100 村人、化物と再び相見える。
遅れて申し訳ありません。
都会の人は信じない、という話を聞いたのですが……利き手をムカデに噛まれました。
痛い上に腫れあがって、小説を書き辛いです。
「ふぁあ~……御早う、クリティ───ん? 居ないのか……」
領主館の自室。
ちょっと体が硬い気もするが、まあ普段通りに目覚めたキュア。 肉盾時代、魔物や盗賊と戦った翌日はもっと酷い目覚めだった時も有る。
「まあ、トイレか何かだろう。
……【ドラゴンハーツ】でログアウト直前に得たスキルでもチェックするかな」
【仮想現実装置】を隠し、スキルチェックをするキュア。
○初心者の杖( ファイヤーボール )
○鍛冶師の杖( メイクハンマー )
○強酸の杖( アシッド )
○水の杖( ウォーターボール )
○霧の杖( フォッグ )
○拡散の杖( ワイド )
○強化の杖( ヘイスト )
○ショットガンの杖( ショットガン )
・?の杖( トランス )
・敵視の杖( エネミービジョン )
・風盾の杖
・倍加の杖
・衰弱の杖
・雷の杖
・箱の杖
・操獣の杖
○癒しの指輪( ヒーリング )
○朽ちかけた病忌避石の指輪( キュア )
○炎特防の指輪( ファイヤーガード )
○鼠特防の指輪( ラットガード )
○マジカルファイターの指輪( マジカルファイター )
・犬特防の指輪
○ボロい短剣( 隠れて攻撃すると追加ダメージ )
○殺鼠剣( 鼠喰い )
○鎮火の剣( 炎断ち )
○回転刃の剣( 回転刃 )
・殺犬剣
・ボロい剣
・ブロードソード
○ドッグマンのボロ服( ダメージ1%カット )
○囚人の服( ダメージ2%カット )
○未来からの殺人ロボットの服( ダメージ3%カット )
○ラットマンのボロ服( 鑑定 )
○殺人鬼の服( ノックバック無効 )
○ラットマンメイジの服( 魔法攻撃力5%UP )
○肉盾の鎧( 即死ダメージを受けるとHP1で復活 )
○右手に着ける左籠手( スイッチ )
○ラットマンの潜伏服( しゃがむと、潜伏力UP )
・ラットマンの上等な服
・学生服
・シルクランジェリー
○囚人の靴( バックステップ )
○木靴( 二弾ジャンプ )
newスキル
○ラットマンの見張り服( 視力向上 )
○ラットマンモンクの服( 物理攻撃力1%UP )
○ラットマンソードの服( 物理攻撃力2%UP )
○ドッグマンモンクの服( 物理攻撃力3%UP )
○ドッグマンソードの服( 物理攻撃力4%UP )
○ドッグマンメイジの服( 魔法攻撃力3%UP )
所持SP14 → 8
体装備用スキルは幾つか、スキル解放条件だけを満たして……会得はしていなかったのだ。
シーナのサブイベントにてSPを得たキュアは、余裕を残しつつ数個のスキルを会得し……ログアウトしてきた。
「【 視力向上 】おお……小さい文字もハッキリ見えるな」
『 クリティカルさんには止められているけど……瀕死のキュアさんを避難させ─── 』
キュアが、スキルを現実でチェックしていると……メイド長リカリスの部下であるメイドさんが、キュア兄妹の部屋にやってきた。
ノックは無かったが……元々、『 生活部屋 』『 風呂 』『 倉庫 』 しか無い貧乏小屋で育ったキュアに、ノックの文化は無い。 無論、領主館で働くようになり……自分はノックを忘れないよう、注意している。
が……他人に関しては無頓着であり、 (【アジルー村】で差別を受けて育った背景も有る。) ビックリはしたが、こんなものか……と、怒りなどは抱かない。
「あ、御早う御座います」
「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………はうっ」
「おわっ!?」
起きて歩く、キュアの顔を凝視したメイドさんは───気絶した。 慌てて駆け寄り、受け止めるキュア。
「と、取敢ずクリティカルのベッドに寝かせて……と。
じ、女性が同じ部屋に寝ていたら───クリティカルに怒られはしないだろうか……」
ビビるキュア。
最近、妹たちに怒られすぎである。
「……そうだ! 使用人用の食事を作る彼に事情を話して、病人食を作って貰おう!
