時間層の物語
時計を逆回転させたら、君に逢える気がして
歪んだテクノロジーに溺れてみた。
星の海に沈んだ心、引き上げたら
何かが変るかもなんて、
何も変るわけないのにね?
それでも地球は回ってるとガリレオは言った。
それでも僕は変らないと、謳った愚かの詩人は、
時間層の断壁で彷徨うのさ。
時計を40倍速で進めたら
何かを速く始めれるかも、なんて
まだ、何をしたいのかも分からないのにね?
時間という数式の中で生きた僕ら。
世界にとっては一瞬の線香花火。
そんなかすかで充分だよ。
運命だとか定めだとか天命だとかじゃ
左右されるには、理由が少ないね。
時計を壊したら、何もかも止めれる気がして
止まらない終りのカウントダウン。
果てのない砂時計はサハラの愛で。
音のない目覚まし時計は、色ない古代を。
古ぼけた柱時計の刻んだ歴史。
そんな礎にすぎない僕ら。
それでもと、シニカルな笑みの詩的論理。
いつか消える僕らの
足跡は赤。涙は青。心は黒。
淘汰される数の一つ。そんな記号にすぎない君と僕。
それでもね、と何となく笑った。
僕と君が出逢えたことは何より本物だから。
いつか時を越えて
論理を越えて
世界を越える
時間層の物語。
それが君と僕。
おぉ、まだ残ってました過去作。10年前の詩です。
青臭いし、やたら素直な言い回しが印象的。うん、10年前の僕はこんなに素直だったんですね、としみじみ。




