第15話「裏の記憶〜御厨秀将〜」①
摩耶さんの一件から2週間が経った。
今日は喫茶店の仕事はお休みだったが、御厨さんに「浜辺のゴミ拾いをするからちょっと手伝え」と声をかけられた。
俺と御厨さん以外にも、久留実やるみか、マスターに春日井さん、更には村長までいた。
もっとも、春日井さんは「御厨と村長に無理矢理連れてこられた」と言っていたが。だが彼も根は真面目らしく、いざゴミ拾いが始まると黙々と拾い続けていた。
「春日井さんって、実は結構真面目ですよね」
俺がそう話しかけると、機嫌を損ねたのか、あるいは少し照れたのか、「やかましわ」とそっぽ向いた。
そうこうしているうちにゴミ拾いは終了し、大方綺麗になった。
集まったゴミを見ると、浜辺には本当にいろんなものが流れ着くなと思う。
そんなゴミの山を見ながら、村長がいつものように豪快に笑った。
「いやー! このゴミ拾いは毎年やっとるが、例年通り大漁じゃのぉ!」
このゴミの山を『大漁』と表現するのはいかがなものかと思うが、この様子を見るとその表現も間違いではないように思う。
そういえば、体調を崩して急遽来られなくなってしまった愛依が「たまにお宝も流れ着くんですよー」と心底残念そうに呟いてたな。今日はそんな『お宝』はないのだろうか。
そんな事を考えながらそのゴミの山を眺めていると、ふと御厨さんの方に目が止まった。
御厨さんは、水を含みボロボロになっているであろうとある週刊誌を見たまま止まっている。
「……御厨さん?」
そんな御厨さんの様子が気になり、近づいてそう声をかけた。…いや、かけようとした。
ー御厨さんの表情が、いつになく険しい表情をしている。
それは、俺が見たことのない表情だった。
ただでさえ目つきが悪く「顔が怖い」と言われがちな御厨さんだが、それでも何処か親しみやすく明るい表情ではあった。
ーそれが、今は。いわば『鬼のような形相』をしていた。
「……あの」
恐る恐る俺がそう声をかけると、御厨さんはハッとした様子で俺の方を見た。
その後手に持っていた週刊誌を置く仕草をしながら「悪ぃ悪ぃ」と困ったように謝った。
その時の御厨さんの表情はいつものあの親しみやすい表情で、俺は少し安堵しながら「いえ」と返した。
「あの、さっきの週刊誌に何か気になる記事でもあったんですか?」
俺がそう聞くと、御厨さんは「……ああ」と返した。
「……ちょーっと怖い『心霊記事』を見ちまってなぁ? あんたも見るかぁ?」
そう脅すように言う御厨さんに対し、俺が「い、いえ!」と全力で首を振ると、御厨さんは悪戯っこのように笑いながら「冗談だよ」と返した。
その日の夜。
御厨さんのことが気になって眠れなくなった俺は、少し散歩に出ることにした。
家を出て少し歩くと、ふと港の方に目をやった。
見覚えのある人物がそこに立っている。……御厨さんだ。
「御厨さん!」
俺はそう言って御厨さんの方に駆け寄った。その声に気付いたのか御厨さんもこちらを振り向くと、「おう」と手を振ってきた。
「こんな夜中にどうした?」
「ああ、いえ、少し眠れなくなってしまって。……御厨さんもですか?」
俺がそう聞くと、御厨さんは「まあ、そんなとこだ」とタバコを片手に言った。
タバコと御厨さん。あまりにも似合いすぎて格好良ささえ覚えつつ、俺はゴミ拾い作業後の御厨さんの様子について聞こうと口を開いた。
「……ん?」
そのタイミングで、港に見覚えのない一隻の船が停まった。
【「裏の記憶〜御厨秀将〜」②へ続く】
遅ばせながら新年あけましておめでとうございます。
そして長々と更新の方滞ってしまって大変申し訳ありません。
PCの不調や私自身の不調等で更新ができずにおりましたが、今後不定期ではありますが少しずつ更新を再開できる目処が立ちましたので再開致します。iPad用キーボード便利。早く買ってればよかった。
長らく更新出来ていなかったと言うこともあり、今後も少しずつにはなってしまいますが頑張って更新していきたいと思っております。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
2023/01/04 「Forget-Me-Not」著者 おかつ




