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227 村人、【扉】を調べる。

 

「【輝くトラペゾヘドロン】はキューブ化してあるのに【扉】は見えるんだな」


「やはりこの扉は早急に解明しておくべきかと」


「アッという間に遠くに行けたら便利だしなー」




 【ロシマ】領主からの【ホルモンDX】を隣接領地から購入してくる依頼サブイベントを受けたキュア達は、目的地…………ではなく、その反対側の道へ進んでいた。


 街の危機という火急の用も終わった。 領主の依頼サブイベントは、キュア達の移動速度ならば走っても期限内に間に合う。

 ので、何時までも放っては置けない虹色の球体───長距離瞬間移動システム【ヨグソトース】を調べに着ていたのだ。




「朱雀」


「周囲に、人間種その他知的生命は確認できません」


「よし、入るぞ」




 【ロシマ近辺の扉】から、一瞬の目眩とともに【光燐神殿の扉】へと瞬間移動したキュア達。 己等の身と周囲の安全を確認し、【扉】へと向きなおる。




「何度体験しても、恐ろしい能力だな」


「だけど便利だぞー」


「ああ、恐ろしいからといって利用しないというのは馬鹿馬鹿しい。

危険なのかどうかは調べないと分からんしな」


「主様の仰有る通りかと。

球体の数は……増えたり減ったりしていますね」


「球体に風景が写っている球体の数は変わらんようだ。

オードリーとバーンの居る【ソネミタ城下街】近くや、イーストンとシーナにゾリディアの居る【名もなき集落】…………」


「【邪竜の湖】に……【魔神神殿】も有るなー」


「我々の知っている場所ばかり……というより、我々の知らない場所への扉は使用不可かと思われます」


「ソレが空白の扉か」


「ええ。

この国(ドラゴンハーツ)の神が【扉】を調整したのですから……マップボード(ゲームシステム)と繋がっている可能性が」


「成程なあ」


「ナルホドなー」




 他のゲームで言うところの、転移呪文・ポータルゲートといったシステムである。




朱雀(神様)の大魔力でも、瞬間移動は無理なのか?」


「申し訳ありません主様。

火の神である私は、火に特化しておりますので……。

『上位神の妹』 なら、可能なのですが」


「上位神の妹?」


「絵本に書かれた、魔王四天侯の一人です。

あのムッツリは、主様でいう【バックステップ】を超長距離で行えますので」


「それ……伝説の大魔法使いの事じゃ無いか?」




 遥かなる大昔、瞬間移動など現在の人間には絶対に行使不可能な魔法の数々を操ったとされる人物である。




「神様の一柱だったのか……」


「残りのシテンコー? は、朱雀の姉ちゃんと妹かー?」


「ええ、不本意ながら」


「朱雀、家族が居たのか。

紹介し───」


「───ませんよ?」




 朱雀が笑う。

 火の神なのに、室内の気温がガクンッと下がった。 この話は終わりだと、アイコンタクトで了承しあうキュアとチェン。



◆◆◆



「キューアーさ~~ん♡

最近、ご無沙汰ですね~?

釣った魚に用は有りませんか~?」


「意味が分からん!」




 キュア達は【扉】(ヨグソトース)の行き先を、【ソネミタ城下街】の近くにした。


 とある御貴族様の私設兵団の詰所に常駐する女性……『ホタテ』 に用が有るからである。

 彼女は悪い人間では無い。

 いや、寧ろ仲間思いでキュアにも色々してくれる。 善い人間だろう。

 ソレでも。

 キュアは彼女が苦手だ。




「さあさあ~。

オードリーさんも居ませんし、我が家へ~♡」


「こ、ココで済む事だから」


「仲間達の目の前で致す(・・)のが御好みですか~?」


「助けてくれ……」




 キュアを揶揄からかうのが大好きっぽいホタテ。 悪意ある揶揄いには慣れっこのキュアも、如何すれば良いか分からず仲間に助けを求める。




「仕様が有りませんね、主様は」


「しょーがないなー、キュアはー」


「トトカマ、指輪の魔法名を売りなさい」


「トっ───!?」


「トトカマって何だ?」




 朱雀の台詞に、ギクッとなるホタテ。

 己の人生の中で、全く縁の無かった単語にキョトンとするキュア。




「カマトトの反対語ですわ、主様。

カマトトとは、知っている(・・・・・)のに知らないフリ(・・)をする女の事で───」


「わぁ~~っ!?

わぁぁ~~っ!!?」


「所詮───の───娘も───何も知ら(・・・・)───癖───事情通ぶりた(・・・・・・)───……だけの小娘なのですよ」


「~~~~っっ」


「「???」」




 耳まで赤くなるホタテ。

 首をかしげるキュアとチェン。


 ホタテも、特定の男には(・・・・・・)色々と大人ぶりたいのだ。 男性私設兵団員からヒソヒソニヤニヤと聞こえてきて、よりホタテが赤くなる。




「す、朱雀さん……性格、ちょっと変わりましたか~?

以前キューブから出現した時は、もちょっと超然とした雰囲気がありましたが~……」


「神の魂をムリヤリ人間大にすると、如何しても 『設定した性格』 に引っ張られ易いようですね」


「引っ張られる?」


「本体朱雀は、己の中の 『主様への忠誠心』 に人格を写して【魔神城の鍵】の朱雀わたしを作ります。

その瞬間の私は、主様への忠誠心の塊なのです」


「ふむ」


「ですが、ココ(ドラゴンハーツ)で活動するウチに主様が大切に想うモノも……また大切に想うように成ってしまいます」


「チェンとキュア、仲良しこよしだからなー。

その中に入りたく為るんだなー?」


「……まあ、そういう事ですね」




 今度は、朱雀がチェンの台詞に赤くなる。 子供っぽいと言えば子供っぽいからだ。




「ふぅ~……。

朱雀さん、御互いコレ以上は不毛ですよね~?」


「……そうですね」




 疲れた感じで終着する朱雀とホタテ。 「中々ヤルじゃねえか」「オメェもな」とは……ちょっと違う。




「よく分からんが、終わったのなら指輪の魔法名を買いたいんだが」


「分かりました~。

何の指輪ですか~?」


「各種【加護の指輪】と【会心の指輪】だ」


「あらら~。

【加護】はともかく【会心】は珍しいですね~」


「(でも分かるんだなあ……)」




 異世界からもたらされた金属【オリハルコン】製なのに、その魔法名は分かるらしい。 然りとて異世界そのものは知らなさそうだ。

 コレも【ドラゴンハーツ】のアレ(謎常識)だろう。




「お値段はコチラですよ~」


「うっ、高いな」




 ダイの依頼サブイベントやジュードの依頼サブイベントのリザルトは、かなり破格の報酬であった。 魔物の素材、宝箱も沢山あった。

 それでも。

 【会心の指輪】の魔法名は相当に高かった。




「過去最高額の杖魔法、ケルキオンの魔法名とほぼ同額か…………」


「ヘルメスから貰った杖ですか。

どちらも異世界の (設定的には、) 神のチカラと見るべきでしょうか」


「だよなあ……。

ケルキオン、狙ってたんだが仕方ない。

【炎加護の指輪】と【会心の指輪】の魔法名を買おう」


「はいは~い。

【ファイヤブースト】と【クリティカル】ですよ~♡」


「「……はい?」」




 目を丸くする、キュアと朱雀。

 朱雀は、【魔神城の鍵】の機能限界値を超える程に。




「どしたー? キュアー、朱雀ー?

オモシロイ顔してるぞー??」


「あ……えぇ?」

 

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