まっくろい
それは それは
とても真っ黒で
汚濁にまみれた空気の中で
当たり前にナイフで誰かを突き刺せる
なんてまっくろい
当たり前のように
言葉を吐いて
無造作に刺せる
当たり前のよう自分の正義と
他者の悪を比較するけれど
自分の灰汁には目も向けず
言葉が爛れて 重さで項垂れて
まっくろさの意味に気付かない
なんてまっくろい
黒くて黒くて黒い
泥のような 砂のような 汚水のような
感情の奔流の中で
ワダカマリ
敵意と悪意が恣意で孕む
ミズタマリ
この天気は 靴が濡れたのは 傘を忘れたのは
アイツのせいだって
雲の流れも 稲光も 異常気象も
稀少価値の言葉でかき消す 君のヒトコト
あなたのとても真っ黒で
まっくろで美しい
「まっくろさで」
黒は白が映える
黒に光で線を引く
黒という色に
色彩の色という色を重ねても
「黒」は「黒」以外のナニモノでもなくて
それはとても純粋で揺るぎない
交わらないからこそ
「真っ黒くて、美しい」
まっくろでいいから
しろくろ つけなくていいから
怒りも 嘆きも 藻掻きも飲み込む
悩みながら歩く その黒さは美しいから
その感情は
汚濁じゃない
泥でもなく 汚水でもなく
害意でもなく
ただ純潔な感情の全て
真っ黒くていいから
まっすぐなまっくろさで
色彩の色という色を重ねても
「黒」は「黒」以外のナニモノでもなくて
それはとても純粋で揺るぎない
交わらないからこそ
「真っ黒くて、美しい」




