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205 村人、地雷を踏みかける。

 

☆【僕と君の鰐隠し】クリア

『金1000』


☆アビスゲータを退治

『SP3』


☆子供が一人生き残る

『SP2』


☆子供が二人生き残る

『虹色樹の銛』


☆アビスゲータの腹皮を部位破壊する

『アビスゲータのワニ革』




「やっと終わりか。

……って、また【ドラゴンハーツ】の闇か」




 行方不明だった子供たちを、怪我なく集落へと送り届けたキュア。


 大人たちは子供たちを叱りつつ……彼等が湖に行った理由が、余裕が無さすぎた自分たちだと聞いて反省。

 集落の【ゾンビ化】が治った御祝いとキュアたちへの歓迎会を兼ねた、祭りを開くことになった。


 料理に自信のあるメンバーは調理を。 腕に自信のあるメンバーは狩りに出掛け。


 子供を探してきたキュアと朱雀は、休憩してろと祭り会場の一席に座らされた…………所で、サブイベントクリアの合図。

 リザルトボードが出現した。

 子供の死を暗示する表現に、キュアがゲンナリするも……これは現実でも有りうる事件だと気をとり直す。


 【虹色樹の銛】は、子供たちが魚を採るのに使っていた銛である。 子供でも使える程軽く、かつ大人の戦闘にも耐える頑丈さも併せもつ樹から作られている等々の情報を【鑑定】ボードでチェックしつつ、ほか様々なボードを眺めていると。




「……ん?

【裁縫】に、【シーナのワニ革ドレス】が出てきた」


「へー。

ワニ革なんて持ってんだなーキュア」


「チェン、鰐が何なのか知っているのか?」


「鰐が住み着いてる河って、けっこー世界中にあるからなー」


「そ、そうなのか。

物知りだなあチェンは」


「お、おー! チェン物知りだぞー!?」




 キュアの仲間───【ドラゴンハーツ】のシステム的には『御供』扱いである魔人族の少女、チェン。

 善なる魔人族はもはやチェン以外の存在は怪しい。


 【名を失いし神】が邪神ならば悪神であろう【魔神】を崇め、世界征服を目指していた悪しき魔人族は 【魔神】と共に異次元へ封印されている。


  一度はチェンも悪しき魔人族となり、異次元へと行こうとしたが……キュアと付き合ううちに思い留まり、キュアの仲間となって魔人族を探しているのだ。




「ワニ革は、お金持ちのバッグとかお財布に成るらしいなー?」


「そうか……チェンは欲しいか?」


「布のやつで充分かなー」


「俺もだ」




 世界中の事を知るというチェン。

 だが実際には亡き魔人族の父母と、世話に成っていた光燐族村長老の受け売りである。

 あまり世間擦れしていない子なのだ。




「じゃあワニ革のドレスを縫おう。

チェンとゾリディアには、もう服を縫ったしな」


「シーナ、喜ぶと良いなー?」


「ああ」




 キュアが【裁縫】スキルを発動させてシーナの服を縫っているのを眺めていたチェンは、以前キュアが『自分の服を縫ってくれない』と朱雀が拗ねていた事を思いだす。




「朱雀も何時かキュアが縫ってくれるぞー」


「そうですね」




 しかし朱雀は事もなく受けながす。




「…………朱雀?」


「どうしました、羽根娘?」




 一見、普段通りの朱雀。

 しかしチェンは。




「……お、オマエ誰だー!?」


「…………」


「チェン……」




 現在の朱雀を、別人と断じたようだ。


 同じ【魔神城の鍵】の身体。

 同じ朱雀の魂。

 普段通りに接する分には問題ない。

 ……だが。


 朱雀がキュアの服を欲しがらないのもそうだが……もっと僅かな、チェン自身ですら説明できないレベルの違和感を感じとったらしい。




「……チェン。

彼女は、朱雀本人で間違いない」


「そ、そうなのかー?」


「だが……今の彼女は、俺と初めて会った頃の朱雀ソックリなんだ」


「…………」




 無表情───とは言い難い……親しい間柄なら気付ける、困惑の表情の朱雀。




「朱雀、俺からどうこう問うつもりは無いが……チェンには説明してやってくれないか?」


「主様……」


「……朱雀ー」


「羽根娘……」




 チェンは嘗ての朱雀に懐いていた。

 ゴッコとは言え……母子の真似事をする程度には。




「…………。

嘗ての私は、人間に近付き過ぎていました」


「確か……朱雀ってキュアの国の神様なんだっけなー?」


「ええ。

その使命は、主様を勇者か魔王───

『精霊を統べる者』にする事です」


「せ、精霊を……統べる者?」




 ココからはキュアも知らぬ話。




「『せいれい』って何だー?」


「コッチには居ないんだっけな?」




 居るには居るが、現実ほど人々との生活……すなわち魔法には密着していない。

 滅多に姿を見せず、強いチカラを持つ零落神や神秘的な魔物扱いである。




この国(ドラゴンハーツ)と違い、我等の故郷(げんじつ)の人間は精霊に魔力を渡して、精霊が魔法を使います」


「キュア、フツーにこっちの魔法を使ってるぞー?」


「其れこそ、主様が『精霊王』で在らせられる証しの一つ」


「「精霊王……」」




 何やら大袈裟な単語に、こそばゆいキュア。




「主様は……この国へ、精霊王と成られるべく武者修行の旅に来ておられます」


「武者……ま、まあそうとも言えるか」


「武者修行……!

キュア、カッコいーな!?」


「ですが……私は反対でした」


「反対?

朱雀はキュアに、精霊王に成ってほしくは無いのかー?」


「まさか。

ですが、私の上位神が主様の武者修行を決定したので部下としては飲まざるを得ませんでした」


「なんで反対なんだ?」


「当時は外国(VR)など、信用していなかったからです。

故に私は、別の強く成られる手段を用意していました」


「別の手段?」


「房中術です」




 クリティカルが絶対怒るやつ。

 だが良い子のチェンと、良い子と同じ感性のキュアには分からない。




「火の精霊、水の精霊、土の精霊、風の精霊、雷の精霊、樹の精霊、花の精霊…………大精霊である私も。

目眩く精霊たちの宴ですよ」


「ソッチだったら、クリティカル達と同じ魔法が使えたのなら……ちょっと惜しい気もするなあ」




 クリティカルが超怒るやつ。

 本人の前で言わない事を願うばかりである。




「チェンにも、ぼーちゅーじゅつってのを出来ないかなー?

チェンもキュアを強くしてあげたいぞー」


「その時は頼むよ、チェン」




 クリティカルが大激怒す( 以下略。)




「上位神が、この国(仮想現実装置)を用意した以上……私は主様がこの国で強く成られる補佐をせねばなりません」


「以前の……皆が懐くような朱雀では、俺の補佐が出来ない───と」


「そんな事ないと思うけどなー……」




 キュアも同意見であるが……朱雀は、人間に近すぎる前回の朱雀では役に立たないと思っているらしい。

 

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