リクルート・スーツ
ガウディと出会った翌日、俺は特に目的もなく街を歩いていた。
ここはサイゼ―タウン。大都市とまでは言えないものの、映画館やショッピングモール、カラオケ、ボーリング場などのひととおりのスポットは揃っている地方都市だ。
「あいつは、、、あの野郎!」
俺は大通りの反対側にガウディを見つけた。
昨日はアロハシャツなんてラフな格好だったくせに今日はグレーのスーツを着ている。
「おい、お前!ガウディ!昨日はよくも会計もせずに逃げやがったな!」
俺はガウディを追いかけ、後ろから腕を掴んで言ってやった。
しかし、ガウディは特に反応を示さず、代わりに横から声が聞こえた。
「てめぇ。あたしのガウディが見えるのか?」
上下を黒のリクルートスーツで固めた女だ。年齢は18~22歳くらいだろうか。黒髪を肩口で揃え、綺麗な顔立ちをしているのだが、眉間にしわを寄せながら俺を睨んでいるため、好印象は持てない。
女は続けて、ガウディに対して叫んでいる。
「おい、ガウディ。こいつはマスターか?」
「No.51。タナード・コーテストです。」
「No.51だと?妙だな。。。まぁ、関係ないか。どっちにしろ、やるしかねぇな。」
全体的に黒い女は、邪悪な笑みを浮かべ、
「あたしの名前は、ピーチ・バレンタイン。悪いが死んでくれ。」
と邪悪な言葉を発しながら、横にいるガウディ(見た目はガウディなのだが、昨日とは印象が全然違う。本当にガウディか?)に対して命令した。
「ガウディ、ロケットパンチだ!顔面を吹き飛ばしてやれ!」
ピーチの言葉を理解できずにいる俺に対し、ガウディは右腕を突き出し、
「イエス。マスター。」
と発した瞬間、ガウディの右腕が飛んできた。