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188 村人、妹を心配する。 いろんな意味で。

 

「クリティカル……震えているのか?」




 ヘイスト親子もいる、夜のキュア達の部屋。


 キュアは、魔力欠乏症の原因を抱えるクリティカルへと【仮想現実装置】(パーシテアー)の使用を進めたが……。




「───御免なさい!

兄さん、ヘイストっ!」


「な、なんだクリティカルっ!?

どうした!?」


「クリティカル!?」


「クリティカルさん……」




 突然ワッと泣きだし、キュアとヘイストに謝罪するクリティカル。

 慌て、事情を聞きだそうとする二人を……ヘイストの母親が制止し、クリティカルを落ち着かせる。




「ココにアンタを責めるモンは居ないよ?

さあ、涙を拭いておくれ」


「……………………」




 幾分か落ち着き……ポツリポツリと語りだすクリティカル。




「兄さんとヘイストが貧民街でアシッドに襲われた『あの時』……その頃、私は【仮想現実装置】(パーシテアー)で遊んでいたのよ」


「クリティカル……」




 キュアが【仮想現実装置】(パーシテアー)を大事にしているように……クリティカルもまた、兄の人生を良い方に変えた【仮想現実装置】(パーシテアー)を大事にしている。

 【仮想現実装置】(パーシテアー)の事をもっと知りたかった。


 休日を使い、【仮想現実装置】(パーシテアー)の機能を調べつつ、【ドラゴンハーツ】以外のVR(アクティビティ)で遊んでいた時───アッシドがキュア達を襲ったのだ。


 騒ぎを聞きつけ、【仮想現実装置】(パーシテアー)を中断して玄関に行ったクリティカルが見たのは……全身キズだらけのヘイストと、血塗れ火傷だらけの即死していなかったのが不思議な程の重症だったキュア。


 アシッドのチカラを考えれば、自分がキュア達に付いていたとて役立て無かったかもしれない。

 ソレでも。

 ソレは結果論だ。


 当時のクリティカルは酷く己を責め……そして平穏が戻った今、表面上は普段通りを装いつつ───罪悪感が燻り続けていた。




「兄さん……ヘイスト……」


「クリティカル……馬鹿だなあ」


「そうだぞ。

キュアの介護をしていたあの時、暴走気味だったのは……そんな理由だったんだな」


「暴走? クリティカルが?

ヘイスト、ソコんとこ詳しく」


「兄さん!?」


「くくく……実はな」


「へ、ヘイストっ!?

ちょ、待っ───」




 泣くのも忘れ、顔を赤らめるクリティカル。

 しんみりするのも忘れ、笑い……考察するキュアとヘイストと母親。




「クリティカル、心配するな。

悪いのはアシッドで、クリティカルは【仮想現実装置】(パーシテアー)を俺の為に調査してくれていたんだ」


「兄さん……」




 少しからかいが含まれていたキュアの笑みが、力強い物へと変わる。

 クリティカルがずっと見てきた、ずっと頼りにしてきた───兄の顔。




「遊びで結構。

ヘイストも言ったが……俺達兄妹は【アジルー村】や【教会】の人間に煩わされ続けて、遊ぶことなんて無かったんだ。

もっと遊ぼう」


「自分達も、クリティカルの所為でアシッドにヤられた……なんて言うつもりは無い。

キュアの怪我は自分にも責任は有る。

しかし、調査成果は聞きたいな」


「そうだねぇ。

アタシ等は、キュアさんの魔法やスキルを通してでしか【仮想現実装置】(パーシテアー)を知らないからね」




 曰く。

 中に『(ヴァーチャル)(リアリティー)』と呼ばれる『夢の世界』がある。


 曰く。

 遊び(VR)を通じて魔法を使えるように成る、最上級魔道具。


 曰く。

 その真価は、魔ナシであるキュアにしか発揮できない。




「……分かったわ。

あの日、私は【ドラゴンハーツ】以外のアクティビティを調べていたの」


「【ドラゴンハーツ】以外?」


「5分程度で終わる、『ババ抜き』とか『リバーシ』とかか?」


「……『綱渡り』とか」


「……『深海』とか言うのも、そうだけど───」




 『綱渡り』はキュアに『高所恐怖症』を、『深海』はクリティカルに『サメ恐怖症』を。 どちらも、キュアとクリティカルのトラウマと成ったVRアクティビティである。

 ……キュアは【ドラゴンハーツ】内の宝物欲しさに恐怖症を克服したが。




「ソレ等は全部、視覚ダイブ型っていうのなんだけど……【ドラゴンハーツ】以外に、フルダイブ型アクティビティが有ったの」


「そうだったのか……。

俺は、一切他のアクティビティはプレイして無かったからなあ」


「どんなアクティビティなんだ?」


「…………」


「……クリティカル?」




 かなり微妙な表情のクリティカル。

 敢えて名付けるなら、『珍妙』。




「う、ウィーン・ガチャーン?」


「う、うい?」




 クリティカルの例えを受けたキュア達の表情を、敢えて名付けるなら……『珍妙』。

 今、部屋の中の四人は全員───珍妙な表情を浮かべていた。

 

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