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転生せれくと。  作者: 灯些季
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そんなことがあった数時間後、

深衣菜、壱弥、裕はバスに乗っていた。

バスで数十分ほどかかる病院に行くためである。


深衣菜たちの母親、数代の見舞いの為である。


「壱弥君ごめんな。今日どうしても親父が仕事で車使えなくて。」

「いいって。仕方ないさ。」


本当は家族全員で行く予定だったのだ。


(そうだ・・・10年前にうちで会って以来振りだっけ・・・)


そう思うと、深衣菜はあまりにも変わりすぎた壱弥に母親が驚くのではないかと心配になってきた。


「なあ・・・それよりもお前らなにかあったのか?」


深衣菜が壱弥に構おうとしないのはいつものこと。

しかし、いつもは一方的にベタベタしてくる壱弥までも深衣菜と距離を置いている。


そう、三人ともバスの最後尾の席に並んで座ってはいるが、裕を真ん中に、右に深衣菜、左に壱弥となっている。


朝から様子がおかしい。

裕の問いかけにも話そうとする様子もない。


「なるほど。つまり壱弥君は欲情に従って深衣菜を「「んなことしてねぇよ!!」」


裕はみぞおちに向かってきた壱弥と深衣菜の拳を寸前で受け止める。


「ったく、人を獣みたいに言うんじゃねぇよ。」

「獣じゃん。虎だし。」

「そっそれはそうだけどっ・・・」


深衣菜に言い返そうとするが、言葉が見つからず、壱弥は黙り込む。

そして、ため息。


(・・空気・・・重いな・・・)


そんな雰囲気をどうにかしようと、裕は考えだす。

気まずい空気に負けたのか、壱弥が今朝の鬼を封印したときのことを話し出した。


「なるほど・・・そりゃこいつが悪ぃな」

「なんで!いいじゃん封印出来たし!」

「アホかお前、錫杖ってのは四神、ああ先代のな、その力をお前に合わせて従わせる鍵でもあるんだ。壊れたら力を制御できなくなってお前を襲うことにもなる可能性があるんだ。」


