時ですらまだ全力じゃ無かったんだなあ」


「あ、アレでかー……。

ソレを満タンにしちゃうって、やっぱ朱雀って神様なんだなー」


「主様との愛の結晶ですね。

……ふにゃ♡」




 ───と、ノンビリした物である。

 発動できる状態の【闇をさ迷う者】は、貯めた生贄のエネルギーを攻撃距離か攻撃威力に振り分けられる。

 前回は攻撃力、今回は距離に大きく込められた。




「き、キュア……その剣大丈夫なん?」


「あまり大丈夫では無い……な。

大量のスキルを得るチャンスを失ってしまった……」


「そ……そうゆう意味ではないのである」




 ラットマン一人一人は、然程強い訳ではない。 その上で、この地獄絵図の有り様だ。 ドン引きする兄妹と私設兵団団員達。

 然れど【ドラゴンハーツ】の各地を旅し、奇想天外なモンスターや攻撃手段(スキル)を見てきたキュア達にとって、【輝くトラペゾヘドロン】など驚嘆の一つでしかない。

 オードリーとバーンの恐れも、理解は出来るが……恐れなどで一々立ち止まっていては魔ナシなどヤっていけないのだ。




「主様。

三十階が、此奴等ラットマンの生活場であったようです。

炊事・医療・睡眠など、休憩に必要な施設が粗方揃っております」


「そうか、二十九階の敵は?」


「二十八階までの敵を、【闇】が断末魔すら上げさせず静かに魂を刈り取っていったので、階下の異常に気付いてすらおりません」


「この飯時(夕暮れ)なら、下の階より上の三十階に意識が向いているよな」


「仰る通りかと」




 ならば暗殺か。

 8歳の子供ころから一人で魔物退治をさせらてきたのだ。 今や【屈むと隠伏】【不意打ち攻撃力UP】も有る。




「皆は合図が有るまで、ココ(二十八階)で待っててくれ」


「キュア……アタシも───」




 泣きそうなオードリーの顔は。




「……ううん、頑張ってね?」


「ああ」




 キュアを信じる笑顔と成る。

 オードリーやバーンは、部外者であるキュアに任せっきりに成る自分達を恥じるが───コレはキュア(プレイヤー)に、責任が無いとは言いきれない。


 【ドラゴンハーツ】がフルダイブ型VRである以上、痛みや苦労を増やすだけの低レベルクリアなど望むプレイヤーは少ない。

 他のプレイヤーが居る(・・・・・・・・)環境に(・・・)魔物など(・・・・)居ないのだから(・・・・・・・)


 故に他のプレイヤーは、攻略wikiで装備スキルを集め、各イベントの適正スキル数を守り、現実では出来ないパワープレイを楽しむプレイヤーが殆んどであり…………キュアのように装備スキルを効率よく集められないプレイヤーなど、制作側にとっては想定外に近い。


 しかもキュアが下手に低レベルクリア出来てしまう実力が有る所為で、キュアの仲間達は要らぬ苦戦を要求されてしまうのだ。




「キュアー……」


「大丈夫だ、チェン。

三十一階以上からは、チェンにも最初から頑張ってもらう」


「おお、殺るぞー!」


「主様の御健勝を」


「ああ」




 唯一、キュアに付いてこられる魔人族の少女チェンと、下僕を名乗る神の分身朱雀。 彼女達は、キュアを心配していない。

 いや、正確にはキュアが負ける所を想像出来ないだけだ。 キュアの強さを常に一番近い場所から見ている二人だからこそ、付いてゆきたい気持ちをグッと抑えられている。



◆◆◆



「(敵は十三人か)」




 この塔は、一階と様子の分からぬ最上階の六十階を除いて全階同じ造りである。 持ち込まれた棚や机などの配置が違うだけだ。




「(先ずは一人、次いで二人、三人)」




 他のラットマンの意識から外れたラットマンを狙い、暗殺してゆくキュア。 生き残ったラットマン達が、自分達の異変に気付く頃には……彼等は半数に成っていた。

 何やら、警戒の声が上がる直前に───




「───【強化倍加】(ヘイストインクリース)




 思考速度に反射神経や運動神経を一定時間に増幅させる【強化】(ヘイスト)に、【倍加】(インクリース)を重ねるとMPを大量に消費し、効果時間が減少してしまう。

 その代わりに、各神経の伝達速度は大幅に増加する。


 キュア自身の運動神経と相まって、その速度は常人には捉えられぬ程となり……残りのラットマン七人を瞬殺した。

 

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