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19 村人、良い御飯を食べる。

 

「そう、ヘイストに会ったの……」


「……ああ」




 クリティカルの仕事終了時間まで待ち、一緒に領主館を出たキュア。 初任給をクリティカルの為に使いたかったキュアは、領主館の使用人仲間から聞いたソコソコのレストランへと誘う。




「領主様は、眼が見えなくても出来る仕事を探しておられるのだけど……中々ね」


「ソレで領主様はヘイストを、見知らぬ人間はこない 『筈』 の館内を警備させていた訳か」


「そういう事なの……。

伝え忘れてて御免なさい、兄さん」


「いや……【仮想現実装置】( パーシテアー )を手に入れる前の俺も、クリティカルへ似たような迷惑をかけていた。

ヘイストを悪く言う資格は無いさ」




 アジルー村の人間の程度の低さ、クリティカルの苦労、そういった全てを知らなかった自分は偉そうには言えない。

 キュアは自嘲気味に笑う。




「ソレより……てっきりクリティカルは領主館でも家事手伝いをやっていると思っていたんだが……警護秘書だって?」


「領主様に付いて、怪しい人間が居ないか見るだけよ」


「ソレでも凄いさ。

俺より強いクリティカルにしか出来ないんだろうな」




 キュアは素直に誉めたつもりだったが……クリティカルは、キュアの言葉に渋面をする。




「な……何だ?

どうした、苦しいのかっ!?」


「───御免なさい!」


「何がっ!?

クリティカル、意味が解らんぞ!?」


「……村に魔物が襲ってきた時、私は役に立たなかったから……。

兄さんが危険な目に逢っているのに私は…………」




 魔物や盗賊がアジルー村を襲ってきた時、キュアが肉壁となり侵入を防いだ。

 その時に戦ったのは、キュア一人。

 強い魔力を持つ筈のクリティカルは……戦っていない。




「し、仕方無いさ。

クリティカルの魔法は守備向きで、攻撃向きじゃ無いんだから」


「でも……」




 巨大な魔力を持つとは言え、クリティカルはどんな魔法でも使える訳では無い。

 クリティカルが得意とする魔法は自分の周囲3m程に固定式の防壁を張るものであり、『不動のクリティカル』 が彼女の二つ名である。 攻城兵器の一撃すら耐える彼女は貴族達で取り合いになった程。 自分と隣人を守る魔法が得意なのである。


 言うなれば……クリティカルは 『砦』 であり、キュアはその砦の外に出て戦う 『戦士』。 魔物相手に全く役立たない……とは言わないが、攻撃はできない。 魔物殲滅が目的の、キュアの役には立たない。


 アジルー村を襲うような 『弱いが、数の多い』 魔物相手には結局火力─── 『攻撃は最大の防御』『殺られる前に殺れ』 が、大事になってくる。 弱い魔物相手に防御する暇が有るなら止めを刺せ。 その攻撃力が無いなら足手まとい、という訳である。




「大丈夫、分かっている」


「……有難う、兄さん」


「さっ、せっかくの良い店だ。 楽しく食べよう」


「……ふふっ、そうね」

 

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