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転生せれくと。  作者: 灯些季
22/35

「え・・・火?」


(壱弥・・・じゃないよね?)


驚いている深衣菜をかばうようにある人物が立ちはだかる。

ポニーテールにまとめたブラウンの髪、個性的に着こなしたピンク色のワンピースをはためかせている。


(ん?)


「えっええっっ!?依都美!?ってことはこっちが本物!?」

「ええ。私が本物よ。」


以津真天を睨んだまま依都美が答える。


「全く、渋滞に巻き込まれてしまって少し遅れたら偽者がいるから出遅れてしまったわよ。よくも化けてくれたわね!姫様に手を出すなんて許せないわ!!それに・・・」


依都美は両手を握り締め、いままで以上に強く睨む。


「それにっっ姫様に抱きつき触り放題だなんてなに羨ましいことしてくれたのよ!」

「そういう問題かっ!?」


依都美のとんでもない発言にツッコミを入れてしまう。


「けど・・・人間のままじゃ流石に倒しづらいわね・・・」


依都美は振り向く。


「姫様、私と契約して下さい。朱雀になればアレ倒せるから。」

「えっでも・・・」


契約といわれて壱弥との契約のときを思い出す。


(つまりそれって依都美とキスを?)


「いっいくらなんでも女の子とはちょっと・・」

「朱雀になる前に私の餌にしてやるよ!!」


鋭い鉤爪を向けた以津真天が飛びかかってくる。


「姫様失礼!」


依都美は手の甲にキスを、ではなく、血を舐める。

そして深衣菜を抱えて攻撃をかわす。


「朱雀召喚と叫んで!」

「えっいいの!?」


深衣菜は手に光を集め、錫杖を出す。


「朱雀召喚!!」


すると、依都美の長い髪は団子状にひとつにまとめ上げられ、

背中からは二枚の紅蓮の羽が生え、

肌はピンク色へと変わり、

耳は羽のような形となり、何本かの尻尾が生えた。


(これが朱雀・・・前にどこかで・・・・・)


「姿が変わったところで所詮は人間じゃないかっっ!!」


朱雀に変わったばかりの依都美に鋭い爪が食い込む・・・前に素早くかわす。


「私を本気で怒らせたことあの世で後悔なさい!」


そういいながら朱雀の炎が以津真天を包みあっというまに消えた。


「あれっあいつは??」

「私の炎で骨の髄まで焼き尽くしたわ。」

「ええっっ跡形もなくぅ!?」


(こえぇぇぇぇぇ~~っっ絶対敵に回したくない!!)


そのとき、体育館の戸をそとから力強く叩いている音に気づく。


「全くっ来るのが遅いのよっっ!」


そういいながら朱雀の姿のまま戸を開ける。


「まって!その姿でっっ!あれ、壱弥?」

「うわぁぁぁぁぁっっ朱雀ぅ!?ぎゃっっ!!」


朱雀の姿に驚いていると頭に激痛が走り、頭を抱える壱弥。

朱雀は鬼のような形相で壱弥を睨んでいる。


「いきなり殴んなっっ!!」

「はぁっ!?なんであんたが近くにいるのに姫様がピンチになってるのよ!!グズ!!」

「うるせぇ!なに化けられてんだよノロマ!!」

「なんですって!」

「お前らいい加減にしなっっ」


いまにも取っ組み合いの喧嘩になりそうな2人の間に深衣菜が錫杖で割ってはいる。

にらみ合いはしているものの深衣菜に言われては仕方ないとばかりに距離を少しだけ2人は離す。


依都美は人の形に戻る。


「あれ、背中とか穴とか空いてないんだ。」

「あ、それは羽とかは意思で衣類が破れないように出来るの。」


(そういえば壱弥も白虎から戻ったあとって尻尾のあたりなんともないんだっけ。)


「みんな倒れてるけどどうしよう。」

「大丈夫、もうすぐ起きるから。姫様、私も体操着に着替えたいから更衣室連れて行ってもらえないかしら?」

「じゃあ俺途中までついてく。」

「なんであんた・・いえ、簡単に今の状態について聞きたいからいいわよ。」


(2人とも喧嘩ごしだなぁ・・・そんなに仲悪いんだ。)


まだ起きる気配のない生徒たちを残し、体育館をあとにする3人。

放っておくと喧嘩を始めてしまいそうな二人の間に深衣菜は入るように並んで歩く。

左側の腕には依都美、右側の腕には壱弥が腕を絡ませている。


嫌がってはみたものの、2人は離す気は全くないらしい。


(あたしは珍獣か!!)


