第八幕 共闘
怜チームと深衣菜たちは二組に分かれて行動をすることになった。
錫杖を作り直すチームの深衣菜、裕、遥、に治癒を得意とする植物の能力者の樹はそのまま怜チームのメインルームに残ることとなる。
一方、鬼を捜索するチームは更に二組に分かれることとなり、
怜・炎莉・依都美と風花・燎・人間姿の拓那とメンバー分けされた。
鬼は式神が感知しやすいということで、見つけ次第全員に連絡をし、街や人への被害を最小限にするために攻撃をする。
封印は深衣菜しかできないため、杖の修復が完成するまではどうにか持ちこたえるようにする作戦である。
克巳は各地にいる特殊チームのメンバーへ鬼の捜索の情報を集めるように指令をだし、見つけ次第連絡をよこすこととした。
そして、どのチームにも属さなかった佐樹は、まだ起きない壱弥の傍にいた。
壱弥が目を覚ませば怪我をしていても飛び出すことを気にした裕からの提案である。
佐樹にとってもその提案は有難かった。
彼女は能力者組織の[J]にいながら能力が使えないのである。
鬼ほどの強敵が相手となれば真っ先に自分が足をひっぱるだろうと考えていたところだ。
「・・・な・・み・・・いな・・・」
うなされるかのように壱弥が声を出し、目をゆっくりと開ける。
そして、何かを思い出したかのように勢いよく体を起こす。
しかし痛みを感じたのか顔を歪ませる。
「無理しないでっっ樹さんたちが治療してくれたけどダメージが大きすぎて完璧に治せてないのっっ」
「深衣菜はっ?鬼はどうなった!?」
「落ち着いてっ大丈夫だからっっ」
「本当かっっ!?」
「嘘言っても得しないわよっ」
「あ、ああ。その制服は確か[J]?じゃあここはその本部か?」
「そう。あなたが暴走してること裕から連絡もらって止めて倒れたとこをここに運んだの。」
佐樹は壱弥に今までのことを伝える。
「そうか、それであんたは出なくていいのかよ。」
「あんたじゃなくて佐樹よ。誰もいなくなったら鬼探しにいくつもりでしょうけどダメ。」
「みんなが戦うって時に一人だけ休んでられるかよっっ」
「そんな体で動き回られても迷惑なの。今は私と同じ役立たずなんだからおとなしくしてなさいよ。」
「けどっっ」
ベットから飛び出そうとした壱弥は喉元にトンファーを押し当てられてそのままベットへ仰向けに倒された。
「何すんだっっ」
「無茶されてまた暴れられたら迷惑でしょ!周りの事も考えなさい!!」
反論の言葉が見つからず、壱弥はそのままふて腐れる。
(たしかに間違ってねぇけど・・・)
「なあ、さっき自分の事役立たずって言ったよな?どういう意味なんだ?」
(だってこの人あの最強の怜チームのメンバーだよな?)
「私ね、能力がないの。」
「へ?だって能力者しかいない組織だよな?」
「そうね、前はあったというべきかしら。」
佐樹は、かつて自分が植物の能力者であったことを話しだした。
事件に巻き込まれたことがきっかけで、身を守る為に[J]に入り、大事な仲間を助けるために能力を全て使い果たしたということ。
そして、能力が消えるということは前例がないためその検査をしつつ、能力が復活するかもしれないので[J]に協力しているということ。
「なるほど。じゃあ佐樹を倒してここを出るのは簡た、ぐほぉっっ!!」
佐樹に掴みかかろうとしたが両腕は払われてついでとばかりにお腹にトンファーを撃ち込まれる。
「け、怪我人に何しやがるっっ」
痛みでお腹を抱えつつも佐樹を睨む。
「はぁ?怪我人ならおとなしくしてなさいって言ったでしょ!だいたい非力な女の子に襲い掛かろうだなんて最低よっっ」
「どこがだっっ」
「ついでに私、医務課から鎮静剤預かってるのよねぇ」
「鎮静剤?」
(なんか嫌な予感するな・・・・・)
「抵抗されたら撃ってもいいことになってるの。」
「なんだ注射か。」
「ちょっと違うかな?コレだけど。」
佐樹が手にしたのは、拳銃。
「ちょっっ本当に薬かよ!!」
「さあ?試してみればわかるよね?」
迷わずに、というか楽しそうに銃口を壱弥に向けてきた。
いつもの壱弥なら弾丸を避けることは可能だが、今はだいぶ体が弱っている為ムリだろう。
「すみません。おとなしくしてます。」
「わかればいいのよ♪」
医務課でそんなやりとりが行われている頃、杖作成メンバーはメインルームの大きなテーブルに杖を置き、ほぼ全員の目は遥にむけられている。
「つまり、手っ取り早く作り直すなら遥ちゃんの奥に眠る青龍ちゃんに協力してもらうのがいいのね。」
「そうです。問題は青龍が協力してくれるかだけど。」
(青龍は前、今のあたしじゃダメだって言ったよね?杖は使えないし、兄貴みたいに力はないし・・・・・難しくない?)
「遥君、緊急事態なんだ。君の中の青龍の力を解放してくれ。杖を治す間だけでいいんだ。頼む!」
「え、けど・・・・・」
遥は戸惑った表情を向ける。
「先輩、ムリなこと言ってるのわかってるけど、このまま鬼を放っておけません。それに、壱弥も依都美もきっと無茶をしてしまうから力を取り戻したいんです。」
「なるほどねぇ。君の意思はそれかい?」
深衣菜を見つめる遥の目は赤く光っている。
「青龍っ!?」
「あらっ目の色が変わったわっ」
遥は怪しい笑みを浮かべる。
「本来ならまだ主でない君に従う義理はないはずだ。それなりの報酬をもらわないとねぇ?」
「報酬って・・・」
(あたしは兄貴みたいに力は強くない、だから青龍は仲間になってもらえないし・・・・・どうすれば・・・)
「君は姫の魂を持っているが姫とは違う。力だって弱すぎる。しかし・・・・・こちらの条件を飲むなら良いだろう。」
「条件・・・・・?」
「君の一日を僕にくれないかい?つまり現代でいうデートだねぇ。」
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
(聞き違い?遥先輩と??)




