表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/420

101 村人、化物を怒らせる。

 

「二人とも、無事だな!?」


「え、ええ……。

というか、兄さんの怪我は大丈夫なのっ!?」


「いや……貧民街へ行って、ヘイストの母親と話した後の記憶が全く無いんだ。

何時の間にか【ドラゴ───っと」




 キュアは防壁魔法の中のクリティカルとヘイストを背後に、眼前の化物を睨みながら二人へと語りかける。

 ついうっかり、兄妹だけの秘密を洩らしそうになる……が。




「キュア、自分は【仮想現実装置パーシテアー】と【ドラゴンハーツ】の事は聞いている」


「へ、ヘイスト?」


「済まない、キュアの怪我は全て自分の───」


「チ"ン"タ"ラ"話"し"て"ん"じ"ゃ"無"ぇ"よ"っ!?」


「むっ」




 猛る化物。

 有り得無い殺気。

 山野の獣は、殺気を隠す。

 盗賊野盗は、殺気で商売をする。


 この化物は……殺気の塊───




「───いや、殺気が……化物なのか?」


「あ"?」


「に……兄さん?」




 【ドラゴンハーツ】では、実に様々な魔物が出現する。

 中には、殺気を放たずに攻撃してくる魔物も居るのだ。 殺気を読む事に長けるキュアには、殺気と殺害行為の解離は気味悪さが目立って見えた。




「オマエは───」


『どけっ、ソコの民間人!』


「……っ!?」




 キュアが感じた違和感を……確認する前に、矢の雨が化物に降り注ぐ。

 ……討伐隊だ。

 どうやら、自分達が苦戦する魔物に対して……たった一人の『凄腕』が、魔物を跳ね飛ばした事が気にいらないらしい。




「奴は無敵ではない! いずれ倒せる!

打ち込めっっ!!」


「う"ぜ"え"ッ!

オ"レ"様"が"キ"ュ"ア"を"殺"す"所"を"黙"っ"て"見"て"ろ"ッ!」




 化物が炎の腕を振ると……矢の雨が燃え、公園の外周が炎上する。 普段、魔物や盗賊と戦う事のない都会の討伐隊は……感じた事のない熱気に腰を抜かしたり、或いは逃げだしたり。

 クリティカルとヘイストを救う役には立たなそうだ。 無視するキュア。




「そんな事より今…… 『 キュア 』 と───

俺の名を呼んだのか?」


「は"ぁ"?」


「兄さん……アシッドよ!」


「あ、アシッド!?」




 記憶の欠損を自覚するキュアだが……流石に、クリティカルの発言には正気を疑いかける。

 アシッドは、腕だか腹を怪我し……肉食獣も住む森へと消えていったのだ。 生きているハズが無い。

 しかし。




「お"い"お"い"ぃ"、オ"レ"様"を"忘"れ"た"か"あ"あ"……?

……ま"あ"な"あ"、弱"い"テ"メ"エ"の"全"身"を"叩"き"潰"し"て"や"っ"た"か"ら"な"あ"ぁ"ぁ"ぁ"」 


「アシッド……なのか」




 顔の右半分が燃え、もう半分は火傷で引きつっていて……アシッドの面影は無い。 ……が、バカっぽい喋り方。 ソレには覚えは有る。




「自分も、記憶が薄いんだが……キュアが貧民街で炎の化物に対して、「アシッド」……と」


「連"れ"ね"え"じ"ゃ"ね"え"か"。

弱"い"オ"マ"エ"が"、必"死"に"オ"レ"様"の"名"前"を"呼"ん"で"命"乞"い"を"───」


「…………済まん、たぶんソレは強酸をばら蒔く魔法名を唱えただけだ」


「───あ"?」


「貧民街に行った頃の所持魔法だと……うん」




 気不味そうなキュア。

 フォローしたつもりが、的外れだったヘイスト。

 あと……自信満々だったアシッド。


 やや、間抜けた空気が流れ───




「───わ"」


「わ?」


「訳"の"分"か"ら"ね"え"事"を"言"う"な"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!」


「きゃあっ!?」




 キュアを殺すために、キュアに自分の強さを認めさせるために、化物へと成ったアシッドは……ブチ切れ、業火を振り撒く。 先程、クリティカルの防壁に亀裂を走らせた一撃である。

 ニヤリと笑うアシッド。


 自分達と……キュアの死を覚悟するクリティカルとヘイストだが。




「【 炎断ち 】!」


「が"っ!?」




 アシッドの炎を斬ったキュア。

 目を丸くするクリティカルとヘイスト。

 アシッドは……勝利を確信した笑顔のまま、固まっている。




「───一つだけ、分かった事がある」


「あ"あ"っ!?」


「俺がやたら、『 炎 』 に対して準備をしていたのは……オマエに対してだったんだな」


「ソ"レ"が"ど"う"し"た"っ!?」


「……準備は万端だ。

アシッド、俺の勝ちだ」




 アシッドは、過去最高に激怒の表情を浮かべる。

 

 

アシッドの喋り……邪魔くさ過ぎる……。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