書き置きを置いていくから
明日、僕という存在が消えたら
君は薄れた記憶の海で
いつまで追いかけてくれるんだろう?
書き置きを置いていくから
拙い言葉で
書き置きを置いていくから
謎かけを交えて
書き置きを置いておくから
書きかけの言葉で
溢れている人の波の中で
本当なら通り過ぎて終わるかもしれないのに
季節はずれの風鈴の音で
僕たちは存在そのものを実感する
書き置きを置いていくから
暗号の中に本心を込めて
書き置きを置いていくから
もの悲しいメロディーの音程をずらして
書き置きを置いていくから
書きかけの言葉で
向かう先も矛先も意味なんか無いから
傷つけるだけ傷つけて
後には何も残らない
書き置きを置いていくから
読みにくい文字で
書き置きを置いていくから
歪んだ言葉で、少し震えた筆跡を
書き置きを置いていくから
書きかけの言葉で
砂に残した足跡と、空消えた音の断片
書き置きを置いていくから
過去詩。
書き置きって、結局読んで欲しい事の現れで。
分かってほしいとか、見つけて欲しいとか、決浴はそれ誰か任せでは前進はなくて。書き置きを書いているうちは無理で。恋文にしちまえよ、と今なら思うんだよね。手を伸ばせ。振り払われた手のことは、振り払われた後で考えていいから。
書き置き? そんなの破っちまえよ、って思うくらいにはね。まぁ達観したんでしょう。きっと。




