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意外すぎる出会いに呆れる深衣菜。
「俺もあのときは驚いたぞ。普通は怖がるもんだけどお前は喜んだもんなぁ。」
それから、姫は自分も白虎を召喚したいと言い出し、より修行に力が入っていった。
「ただ、お前の力は凄まじくてな。白虎殿だけじゃなくて朱雀殿の召喚も成功させた。
それに、鬼が蔓延って暴れる事が多くなってきてからはあの玄武殿と青龍殿の召喚までも成功させた。」
「え、玄武と青龍って召喚しにくいの?」
「青龍は俺たち四神のリーダーだからよっぽど力がないと呼べないんだ。玄武は、人嫌いとか言ってるクソガキだし!」
壱弥が思い出すだけでも腹が立つと言いたげに言う。
どうやら白虎と玄武は仲が悪いらしい。
「たしかにお前と玄武殿は喧嘩ばかりしてたな。もっとも、一方的にお前が言い負かされてたけどな。」
「あぁ~~っっ思い出すだけでもムカつく!あんなヤツより朱雀の方がまだマシだぜ!!」
「ついでに、白虎殿と朱雀殿も喧嘩してばかりだったぞ。」
「壱弥・・・ていうか、四神ってなに?」
深衣菜の言葉にがっくりと肩を落とす壱弥と裕。
「そういえば、詳しいこと説明しないとダメだったな。」
「なんか調子狂うなぁ・・・」
「知らないものは仕方ないじゃん。」
むくれて言う深衣菜。
ため息をつきつつ、裕が説明をしだす。
「四神というのは世界の四方を守る神様、いや、聖なる獣たちだ。」
東を守る青龍はリーダーで季節は春を司り、風を操れる。
南を守る朱雀は季節は夏、火を操れる。
西を守る白虎は季節は秋、土を操れる。力強い。
北を守る玄武は北、水を操れる。
「水!そうだっっあたしを守ってくれたのは水の壁だった!!」
「つまり玄武のヤツ近くで覗き見してやがったんだ!!」
「覗き見って・・・助けてくれたんだよ?」
「だったらどうして出てこないんだよっ!今は契約してなくても元主の危機だったんだぜっ」
「よくわからないけどお前らの身近に玄武殿がいるけど誰かわからないってことだな?」
「「そうそう!!」」
夕方のことを知らない裕にとっては何についていっているのかわからなかったが、二人の近辺は確実に事が動いてることは理解できた。
「まった、まだ玄武殿とは限らないだろ?水の力が使える能力者かもしれないだろ?」
深衣菜たちが生活している都市、塔叶は様々な能力を持った者が多く生活している。
能力者による犯罪も珍しいことではない。
その為、能力者の犯罪を取り締まる組織も出来ている。
「なぁ、俺たちのクラスに能力者っている?」
「んー・・いるんじゃない?あまり考えたことないからわからない。」
妹の言葉に裕は苦笑いをしてしまう。
しかし、能力者だからといじめられたり差別されたりしている者たちにとっては深衣菜くらい鈍感な人物のほうがありがたいのではないかと思う。
「今日のことはあとで聞こうか。前世のお前たちについて話戻すぞ。」
裕によって続けられた話によれば、姫は四神たちとこの世で人々を苦しめている鬼たちを封印していった。
そして、最後の鬼を倒したとき、姫は命つきた。
四神たちは世代交代をし、引退した。
(あれ?)
