25 村人、盗賊のボスを撃破する。
「ボスだから、側近より良い服を着ている……というより」
もう相当数、【弾丸】を食らわせたというのに……未だ倒れない盗賊団ボス。 キュアは、ずっと気になっていた 『ある可能性』 に賭ける。
「弓矢は得意では無いから……剣で!」
ボスの【弾丸】を掻い潜り、高速接近するキュア。 最後の【弾丸】を横に、では無く前へ避けてボスの脇……杖先の死角へと移動する。
「食ら……ぐうっ!?」
キュアの剣撃と同時に、ボスから放たれたボスの周囲から吹きだす『炎の円陣』。 マトモに食らったキュアは大ダメージを受ける───が……既にもっと大きなダメージを受けていたボスは、キュアの一撃に耐えられずに倒れる。
「はあ……はあ……ぎ、ギリギリといった所か。 だがやはりボスには、【弾丸】が効きにくかったんだな」
弓矢ラットマンに【弾丸】を当てた時は、『ボウッ!』 という音と共に小爆発していた。 しかしボスに当たった時は、『ポフ』 という小さな音と多少埃が散るのみ。
服の能力かスキルか……【弾丸】、もしくは魔法そのものに対して耐性が有るとふんだキュアは、剣撃に切り替えてみたところ───予想は当たりだったらしい。
「さっきの炎の円陣も魔法か。 羨ましい魔法だが……まあ良い。 新しい杖だ、杖」
【鑑定】の効果により【敵視の杖】という名の杖を手にいれたキュアは、ソコでハタと気づく。
「なんと唱えれば良いんだ?
『敵視』 …………駄目か」
【弾丸の杖】の【弾丸】は、【ドラゴンハーツ】を始めてすぐ共に脱走した元囚人の男が教えてくれた。
だがこの【敵視の杖】は───
ボスはキュアが現れる前から魔法名を唱えていたので、今では魔法名を知る手段が無い。 嘆きつつ……ボスや側近の装備を剥ぎ、アジトの財宝を探るキュア。