12 村人、再就職先を見つける。
「───はっ!? ゆ、夢……!?
……ああ、【仮想現実装置】のチカラか」
───朝。
自宅で目覚めたキュア。
頭にかぶる魔道具……【仮想現実装置】のアクティビティ、【ドラゴンハーツ】の夢を楽しんでいた筈が、何やら強制的に目覚めさせられた。
一瞬、魔道具が壊れ寿命を迎えたのかと焦ったキュアであったが、夢が覚める直前に ≪キュアの健康の為≫ だと言っていた。
強烈な体験だった。
おそらく、負担も其れなりに有るのだろう。 言われてみれば心地良い運動をした程度の疲れが有った。
【仮想現実装置】が自分を気遣った結果、使えなく成ったのだろう。 ならば疲れが癒えた時、使えるようになるのだろう……キュアはそう結論づける。
頭から【仮想現実装置】を外しながら。
「……ふっ。
俺を案じてくれるのは、妹のクリティカル以外だとオマエだけだな」
喋るとはいえど、魔道具は道具。
心が有るとは思わない。
……それでも、キュアは嬉しかった。
かつての─── 『憧れとしての魔道具』 以上に【仮想現実装置】へ、愛着を懐くキュア。
暫くして起きたクリティカルが居間へとやってくる。
「兄さん、おはよう」
「ああ。
クリティカル、おはよう」
クリティカルは、今までキュアに挨拶しても精々が 「ああ」 とまでしか返ってなかった。 そんな兄から返事が───しかもギコチ無いながらも笑顔で貰えた。 ソレだけで感極まるほどに嬉しくなるクリティカル。
あの魔道具はキュアにとって余程よい存在らしい。 クリティカルも正体は分からねど、【仮想現実装置】を大事にすると誓う。
「クリティカル」
「な、何かしら、兄さん?」
「街に…… 『魔ナシ』 でも出来る仕事はあるかな?」
「兄さん……」
「街も差別が酷いとは聞くが……ソレでも、な」
【仮想現実装置】に気遣われ、妹の為に犯罪を犯した 『彼』 を通し……クリティカルの大事さを改めて理解したキュア。
今までの己を恥じ、クリティカルのチカラに成りたかったのだ。
「……分かったわ。
以前、紹介した仕事を覚えているかしら?」
「何だっけ?」
以前は、クリティカルへの劣等感からキュアが断った仕事。
「兄さん……領主様の御屋敷で働いてみない?」




