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182 村人、アレアレする。

 

「我々は構わない」




 シーナが意識を失い、不可解な言動を取ったり人成らざる魔力を放出したり。

 解決の手掛かりを持たぬキュア達は、少しでも真実に近付くためゾリディアの故郷に行く事となった。


 だが、【ロス村】の【ゾンビ】パニックは収まったばかり。


 村民達の体調も完璧では無い。

 キュアは……そんな彼等を放って置いて、イーストンとシーナを北連山に連れてゆくというのだ。

 そんなキュアに、村民は笑顔で答える。




じかに、シーナちゃんを診てもらうべきなんだろう?」


「なら儂等は口出し出来んよ」


「二人とも、村全員の子供みたいなものだしねぇ……」




 【ゾンビ化】が回復しても、体力まで回復していない村民達は……しかしソレでも村の広場でカレーを食べてたり、談笑したりしながらイーストンとシーナを送りだす。




「キュアさんとやら、アタシ達ゃあね。

【ゾンビ】の時の記憶が有んのさ」


「えっ!?」




 その証拠だと言わんばかりに【ロス村】村長代理の産婆さんの指さす先で村長の弟だという酔っぱらいのオッサンがゾリディアに擦り寄っていた。


 【ゾンビ化】治療の時、ゾリディアの写真パネルをいたく気に入り、キスしたりしていた【ゾン───者である。

 人間に戻ったら、人間に戻ったゾリディアに惚れたらしい。

( 最終的にはゾリディアに殴られていた。)




「治療したら記憶が無くなるってんなら、ゾリディアさんとやらも記憶が無いとおかしいだろう?」


「そ……そうなのか、な?」




 その辺は……まあ、アレだ。

 アレアレ。




「何となくではあるけどね。

キュアさん達が、【ゾンビ】と化したアタシ達を守ろうとしてくれていたのは……ちゃんと分かってるよ」


「はあ……」


「だから、シーナ達の事を安心して任せられるのさ」


「い、いや……俺は貴女方の方を心配して───はあ。

分かりました、皆さんが【ゾンビ】と成っていた時に兄妹に渡した【HP回復薬】と【MP回復薬】が、まだ残ってますので」




 【ロス村】村長代理だという最長老の産婆さんは、ニッと笑い……キュア達を送りだす。


 キュア達もまた、笑顔で別れる。



◆◆◆



「大人数パーティだな」


「キュアとー、チェンとー、朱雀とー、ゾリディアとー、イーストンとー、シーナとー……6人かー。

多いなー?」


「ああ」


「【ロス村】の皆は、カレーで幾らか体力が回復したし【村の裏山】は水も食料も豊富だ。

魔物もあんま、近寄らんしな」


「田舎の人間は結束力が高いのですわ」


「【アジルー村】は魔ナシ差別で……いや、無粋か。

ゾリディア、今更だが多人数で押し掛けて大丈夫だろうか?」


「集落は狭くは無い。

大丈夫だ」


「余所者だからと、我等を殺そうとして来ませんか?」


「だから……しつこい女だな!?」




 ゾリディアが、キュアと初対面の時に殺そうとしてきたのは、シーナ達も既に知っている。

 魔物も野盗もいる世界。

 キュアに同情こそするも、ゾリディアだけが悪くは無いと分かっていた。




「つ、つーかよ。

オメェ等すげぇな、馬に付いてくんなんてよ」


「ん?」


「チェンと朱雀は (空飛ぶから) まだ分かんがよ。

キュアとゾリディアの、足の速さとか走破性とか」


「馬だって本気じゃないし……普通じゃないか?」


「私はココ数日、コイツ等と付き合って走りまくっていたら慣れたのだ」




 イーストンとシーナは、シーナの愛馬に乗っていた。 馬的には本気の半分も出していないが……人とは思えない速度で走るキュア達。




「今なら、ワタクシもキュアさん並みに……ひょっとしたらソレ以上のスピードで走れそうですわ」


「シーナ」


「はぁーい、大人しくしていますわ」




 そして、キュア達は北連山……ゾリディアの故郷へ。



◆◆◆



「恩人に対し……済まぬ」




 ゾリディアの故郷【名も無き集落】。


 集落民は、集落の奥にある【名を失いし神の神殿】から溢れでた『悪臭のする霧』に包まれて……【ゾンビ化】。

 『霧』は、シーナ達が【ゾンビ化】した【ゾンビ化薬】と同じ成分であり、邪神の神気が含まれていた。


 ゾリディアたち大人は……子供たちを守る間、理性以外全てが【ゾンビ化】していくのを覚悟して【劣化竜の心臓】(ドラゴンハーツ)を使用したのだ。


 今や、キュア達が持ってきた【竜の心臓】(ドラゴンハーツ)から【神薬】を作り、集落民全員が人間に戻っている。

 神気を防ぐため、檻に閉じ込められていた子供たちも……おずおずながら、集落内を歩いていた。




「わざわざ、ココまで来たんだぞ!?

何も分かりませんじゃ無ぇよっ!!」


「兄さん! 仕様が無いですわ」


「しかしよぅ……」


「良いでは有りませんか。

本来は、友達の故郷に遊びに行くつもりだったのですから」


「……へいへい」




 気楽なシーナに、気が気では無いイーストン。 自分達が、邪神・邪竜の企みに使われているのだから仕方ないのではあるのだが。




「邪神側の『その者』が、人間と戦った記録は有る。

ソレが、邪竜の『その者』かは分からぬのだ」


「オレとシーナ、兄妹同士で戦えってか!?」


「ソレは二千年前の『その者』だ。

むしろ戦いの後、『その者』同士で子を成したからこそ……シーナが理性を戻したんじゃないか?」


「……ま、まあな」




 キュアが諭し、落ち着くイーストン。 しかしキュアとて……「クリティカルと殺しあえ」などと言われたら───まあ、落ち着く自信などない。




「我々も、二千年前の古文書をもっと調べてみよう。

その間、好きなだけ集落を使え」


「ゾリディア、貴女のお家は何処かしら?

女子同士で色々お話しましょ!」


「此方だ。

狭いし、女らしい物など何も無いが……」


「うふふ。

兄さん、キュアさんも……男子禁制よ♡」


「チェンは? チェンも女子同士お話したいぞー」


「じゃあ、チェンちゃんもいらっしゃい」


「キュアー。

ちょっとチェン、女子会してくるぞー」


「ああ」


「キュア、オレはココの村長達と共に古文書とやらを調べるからよ」


「そうか」




 キュアと朱雀、二人が残されて急に静かになる場。




「……なんか久々だなあ、この感じ」


「主様、全員一時的にパーティから抜けた状態のようですね」


「朱雀は?

女子会とかに参加しないのか?」


「…………。

……あの、主様───」




 ───と、そんなキュアの頭に……声が響く。




≪ユーザー名・キュアさんの脳に、疲れを検知しました。

健康のため、一旦【仮想現実装置】(パーシテアー)から強制ログアウトします。

御疲れ様でした≫


「ぱ、【仮想現実装置】(パーシテアー)……!?」




 キュアの脳に、【ドラゴンハーツ】という(VR)を見せていた【仮想現実装置】(パーシテアー)からの通達。

 本日のゲームプレイ終了を告げてきたのだ。

 

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