第六幕 お見舞い
早朝、ベットで眠っている深衣菜は勢いよく布団を剥がされた。
「姫っっ鬼の気配だ!!」
「なっっいきなり何すんの!!」
壱弥と目が合った瞬間、つい殴り飛ばす。
飛ばされつつも空中で回転して見事に着地する。
「早く「こんな格好で出かけられるかバカ!着替えるから出てって!!」
壱弥を部屋から追い出して素早く着替える深衣菜。
(ったく鬼も出る時間考えてよ!!)
深衣菜が怒るのも無理はない。
時間はまだ朝の四時近くである。
鬼の位置は壱弥がわかるので、後を追いかけていく。
どうやら、鬼は団地の近くの公園にいるようだ。
深衣菜たちが到着すると、幸いなことに被害にあっている人はいない。
人が出歩く時ではないのがどうやら良かったらしい。
「白虎召喚!」
壱弥の体は獣のように変化する。
「悪王か!」
悪王という鬼は背丈は二メートルほど、赤黒い肌である。
白虎化した壱弥に火の塊を降らせてきた。
「こんなもん当たるかっっ!」
壱弥の体当たりによろめく悪王。
[くっ・・]
悪王の口から苦悶の声が漏れる。
そして、深衣菜に目を向ける。
[せめて姫だけでもっっ]
深衣菜に向けて火の塊を投げてくる!
「姫!!」
「任せて!ダテにあらゆる運動部の助っ人やってないんだから!必殺っっ振流洲印具!!」
叫びつつ、飛んできた火の塊を悪王の眉間に投げ返す。
そう、錫杖をゴルフクラブのように勢いよく振って。
「おっナイスショット~~」
「はぁぁぁぁぁーーーーーっっ!!なっっなっなんてことを!!」
[んなバカなぁ~]
予想外の反撃に身を崩す悪王。
深衣菜のとんでもない攻撃に愕然とし、固まる壱弥。
「闇に帰せ!封印!!」
そんな2人(?)に構わずに素早く封印を行う。
[あんな攻撃ぃ~納得いかんぞぉぉぉぉぉ~~]
哀愁漂う断末魔をあげながら、鬼は消えていった。
「なんだよあの攻撃はっ!!」
鬼が消えたことで我に返った壱弥は深衣菜に怒鳴りかかる。
「倒したんだからいいじゃん。」
「そういう問題じゃねぇっ錫杖大切にしろよっっ!昔あんな粗末なことしなかったのにひでぇっっ!!」
「うるさいなぁっっ!これ頑丈なんだから大丈夫!」
「だからっっもっと上品に「うるさいっっ!!」
深衣菜は壱弥にそっぽを向く。
(壱弥うるさいっ倒せればなんだっていいじゃん!それにまた昔って!!)
「錫杖壊れても知らないからなっっ!!」
それぞれ、煮えきれない思いを抱えたまま家に向かう。