「なんで世代交代したこと晴昿が知ってるんだ?」
「ああ、戦いから数年後に白虎殿を召喚したらお前の弟子が出てきたから驚いたぞ。で、事情を知ったんだ。」
現実はなれしたことを淡々と話す兄を深衣菜は驚いてみている。
(そういえば、姫が亡くなったことで俺たちの契約は切れたから晴昿が呼び出してもおかしくないな。)
裕は曖昧な表情の深衣菜の頭を撫でる。
「いまいちついてこれてるか微妙な顔だな。深衣菜」
裕によばれて困惑した表情を向ける。
「香耶、って俺は呼んでたけど覚えてないか。」
ますます困った顔になる。
「いい、いい。深く考えるな。」
苦笑いをしながら、深衣菜の頭をクシャクシャとなでる裕。
まるで考えようとしている深衣菜の思考を止めようとしているかのようだ。
「で、壱弥君、君がここに引っ越してきた理由を教えてくれない?」
「ああ、姫は人にしては桁外れの霊力の持ち主だった。だから現代でも無事に生活していけるか見守る為だ。けど、鬼が復活してしまった。」
壱弥は夕方のことを説明する。
「もちろん深衣菜に会うことが一番の目的だけどな。」
「で、もし助けたのが玄武殿だったとしたら仲間にできると思うか?」
「助けてくれたからなってくれるかもしれないよねー」
「どうだか。あいつはひねくれてるからあてにできないさ。」
壱弥がムッとした表情で言う。
(あいつが本当に仲間になる気だったらとっくに姿あらわしてるだろうし。)
「じゃあ朱雀殿と青龍殿はどうだ?」
「あいつらの気配は全くないからなぁ・・・・・」
「そうか。けど青龍殿なら・・・じつは、俺が前世の記憶と力があるのは青龍殿のおかげなんだ。」
「なんだって!」
裕は自分が生まれる前に青い龍に会い、数年後に生まれてくる自分の妹が前世の姫だと、
彼女は妖怪などに狙われることがあるだろうから守って欲しい、
と伝えられ、力を授かったことを話し出した。
そして裕は、実は深衣菜の魂を狙って妖怪や悪霊が来ていたことも話した。
「じゃあ兄貴に守られてたってこと?」
「そうさ。お前の周りをうろつく妖怪や悪霊をこっそり追い払ってたんだぞ。」
(あの過保護!!)
「青龍のヤツっっ抜けがけしやがって!!」
「だったらどうして青龍の生まれ変わりはあたしの前に現れないの?状況的に今近くにいてもおかしくないのに。」
深衣菜の言葉に唸る壱弥と裕。
「もしかして晴、じゃなくて裕さんに任せて自分は丸投げか?」
「おいおいっ鬼が相手じゃムリだろ!?鬼を封印できるのは深衣菜だけだぞ!」
「え?なにそれ?」
どうやら前世でも四神たちは鬼と戦うことは出来たらしいが、封印は姫の役目だったらしい。
「なんで?人間の姫とかあたしが封印するの?どうして鬼を倒さないの?」
「倒さないじゃない、奴らは生命力が桁外れに強い。それに倒したとしてもそれは肉体を滅ぼしただけで魂は他の生物に寄生したり、転生してしまう。そして、再び暴れるんだ。」
壱弥が真剣な表情で説明をする。
「あと、姫とその転生者のお前は特別に鬼を倒す能力が生まれつきある。だからだ。」
裕の説明をきいても、いまいち納得が出来ないと言う表情のまま深衣菜は唸る。
そして、ある疑問が浮かぶ。
「鬼って何?何なの?」
「いわゆる元は神だった者たちさ。昔に創造神に逆らった者たちで、12柱いるんだ。」
「もとは神サマ・・・柱って?」
「神様は柱というんだ。一匹とかの匹と同じだ。」
改めて口に出すと変な感じがしてくる。
そして、深衣菜の顔は青ざめていく。
(あいつ・・・姫を見て笑ってた!怖がらせやがって!!)
「ねぇ、また鬼が出てきたら封印ちゃんと出来るかな・・・」
「今のお前じゃ難しいな。」
裕があっさりと言葉を返す。
壱弥も無言でうなづいている。
(かろうじて封印は出来たけど・・・俺だって力持ってかれて弱いし、悔しいな・・・)
「じゃあどうしろって言うの!?あんなのわかんないよ!!」
「深衣菜っっ」
気が高ぶって叫ぶ深衣菜を、壱弥が優しく抱きしめる。
「大丈夫、俺が命がけで守る!」
「壱弥・・・・・」
「だから心配なんか、いででででででっっ!!」
突然悲鳴をあげ出す。