どうやら壱弥は深衣菜の危機を感じて腹痛を理由に抜け出してきたらしいが、体育館は結界が張られてて入れなかったらしい。


「白虎になってればあんな結界ぐらいすぐ壊せたのに!」


(その強力な結界を張った奴を一瞬で灰にした朱雀って・・・)


深衣菜の記憶がほぼ戻ってないことに依都美はショックを隠せない表情になる。


「そういえば姫様、白虎との契約はされたの?」

「深衣菜でいいよ。契約したよ。・・・その、キスじゃなきゃダメなんうひゃぁぁ!!」


依都美の拳が目の前を通り過ぎる。

それを壱弥が受け止めた。


「あっぶねぇぇぇぇぇっなにすんだ!!」

「なにドサクサに紛れてキスしてんのよ羨ましい!契約者の血を少し吸収すればいいだけじゃない!この女の敵!!」


(なんか一言とんでもないこと言ったような?いやいやそれよりも血を少しって??)


「いつ血なんて・・あっそういえば・・」


キスされたときに、唇に痛みが走り、出血したことを思い出した。


「じゃあキスする必要なかったじゃん!!」

「そうよっっこんなことわかってれば変身解く前に白虎の体毛全て焼き尽くしたのに!!」

「見た目痛々しいからやめて!いいよ今更。猫に舐められたと思ってるから。」

「猫ぉぉぉ~!?」


深衣菜の言葉にショックで壱弥は固まる。

それを見てニヤリと笑う依都美。


「さすが深衣菜様。虎は猫科だからピッタリね。」

「うるさいっっ」


依都美はニヤニヤとしながら言葉を繋げる。


「そういえば随分チャラくなったわねぇ白虎。いっそ名前チャラ虎に変えちゃえば?」

「おいっっ!!」


依都美につかみかかろうとする壱弥を深衣菜は慌てて抑える。

そんな壱弥を無視して更に喋りつづける。


「あら、失礼言いにくいわね。じゃ、省略してチャトラン!猫らしくてピッタリじゃないっ」

「いい加減にしろっっ!」


キレて壱弥は依都美を殴ろうと腕を伸ばす。

が、頭に痛みを感じ、つい頭をおさえる。

てっきり依都美に叩かれたかと思い、睨むが、依都美も頭をおさえている。


「ん?」

「いったぁ~いっ」

「お・ま・え・らぁ~・・・いい加減にしな!」

「「ごめんなさい・・・」」


深衣菜に怒られ、思わず謝ってしまう2人。


「壱弥!どんな相手でも女の子に手ぇだしたら最低だ!」


うなだれる壱弥。

返す言葉がない。


「依都美!言い過ぎ!こいつは壱弥!それ以外の名前で呼ぶな!!」

「・・・・・はい。」


すっかり落ち込んだ2人。


「あのさ、あたしは前世のこと憶えてないけど、なるべく仲良くね?頼りにしてるんだから。」

「深衣菜が俺のこと・・・」

「深衣菜様・・・」

「「愛してるーーっっ」」


2人共勢い良く深衣菜に抱きつく。


「うわっっくっ苦しいからひっつくな!!」


もがいてもしっかりと抱きついて離れない。


(頼もしいけど、ちょっとなぁ・・・)


「ところで青龍と玄武はいるのかしら?」


深衣菜から離れて依都美が呟く。

壱弥の表情が固くなる。


「この学校に居るって言えば居るけど・・・」


いままでのことを壱弥と深衣菜は説明をする。


「じゃあ玄武はダメね。青龍ってばぬけがけだなんてズルイじゃない。本当に過保護よね。」

「それで、今日の放課後あたしらと部室行かない?遥せん・・あ、青龍の生まれかわりに会えるから。」

「会ったらぬけがけしたことガツンと言ってやるんだから!」


(覚えてないんだから言ってもなぁ・・・それよりも新入部員って歓迎されると思うよ?)


壱弥も同じことを考えてる様で、苦笑いをしている。


「お、そろそろ更衣室着くよ。」

「じゃあまた後で。」


壱弥はそういってグラウンドへと向かいだす。

依都美と深衣菜は更衣室へと入る。


当然だが、だれも居ない。


「深衣菜様。」

「なに?っていうか様はいいってば。」

「いいえ、主様に無礼だから無理。」


(抱きついたりするのは無礼じゃないの?)


そう疑問に思ったが、話の腰を折るつもりはないので黙る。


「びゃ、じゃなくて壱弥の事は好き?恋愛対象として。」

「え?」


(れんあい・・の・・・壱弥を・・・?)


