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1 村人、兜を拾う。

 

 とある日本人スポーツ選手が、競技中の事故により脳を損傷───不随となってしまった。


 掴めず、歩けず、見えず、聞こえず。


 そんな選手を不憫に思った両親は、脳に直接音や映像といった情報を送ったり、思考だけで操作・意思疏通できる医療技術をゲーム転用したVRマシン───【仮想現実装置】( パーシテアー )を買い与えた。

 脳……(VR)の中だけとはいえ、再び動かせる身体。 その選手は喜び、連日【仮想現実装置】( パーシテアー )で遊び続けた。


 ───そんなある日。


 選手の手が、僅か。

 ほんの極々僅かとはいえ、動くように成ったのである。

 脳の中で体を動かし、ゲームで遊ぶ行為がリハビリと成ったのか……脳細胞や全身の各神経が活性化してきているらしい。

 その日を境に、医者も驚くほどに脳機能が回復し始めた頃。


 ……運悪く全く別の病により、その一人のゲームマニアは死亡した。

 両親が遺品整理のため、病室の中の物をダンボールの中へと纏めてゆく。 蓋が閉められ、ガムテープが巻かれ、中は見えなくなる。


 故に分からない。

 故に気付かれない。


 遺品の中の一つ……ヘルメットの形をしたVRマシンが、淡く光を放ちながら消失した事を。



◆◆◆



「チクショウ……みんな馬鹿にしやがって……」




 シン王国の辺境、コタリア領。

 その外れに在るド田舎、【アジルー村】。

 ソコで生まれ育った若者───キュア。


 13年前に両親を失った彼は、村中から差別を受けていた。 何故ならば誰もが 『魔法』 を使えるこの 『剣と魔法の世界』 において、一切魔法が使えないからである。




「あっ、キュアだ!」


「やーい 『魔ナシ』 ぃ、馬ー鹿!」


「うるさいっ、糞ガキ共!」




 この世界では、子供だろうと魔法が使える。 アジルー村でのキュアの地位は、最下層の一つ上である 『犯罪者よりはマシ』 というモノ。




「おいっ魔ナシ!

なんだその臭いはっ!?」


「汚物処理を命じられたから……」


「そんなクセェ奴が村の中通りを渡るんじゃねえよっ!


「畑作業にも邪魔だし、ウチにも来るんじゃねえぞ!?」


「…………まったく、魔物と一緒に死んでくれないかねぇ」




 汚物処理・過酷な肉体労働・危険な魔物や盗賊退治といった……ほとんど奴隷のような扱いを村中───いや、世界中から受けて日々を過ごしていたのである。




「───仕事も、またクビになるし……ん?」




 腐り、俯きながらにしか歩めなかったキュアは……草叢くさむらの中、倒木に押し潰されて半分以上が地面に埋まっていた 『物』 を発見する。




「何だ……? 兜?

これ、倒木の直撃を受けたハズなのに変形してないぞ…………かなり丈夫だな。

しかもメチャクチャ軽い」




 鉄より固く、それでいて鉄より軽く。 まるで伝説の勇者が使う装備のようじゃないか。 コレを装備すれば俺だって宮仕えの戦士に───と、夢想した所でキュアは溜め息をつく。




「……良い兜があっても、魔法が使えなくちゃぁな」




 苔むす草叢の中、注意深く観察でもせねば気付けないような場所に埋まっていたのだ。 元の持ち主が落としたのは、短く見積もっても数年以上前。

 ならば所有権は、拾った自分の物だ。

 この兜は明日にでも街へ出て売ろう。 当座の生活費には成るはず。


 キュアはそう結論づけ、兜を脇に抱えて帰宅する。

 

 

 現在、全話を修正中であり一部の 『名称』『ルール』 などが換わっています。


修正前→修正後


キュアが両親を失ったのは10年前→13年前

【初心者の杖】→【弾丸の杖】

【火球】(ファイヤーボール)

ファイヤーボール→【弾丸】( ブリット )

装備品ごとの条件を満たした後にSPを消費してスキル会得→条件を満たしたらその場でスキル会得


 ───などなどです。

 

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