瓦落多になりきれないコトバ達 2
◆ガラクタな箱庭
無機質で
色彩を欠いた箱庭で
毎日毎日同じルーチンの繰り返し
ヒーローになりたがる駒と
諦める事が当たり前の駒と
恋に恋する駒と
誰かを憎まずにはいられない駒
それぞれ織り成す混声不協和音
報われない世界で
無下な言葉の溢れる箱庭で
「社会」という箱庭が
「学校」という箱庭が
「家庭」という箱庭が
「恋人」という箱庭が
「友達」という箱庭が
「貴方」という箱庭が
捕らえて離さない?
繰り返し、複製される日常?
毎日毎日ガラクタのようだと嘆くけど
貴方の笑顔までガラクタなんて
僕には思えないから
素晴らしき日々と言わせて欲しいんだ
貴方といるだけで色彩が増す日常
無機質なルーチンなんて言わせない
◆駒
盤上の動き方は決まっていて
レールを走らされる人生だから、なんてつまらないと嘆く人達が
「どうせ私たち、将棋の歩でしょ? 使い捨てられるだけなんでしょう?」
諦め顔で 欠伸してさ 背伸びも忘れて息がつまるって
希望を裏返されてオシマイだなんて
「歩」を裏返す「と」の意味を知ってる?
あなたは「王」すら詰める可能性があることを
あなたは「盤上」ですらまだ何も始めてないことを
誰かに動かさる為の駒として産まれた訳じゃない
世界に王手を、その手で詰むのは他者の希望じゃなくて
絶望を裏返すような あなたの可能性が
彼方まで広がるから
◆裏返す
裏返すのは
その手のひらですか?
隠していた気持ちですか?
裏返したのは
なかった事にしたい現実ですか?
裏返して 表にひっくり返した所で
繰り返し 同じことなのを知っていますか?
裏返して 無かったことにしたくて
引き返したい 過去ですか?
忘れてしまいたい あのひとの横顔ですか?
裏返しても 無かった事にしたくても
白と黒でしかないリバーシブルに意味を求めても
ただの記号
言葉にしたかったのに言葉に出来なかった残骸だけ残して
もう裏返せないガラクタ
ほんの少しの勇気が足りなかった事に今さら気付くのです
大切な人に大切だと言う事の大切さに
今更ながらに気付くのです
◆リバーシブル
ルールは単純明快ながら奥深く
白が白で。黒が黒へ。
そんな駆け引きで盤上を埋めるデカダンス
貪り喰うように追いかけたら
本当のあなたを忘れかけて
喰い尽くす事だけに貪欲で
黒と白で共存できないの?
黒と白だけじゃ寂し気だから
無邪気に笑う君が白と黒に色を染める感覚で
「あなたと私の色でしょ?」
ルールは単純明快ながら奥深く
僕で埋めようとする僕と
あなたで埋めようとするあなたと
僕でもあなたでも無い色が産まれて
「あなたと私の色でしょ?」
囁く言葉と、そして君が産まれた奇跡ってヤツを
ガラクタになりきれない言葉で物語るのも悪くないって思うから
「全部、僕とあなたの色だから」
どっちの色とか決めつけなくてもいいから
全部、僕とあなたで君だから
ぜんぶ、だきしめる。
◆ぜんぶ、だきしめる
ぜんぶ、だきしめる
手から溢れてしまいそうで
零れ落ちてしまいそうで
受け止めきれない事の方が多い事は承知の上で
君の全て
全部、抱き締める
君の辛さ
知らないことが多すぎて
ぜんぶ、だきしめる
それが無理な事は知っている
僕と貴方は産まれてから他人で
分かち合えない事の方が多くて
言葉を重ねても躰を重ねても
分からない事が多すぎて
受け止める事なんて無理で
不一致な結び目の不均衡で
傷をつける度に崩れたガラクタだけ溢れても
全部、抱き締める
どんな表情でも
どんなに分からなくても
どんなに歯痒くても
ぜんぶ、ぜんぶ、君だから
ぜんぶ、だきしめる。