これで隠し事じゃない!」
ビビり過ぎなキュア。
さっそく、自らの部屋を出て食堂へと行く。
───と。
「……あれ? ヘイストのお母さんですか?」
「そ、その声……もしかして、キュアさんかい!?」
ヘイストの母親が、領主館の廊下を一人で壁伝いに歩いていたのを発見したキュア。
「はい。
お母さんは、何故ココに?」
「キュアさんが怪我をしてから……と、というか、大丈夫なのかい?」
「怪我? 俺が?」
「アタシも、目が見えないながら……旅時代に覚えた応急措置を、ヘイスト等に指示したんだよ?」
「怪我……俺が…………んん? 『 敵 』?
……なんだっけ、この記憶は───」
ヘイストと共に、彼の実家へと行き、母親と談笑したのは覚えている。 ……それから───は、記憶に霞みがかったかのようなキュア。
「…………。
ヘイストは、キュアさんの怪我の程度を詳しく教えてくれなかったけど……頭も打っていたそうだから記憶障害って奴かもねぇ……。
アタシも昔、崖から転落した事が有るそうなんだけど、その時の記憶が無いんだよ」
「へー……あ。
そう言えば、ヘイストは?
そんな治療をして頂いたなら、貴女達に礼を言わねば」
「礼なんて良いよ。
最初は貧民街に現れた炎の魔物に、キュアさんが怪我を負わされたと……。
ソレで貯水池に避難してたんだ」
「炎……敵…………」
「けど、街中にまで現れたからココへ連れてこられてね」
「街中にまで魔物が!?」
「ヘイストは……同僚で、友達の女の子の補佐をすると」
「同僚の友達……まさかクリティカルか!?
そ、それは妹かもしれないんです!」
「なるほどね……さっき、使用人の立ち話では 『 中央区の公園が決戦場 』 とかって聞こえたよ」
「分かりました!
有難う御座います!」
「行くのかい、キュアさん。
アタシにはキュアさんの体調が見えないけど……無茶は……無茶だけは絶対にしないでおくれ」
「はい。
無傷で、ヘイストと妹と共に帰ってきます」
「約束だよ」
「ええ、必ず……あ。 済みません。
廊下のこの先、一つ目の角を曲がって二つ目の扉が俺たちの部屋なんですが……メイドさんが俺の顔を見て、気絶してしまい───」
「アタシも凄いビックリしたし、その娘の気持ちは分かるよ。
……分かった、一人でソコまで行けるから任せておくれ」
「有難う御座います。
……では」
「ああ」
駆けるキュア。
ソレは一陣の風。
スキルなど関係無く。
魔ナシなど、もっと関係無く。
強く。 速く。 鋭く。
どんな魔物であろうと、今度こそ確実に貫く弓矢の如く。
◆◆◆
「───キュアさん……魔ナシだそうだけど……全身がビリビリと響く程のチカラを感じたねぇ。
……ヘイスト、逃すんじゃあ無いよ?」
◆◆◆
「くうぅぅ……わ、私の魔法が……!?」
「こ、攻城兵器の一撃すら防ぐ、クリティカルの防壁魔法が……!?」
「ハ"ハ"ハ"ァ"ー ー ッ!
攻"城"兵"器"か"何"か"知"ら"ね"え"か"……そ"ん"な"モ"ン"と"一"緒"に"す"ん"し"ゃ"無"ぇ"よ"ッ ッ!」
中央区公園の、ド真ん中。
クリティカルの防壁魔法が張られていた。 防壁の中には、クリティカルとヘイスト。
回りを討伐隊が取り囲み、魔法を纏わせた矢を打ち込むが───炎の魔物、アシッドは……全てを無視して、クリティカルの防壁を只管に攻撃していた。
「…………っ!?」
クリティカルは……生まれて初めて、自らの防壁の───亀裂を見た。 まだ、小さな物。 然れど、クリティカルに余裕は無く……アシッドには余裕が見えた。
「魔"力"こ"そ"パ"ワ"ー っ!
魔"ナ"シ"な"ん"そ"に"、こ"の"オ"レ"か"負"け"る"筈"か"ね"ぇ"ぇ"ぇ"っ!!」
「くっ……」
亀裂が、大きく広がる。
……熱波が、クリティカルとヘイストにも届き始めた。 その時。
「【 ショットガン 】っ!」
「き"ゃ"あ"あ"っ!?」
「「 え……っ 」」
他の誰にも……大勢の討伐隊でさえ、カケラも動かせなかったアシッドを───唯の一発の魔法弾が、大きく吹き飛ばした。
転がるアシッド。
駆け寄る、風。
「クリティカル! ヘイスト!
無事かっ!?」
「に……兄さん!?」
「キュア!?」
「「「き……キュア?」」」
「……キ"ュ"ア"ぁ"ぁ"……!!!」
キュアは、化物の前に立つ。
愚鈍が……愚者共を引き連れて、キュアの前に再び現れたのだ。




