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244 村人、芋の洞窟へ到着する。

 

「───お、おうっ!?……おおぅ……」


「主様……緊張なさらず、朱雀に身の全てを御預け下さいませ」


「そ、そんな事を言われても…………ふぁっ!?」


「ああ、主様の……こんなに硬く───」


「朱雀、俺はもう…………」


「大丈夫です、共にイキましょう」




 異国に住み着いた八部伯衆を退治する事に成ったキュア。


 道は舗装されておらず、山にトンネルなど無く、魔物や盗賊が出没する世界…………徒歩や馬車では移動に時間が掛かり過ぎる。

 故に火の鳥形態の朱雀が、キュアを背に乗せてマッハ飛行をしていた。




「うう……高所恐怖症は克服していたと思っていたんだがなあ」


「私の周囲を蜃気楼(熱レンズ)で囲んでおり、地上からは観測出来ないようにしていますが……望遠鏡を考えると、この高度に成ってしまいます」


「望遠鏡?」


「主様の言葉だと、魔道具の一つです。

月の表面すらハッキリ見えますね」


「そ、そんな魔道具が有るのか」




 現在、キュア達が居るのは成層圏と呼ばれる高度である。

 大地が円く見えており、この世界の人類にとって初の光景なのだが……キュアは【落下速度低下】(タラリア)で克服したと思われた高所恐怖症が再発しかけており、朱雀の背中に獅噛みついていた。


 そんなキュアの気を紛らせるため、色々と語りかける朱雀。 擬似セ───いや、本気でキュアを心配して声掛けしている。 のだ。




「主様、高度を下げます。

私がリード致しますので……安心して御身を任せて下さい♡」


「た、頼む。

ああ……あああ、朱雀───」




 朱雀の悪ノリがヒートアップする程にキュアの反応が良い。 本当は人間形態で運びたい所だが……この天然の主様は、包み隠さず己の妹へ語るだろう。 然為れば、あの嫉妬深い妹と喧嘩に成ってしまうに違いあるまい。

 為れば、今は現状で満足としよう。


 そう結論付け、朱雀は目的の八部伯衆が居る場所の近辺へと近づき高度を下げる。




「主様、此の高度だと【ドラゴンハーツ】で飛び降りておられる崖ほどの高さですよ」


「う、うん。

ちょっと恐怖症が振り返した感は有るが…………大丈夫だ」


「ではもう少し高度を下げたら、【落下速度低下】(タラリア)で飛び降りて下さい」


「わ、分かった」




 ややスパルタな朱雀だが、高所恐怖症が完全に再発して困るのは朱雀もキュアも一緒だ。 ある程度の高度が下がり、朱雀の背から飛び降りたキュア。

 【落下速度低下】(タラリア)を発動させ、無事に着地したのを確認してから朱雀も火の鳥から火燐へ、火燐から人間形態でキュアの隣に立つ。




「主様、御加減は?」


「……大丈夫、だろう。

うん。 この高さでも、俺にはスキルが有ると実感すれば恐怖症が溶けゆく感触があるよ」


「良う御座いました。

早速、八部伯衆の下へ向かわれますか?」


「【ドラゴンハーツ】ならマップボートを確認して、街とかを探す所だがな。

……行こう」


「主様の、良しなに」




 キュアが着地したのは異国、芋の化物だという八部伯衆の一匹が居る洞窟の近く。


 ちなみにキュアが住むシン王国とこの国は親交があり、基本地球でいうパスポート的な物は必要ない。 然りとて入国の手順はあり、『横入り』 したマナー違反相当となる。

 違法では無いが一応、犯罪者ギライのキュアには知らせていない。




「本当に何も無い、未開の地……って感じだな」


「ええ、一番近い人工物は数年に一度使うような物が9km先に。

人間が定住している場所は13km先に在るような僻地です」


「まあ岩亀のいた、【アジルー村】の森も似たようなモンか」


「はい。

しかし、岩亀もそうですが僻地に住むから人間に興味が無い訳ではありません」


「ヘイストに……というか、人間の女に執着していたな」


「元々、八部伯衆は魔王や勇者の時代の人々を食したり奴隷にした人害の生物の総称と御理解下さい」


「【黒鼠神】や【餓狼神】みたいだな」


れよりタチが無いのは、繁殖する事でしょうか」


「えっ!? 八部伯衆って、八匹じゃあ無いのか!?」


「危険生物が八種、種の中で異常成長した個体を八部伯衆と呼びます。

ですので、八部伯衆格の個体が出ない時代や数匹出る時代も有りますね」




 前回の岩亀の八部伯衆は、通常の岩亀の【変異進化種】という生物で、その異常成長した個体らしい。 今回倒す予定の芋も、異常成長しなければ唯の栄養価の高い巨大芋にすぎず、食す国も有るという。




「神が八部伯衆含めて、個体を滅する事は在っても種を絶滅させる事は在りません」


「人間から見たら害獣でも、神から見たら自然界の一種だからかな」


「其んな所です」




 巨大なチカラを持つ生物を絶滅させると歪みが生じるという事だ。




「見えてきました、あの洞窟の先ですね」


「さすがに現実は、【ドラゴンハーツ】のように分かり安い目印や移動しやすい道なんか無いな」




 不意に、朱雀が寂寥を感じる目になり……笑う。




「───羽根娘なら……笑いながら一番乗りしようとするのでしょうね……」


「朱雀?」


「いえ、進みましょう」

 

 

 前の連載では割と下ネタを書いてており、コッチでも偶に書きたくなるのですが……書いたら書いたで、『大丈夫か!? 遣りすぎてないか!?』 と不安に成るのです。


 何が下ネタか分かんない人は……Rー15を読めない年齢かも?

 

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