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転生せれくと。  作者: 灯些季
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深衣菜に促されて壱弥も一緒に病室を出る。

廊下に出てしばらく足早に歩いている深衣菜。

壱弥は無言でついて来る。

ふと、深衣菜は止まると壱弥を睨む。


「あのさぁ、姫はよせって言ったよね?お母さんの前でまでいい加減にして。」

「えっ例えなのにダメ!?それに昔はそう呼ん「昔々っって!関係ないじゃん!!」


深衣菜の叫び声を聞きつけた看護師が静かにするようにと注意を促しに来る。


「あたし飲み物買ってくるから先に戻ってて。」

「一人で出歩くなんて危険だろっ」

「あんたなんかと一緒に居たくない!迷惑!!」


ピシャリと言い放ち、深衣菜は進んでいく。


が、立ち止まると戻ってきた。


「前から思ってたけどさぁ・・・あたしが姫の生まれ変わりって奴だから付きまとうんでしょ?壱弥にとって伊那瀬深衣菜はどうでもいいんだよね。」


壱弥を力強く睨みつけて、そう言うと去って行った。


壱弥はその場から動けなかった。


「・・・生まれ変わりだから、か・・・・・。」


さすがに相当こたえたようでうな垂れる。

壱弥の頭に最初にあったときのことがよぎる。

数年前に見た彼女は、暗闇をさ迷ってたような自分にとって光だった。


(間違ってねぇ・・・けど違うっっ)


「落ち込んでる場合じゃないっ狙われてるのに一人にしてどーすんだ!」


壱弥が気づいたときは深衣菜の姿は既に見えなかった。

焦って急いで深衣菜を探しだす。


(そうだ飲み物といえば売店かっ)


病院内の地図を見つけて売店を探す。


(おっ売店発見!ん?自販機もこっちにあるのか?どっちだ??)


悩んだあげく両方まわることに決め、動きだす。


(もしかして機嫌悪かったのって・・・!)



一方深衣菜は、自販機でお茶やジュースを購入していた。


(さっきは言い過ぎたかな・・・迷惑・・・はいくらなんでもな・・・)


イラだって勢いで言ってしまったことを後悔していた。


(けどあいつはいつもあたしじゃなくて姫をみてる。それじゃあたしって人間は存在してないって言われてるみたいで悔しいじゃん・・・)


「伊那瀬先輩、ですよね?」

「え?」


背後から声を掛けられた。

振り向くと、オカッパ頭にワイシャツにベスト、短パンといういかにも育ちの良さそうな少年が立っていた。


(全然気配なかった!?)


「あれ、慶隆君?」

「実は僕、伊那瀬先輩にずっと憧れてるんですよ。スポーツ万能でカッコよくて凛々しいし、この間の依頼で理想通りの方だとわかりました。」

「あ、ありがとう。」


後輩の女の子からよく言われる言葉だ。


(まさか男子の口から聞かされるなんて思ってなかったな。)


「それで、どうしてここに?」

「ここの院長が身内で、出入り口に籐洞路の名前の写真がありますよ。」

「あっ」


(そういえばおじさんの写真がプレート付きであったな・・)


「もしかしてお父さん?」

「残念ながら一番上の兄です。オールバックでメガネ掛けてて老け顔だからそう思われても仕方ないですね。」

「ごめんっ」


慶隆はクスリと笑う。


「先輩、今少し時間あります?これから面白いものが見れますよ。」

「時間?何?」


慶隆が言うには、病院の外側を一気に清掃する催しがあるらしい。

清掃、といってもすぐに終わるらしい。

かなり派手で、これを病院前のロータリーに見に来たとのこと。


一か月に一回行われ、依頼したのが慶隆のため、チェックのようだ。


「よかったら一緒に外で見ませんか?」


(すぐに終わるなら・・・ちょっとぐらいならいいよね?)


「じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。」


この清掃が行われるときはすべての窓、外へ出入りできる戸は施錠がかかり、出入り禁止となるらしい。


慶隆の案内で近道をしながら外へと出る。

一息着いたとたん、正面の出入り口が閉じられた。


そしてロビーには、その変わった清掃を見ようと人が集まってきたのがガラス越しに見えた。


「ねえ、そんな大掛かりそうな清掃なんてどこに頼んだの?」

「先輩は[J]って能力者組織は知ってますか?そこに依頼してるんですよ。」

「えっこんな庶民的なこともやってくれるの?」

「そうなのよ。週に一度くらいならやってるの。」

「それに籐洞路家からは寄付金いただいてるからねぇ~~」


慶隆が答えるまえに、青色の[J]の制服を着て、腰くらいまである栗色のウェーブのかかった髪にほわんとした雰囲気の女性と、短髪の金髪に長身のお調子者のような表情の男性が現れた。


「あっ[J]の制服っっ!」

「お前ら、おれを置いていくとはいい度胸だな。」


少し遅れて2人とは少し違う形でターコイズ色の制服を着た少年が現れた。

黒髪に鋭い目が印象的で、深衣菜と年令はあまり差はないようだ。


(あの少し色が違う服の人が隊長の怜さん、遥先輩とタメだよね?女の人が風花さんで、金髪の男の人が炎莉さん・・・たしか燎さんの親戚で、なんとなく似てるかも。)


「籐洞路君、もしかして怜チームに依頼したの?」

「そうだよ。」


(今一番有名なチームじゃん。全員超能力が飛びぬけて凄くてモデル並みに綺麗って。)


「おやぁ今日は見かけない顔もいるねぇ?君可愛いねぇ。」

「ナンパしてんじゃねぇ!」


深衣菜に話しかけてきた炎莉の頭上に拳が落ちる。


(あれ、似たようなことどこかで見たような。)


「いってぇ・・怜きゅんのドSぅ・・・・」


炎莉は頭を抱えてぼやくが、すぐに姿勢を正す。


「仕事だ。炎莉は周囲に注意してろ。」

「「はいっ」」


怜はそう言った後、出入り口の真正面に立つ。

風花は怜から少し間を空けて立つ。

炎莉は足元に火を集中させて病院のかなり上空まで飛ぶ。


「うわっすごっっ!!」

「先輩驚くの早いですよ。」

「だってあの人空飛んでるんだよっ!?」

「ああ、あれは上空から病院に入ろうとする者がいないかとか、救急車が近づいて来てないかとかチェックしてるんですよ。」


関心している深衣菜を余所に怜が両腕を前に突き出す。


「水激波っっ!!」


叫び声と共に病院が一瞬で水に包まれた。

そして、勢いよく地面に吸収される。

塵やほこりなども一緒に流したのか壁やガラスは綺麗になる。


「とどめっっ!!」


風花によって風が下から吹き上げ病院を乾かす。

どういうわけか地面の土などは吹き上げず、上空の炎莉に当たる前に風が消えるのだから凄い。


「面白いですよね。これ食器洗い乾燥機の応用みたいですよ。」

「言われてみれば!けどすごい・・・」


(兄貴の白虎の攻撃もすごかったけどなんか、それとは違うような・・・)


「あっごめんっっお母さんのとこ戻らなきゃっ!もう入っても大丈夫?」

「いいですよ。先輩、また会ってもらえますか?」

「うん、じゃあ学校でね!」


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