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砂に帰す
砂を指で掬う感覚で
失っていく
時間の断崖 残骸をかき集める作業
残渣が苦くて
あの人の表情すら忘れていく
残酷な現実
銀砂に足をとられて
仰向けに倒れて
星の海で溺れて
記憶とは 死んだ現実
超新星の光は 生きた存在証明
僕らの言葉とは 薄れゆく感情を縫い付ける
星の光のようで
光の屈折率で 見え方が変わる世界で
正解なんか無意味な事はもう知ってるけど
言葉を重ねる感覚で ガラクタを愛し続けている
箒星に願いをかけたのは
特別な願掛けじゃなくて
考えを占める あなたの笑顔
瞼に焼き付いて 焼き切れそうな
あなたの言葉
もう色褪せているのに
赤茶けた土の中に埋めて
劣化させないように懸命で
そして見失う
銀砂に足をとられて
仰向けに倒れて
星の海で溺れて
電飾で彩られた街並みを尻目に
星の海に溺れながら
あなたと共有した電子情報を
砂に帰す
光の屈折率で 見え方が変わる世界で
正解なんか無意味な事はもう知ってるけど
言葉を重ねる感覚で ガラクタを愛し続けている
あなたを愛し続ける
消えない ガラクタになりきれない言葉たち




