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187 村人、妹に譲ろうとする。

 

「き、キュア……?

ひ……必要な事だから、な?」


「必要って何だ……?」




 みんなの目の前で、女性用下着を縫ったキュア。 キュアはクリティカル用のお洒落な服を……と考えていたようだが───そんなキュアを嘲笑うが如く【ドラゴンハーツ】の【裁縫】スキルは、クリティカル用下着をキュアに作らせたのである。


 クリティカルも恥ずかしいが……下着だと分かるまで 「よーし見てろよ」 とドヤ顔をしていたキュアは、もっと恥ずかしい。




「に、兄さん……?

私は大丈夫だから、ね?」


「…………」


「キュアさん、下着は男女問わず身につけるモンなんだからさ」


「ほら、ウチ(さいほう室)を見なさいな。

男の針子もいるし、女の針子が男性用の制服を直しもするんだよ?

男女同権だよ?」


「───だ、男女同権……」




 やや使う場面が違う気もするが、プロに慰められて幾分か気が楽になるキュア。


 ちなみにキュアが縫ったショーツは、針子達が奪うように持ってゆき研究されていた。

 たまにキュアの所に持ってきては、「このレース部分は如何やって作ったんですか?」とか「このリボンに、どんな意志を込めたんですか?」とか聞かれている。


 意志なんか知らない。




「もっと作───」


「───りません」


「こりゃ売れるよ?」


「…………っ!?」




 悪魔の囁き。

 他の魔法スキルから出来た物と違い、この下着は実在する現実の糸布で縫われていた。

 魔力原子は使用されていないので、消滅の心配も無い。




「この『ショーツ』?

【裁縫ボード】とやらを見るに、他の種類も有るし……他の服とか明らかに防具用じゃないのも気になるねぇ」


「いやいや室長さん。

元冒険者から言わせて貰えばドロワと比べて蒸れなさそうなショーツは、お洒落以上の価値が有るよ」


「確かに。

アタシ等も椅子に座って室内でチクチク縫ってると、股がビシャビシャに成るんだよねぇ」


「「アッハッハッ」」


「…………」




 別にキュアは性差別をする気は無い。 魔ナシ差別を受けるキュアは、不当な差別が嫌いだからだ。 ソレでも、女性用下着を永遠縫い続ける仕事は……出来れば御遠慮願いたい。




「古代人のお洒落文化なんて、冒険者時代にも発見できなかったし……学術的要素も大きいんだよ、キュアさん?」


「……せめて【裁縫ボード】の服は一着ずつ縫うので、ソレで勘弁して下さい」


「残念だねぇ。

こりゃ確実に、領主内で新たなる雇用を生むんだけどねぇ……まあアイデア代ぐらいの謝礼金は、コリアンダー様に任せとくよ。

給与明細を期待しときな」




 『キュア様、女性用下着代』とでも書かれるのだろうか。 ついでに、コリアンダーもまた心労が貯まりそうだ。



◆◆◆



「キュア、取敢ずは『金儲け』とだけ考えると良いさ。

君達兄妹は今まで理不尽な苦労をし続けたのだから、その揺り戻しだと思えば良い」




 深夜。

 遅く成ったのもあり、領主館に泊まる事になったヘイスト親子。

 キュアとクリティカルの隣の客室が空いていたのでソコを使う事になり、就寝までキュア達の部屋で会話している四人。




「…………。

そうだな、ヘイストの言う通りだ。

金さえ入れば、スキルなどに頼らず良い服をクリティカルに買って遣れる」


「兄さん。 私は兄さんと居られれば、良い服なんて要らないわ。

兄さんこそ、もっと兄さんの為にお金を使わなきゃ」


「ははっ……なら二人の物を買おう。

もちろん、色々世話に成ったし命の恩人でもあるヘイスト達にもいずれ礼はする」


「気にするな」


「「「「…………」」」」




 四人の中央、テーブルの上に【仮想現実装置】(パーシテアー)が。 普段通りなら、もうキュアが被っている頃である。




「か、被らないのか?」


「その……コリアンダー様に御伝えし忘れたんだが、今の【仮想現実装置】(パーシテアー)は魔ナシでなくとも、魔法を会得できるらしい」


「そ、そうなのか?」


「朱雀の話だと、エロジジ───大工と庭師の二人はスキルを使える状態らしい」


「ど、どんなスキルか知らないが……もし自分が【ドラゴンハーツ】のスキルを使えると知ったら、絶対セクハラに利用するな」


「そうよね……」




 彼等への信頼度は絶大である。




「───で、だ。

……今日はクリティカルが【仮想現実装置】(パーシテアー)を被らないか?」


「兄さん……」


「今のクリティカルは病……といえば大袈裟だが、魔力欠乏症の原因を抱えている」


【火球】(ファイヤーボール)を撃ったら倒れかけたという奴か」




 キュアの脳が、【ドラゴンハーツ】流の魔力操作法を覚えたと判明する前。


 キュアが現実でスキル(魔力操作)を使った事に、クリティカルが一番最初に気付いた。

 ……然れど、キュアはソレを否定。

 魔ナシである自分が魔法を使える訳が無い───と、クリティカルを信じきれなかったのだ。


 クリティカルは、如何しても兄の魔ナシを否定する為に【仮想現実装置】(パーシテアー)の【ドラゴンハーツ】の中へとフルダイブ。

 【火球】(ファイヤーボール)を会得する。


 しかし、既に現実流の魔力操作が脳に焼き付いているクリティカルは───【ドラゴンハーツ】流の魔力操作に拒否反応を起こしてしまう。


 【ドラゴンハーツ】の魔法を一瞬でも使えば、魔力欠乏症と成ってしまうのだ。




「私は別に……兄さんが教会が決めた『魔ナシ』なんて制度で計れるような人間じゃないって証明さえ出来れば、問題ないわ」


「クリティカル……?」

 

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