裕の真剣な言葉に深衣菜は愕然とする。


「そ、そうなの?でも兄貴とかの攻撃防いだりとかしてるよ?」

「あれくらいならいい。けど振り回したり投げたりするのはダメだ。」


裕の隣にいる壱弥をみると、頷く。


「そっか・・・ごめん。」

「そういうことさ」


嬉しそうな表情になると、壱弥は席を立ち、深衣菜の隣に移動しようとする。

しかし


「それはわかったけどこっち来ないで。」


再び機嫌の悪い深衣菜の声に制される。


「えっまだ!?」

「そんなの自分で考えれば!?」


壱弥と裕は困った顔になり、深衣菜はソッポを向いてしまう。


「それで、母さんのことだけどさ・・・」


裕は壱弥に数代の状態を話しはじめる。


数代は肺に影がレントゲンにより見つかったとのことで入院しているが、今のところ元気である。


「お前ら、母さんの前では普通にしてろよ。」

「わかった。」

「うん。」


バスは病院のロータリーを回り、出入り口の前で停車した。


「うわ・・でか・・・」


壱弥が呟くのも無理はない。


病院は10階建て。

新しいというわけではないが、きれいである。


一階にはコンビニやカフェだけだなく、本屋もある。

最上階にはレストランもあり、評判は良いらしい。


敷地が広く自然に囲まれているので、体調が良ければ庭園を散歩することも可能である。


出入り口を入るとロビーとなっていて、さらに進むと正面に受付案内。

左側に受付、会計のカウンター

さらに奥の壁側には自動受付の機械が数台置かれている。


入り口から数メートル先のエレベーターまでは三階まで吹き抜けとなっている。


深衣菜たちは母親がいる6階へとエレベーターで向かう。


「どっかのホテルみたいだなー・・・」


塵ひとつ見えない病院に関心する壱弥。

初めて来たときに同じことを自分も口にしたことを思い出し、深衣菜は苦笑いをする。


エレベーターを降り、三つ目の部屋に入る。

そこは四人部屋で、数代は入り口の近くの右側のベットに上半身を起こし、雑誌を手にしている。


「お母さんっ壱弥連れてきたよっ」

「あらっ久しぶりね。やっぱり実物でみなきゃ成長ってわからないわねぇ。」

「母さん?」


数代の言葉に違和感を感じた裕が怪訝そうな顔をする。

すると笑顔で携帯を取り出し、少し操作をし、裕に渡す。


「あっっ壱弥君ばっか!!」


深衣菜と壱弥も携帯を覗き込む。


「あの、これは一体・・・?」

「これねぇ壱弥君のお母さんとメール交換してるの。おかげで壱弥君の成長がわかるわよ。」

「我が子自慢ってヤツ?ってこんなとこ撮られてたのか!!」


写真をみながら驚愕の表情になっていく壱弥。


(もしかしておばさんて隠し撮りの才能あるんじゃあ・・・)


そう思ってしまうほど、自然な姿の壱弥、つまり全くカメラを意識してない表情ばかりである。


「母さん、もしかして俺たちの写真も送ってたりとかしてる?」

「当たり前じゃない。壱弥君の家族が家に来る前から続けてるのよ。」

「俺は母親にストーキングされてたのか!」

「ストーキング・・・ねぇ・・」


深衣菜と裕は困惑顔で壱弥をみる。


「た、たしかにちょっと・・・」

「あ、ああ・・・」

「あっ!?」


携帯に釘付けになって壱弥は驚愕の声をあげる。

そこには着物を着た深衣菜が写っている。


「可愛いでしょ?」


壱弥はさらに携帯を操作しつづけ、短く声をあげた。

それを覗き込む深衣菜と裕。


「「げっっ」」

「裕さんやっぱりシスコンだ」


画面には、心底嫌そうな顔をしている深衣菜に抱きしめている裕。

季節は真夏らしく、2人とも半袖を着ている。


「これ去年のじゃん!!」

「俺の捨て身の嫌がらせ攻撃が!!」

「嫌がらせ・・・ねぇ?」


壱弥はなにか言いたそうな、呆れた顔で裕をみる。

そんな三人を数代は楽しそうに見ている。


「あなたたちやっぱり仲いいわね。安心したわ。兄さんたちと計画たてて正解ね。」

「計画?そういえば壱弥君の部屋が都合よくあったのもその計画ってやつ?」


裕の言葉に数代は頷く。

壱弥の父は深衣菜たちの母親の兄である。

そして、壱弥の母が深衣菜たちの母親の高校時代からの友達である。


どうやら、壱弥を日本で生活させたいと壱弥・深衣菜たちの両親で話あっていたらしい。


「なんでですか?」

「深衣菜のことお嫁さんにしたいって言ってたから助けてあげたい親心よ。それに、やっぱり本籍の国で生活させたいって考えてたのよ。」

「母さん、親心っていうよりも楽しんでるだろ。」

「あら、わたしは裕の心配もしてるのよ。」

「へ?」

「深衣菜の心配ばかりして、いい加減に妹離れしなさい。」


数代の言葉に壱弥は苦笑いをする。


(兄貴があたしの心配?)


「母さんっ俺はこいつが狙われやすいから気にしてるだけだ。」

「狙われるって誰からよ?」

「もちろん悪霊・・・のように変なこと考えてるヤツらだ!」


(兄貴、言おうとしたことはわかるけど少しはマトモなこと言おうよっっ)


裕のことばに数代はため息をつく。


「そんな変な例えされそうな変態見たことないわよ。」

「壱弥君っ俺間違ってないよな!?」

「えっと・・・」


いきなり裕に同意を求められた壱弥は戸惑う。


実際に狙われてはいるので否定はできないが、非現実過ぎて同意は出来ないのである。


と、いうより人として同意していけないと壱弥は思った。


「こらっ壱弥君困らせないの。」

「いえ、その・・・深衣菜はお姫様みたいに可愛いから裕さんが心配するのは仕方ないです。」

「その言い方俺が完璧にシスコンじゃねぇかっ!」

「なによ真実じゃない。壱弥君その例えいいわね。」


母親の発言にムッとした表情になる裕。

そして深衣菜も。


「お母さんのど渇かない?お茶買ってくるよ。」

「じゃあ俺も頼む。」

「うん、壱弥来て。」



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