「ちっちがう!前世は前世!今は今!そんなこと1ミリも思ってない!!」


依都美は深衣菜をじっと見つめる。


「・・・・・・本当に?」

「本当だよ!授業終わっちゃうから早く着替える!!」

「はーい」


依都美は何か考えてるような表情になるが着替えを始める。


(あたしが壱弥にそんなこと思うわけない!ムダにベタベタしてくるしっ)


数分後、再び体育館に戻ると、誰一人さっきのことを覚えている者はいない。

体調も倒れる前とは変わりなく、元気な生徒たちに深衣菜は安心する。


休み時間になると、依都美は相変わらず生徒たちに囲まれる。

深衣菜は近づきたくても近づけない。


「さすが有名人だな~」

「そしてさっきまで偽者だっただなんて誰も気づいてないんだよなぁ~・・」


深衣菜と壱弥は人の輪の中心に居る依都美を感心の目で見る。


「依都美ちゃん!放課後うちの部活に!!」

「なに言ってるの!こっちが先に声かけたんだから!」

「いやっ!ぜひ我が美術部に!!」


いつのまにか部活動の依都美争奪の話しになってきている。


「ごめんねっもう部活は決めてるの。深衣菜様と一緒のよろず同好会に。」

「「「え・・・・・」」」


一瞬静まりかえる教室。


「じゃあ私も入る!」

「私も!」

「俺も!」

「ちょっとまったぁぁぁっっ!!」


騒ぎ出した生徒たちに待ったをかけたのは壱弥だった。


「言っとくけどそういう追っかけ目的の奴は断るって決まってるんだ!!それにこいつはただ見学に来るだけ!入部はきびしぃぃ~テストつきだ!!」


(あたしを追っかけてきたクセにえらそうに・・・)


壱弥は挑発するような目つきを依都美に向ける。


「テスト厳しいぜぇ?見学だけして諦めてもいいんだぞ?」

「うふふっ私と深衣菜様を引き裂こうだなんてバカねぇ。」


依都美と壱弥の間に火花が散る。

深衣菜は思わずため息をつく。


(何が何でも仲良くしろとは言わないけど・・・ねぇ・・)


「依都美、入部は無理にとは言わないよ。いろいろ忙しいだろうし。」

「もうっ深衣菜様まで!」


依都美は再び生徒たちの輪の中心へと戻されていく。


「なあ深衣菜、本当にあの有名人近くに居ていいのか?」

「いいもなにも朱雀だし、近くに居たほうがいいんじゃない?」


壱弥はため息をつく。


「そうだけど・・・あいつは常に注目の的だぞ。人からもそうだけど、力が強い奴が近くに増えればその分妖怪たちからも狙われ易くなる。」

「あのね、それこの間話したじゃん。大丈夫でしょ?それに守ってくれるって信じてるよ。」

「深衣菜・・・・・大好きだぁぁぁぁぁぁ!!」

「何!?急に!!」


深衣菜に抱きつこうとする壱弥の頭に何かがヒットした。

短く悲鳴をあげる壱弥。


(何が?)


近くに数学の教科書が落ちている。

どうやらそれが投げられたらしい。


「調子に乗るんじゃないわよバカ猫!!」


どうやら依都美の手から飛んできたようだ。


(いろんな意味で先が思いやられそうだな。)


喧嘩しそうな2人を見ながらそう思ってしまう深衣菜であった。



そして放課後。

部室に向かう為、深衣菜たちは階段を上っている。


すれ違う生徒たちが注目する。

依都美はそんな視線に慣れているようで、笑顔で返す。


(依都美って人気あるんだね・・・・・)


改めて感心してしまう深衣菜であった。

そして部室の前に来ると、中から複数の話し声が聞えてきた。


(もう依頼者いるんだ。・・・にしてもどこかで聞いたような声?)


部室の戸を開けると、依頼者と対面している遥が目に入る。

そして依頼者2人も振り向く。


「兄貴ぃ!?」

「裕さん!?燎さんも!!なんで!!」


驚く深衣菜たちに笑顔で答える2人。


「だって朱雀かもしれないコが来るんだろ。兄として会っておかなきゃな。」

「だって人気上昇中の読モのコでしょ?」


依都美はというと呆然と部室内の人物たちを見ている。


「ねぇ・・・依都美大丈夫?」

「やっぱショックだよなぁ・・・あの青龍がこんな平凡になっちゃって。」


立ち尽くす依都美を部室に引っ張りいれて戸を閉める。

そんな依都美に構わず自己紹介を始める裕と燎。


どうやら校門あたりに居たところ、遥に会い、部室でくつろいでいたらしい。

しかし、呆然としている依都美の呟きに深衣菜は驚愕の表情に変わる。


「なんて素敵なの・・・・・裕様・・・。」

「は?」

「そうか・・・前世では晴昿とあまりあったことなかったな・・・ってお前!すこしは青龍に何か言えよっガツンと言うんじゃないのか!?」


壱弥の言葉を無視してうっとりと裕を見つめる。

しかしハッとした表情で深衣菜を見る。


「なっなに?」

「いけないわ!私には深衣菜様がいるのに!あぁ・・でも・・・」

「別にいいって。それより遥先輩だけどね、」

「青龍でしょ?でも全然覚えてないのよね。そんなことより!素敵だわ・・・裕様ぁ・・・・」

「そんなって!なんだよ!!青龍っ青龍だぞっっ!!」

「うるさいわねっ青龍の叩き売りじゃないんだから連呼しないで!」


依都美の態度に納得できないと壱弥はふくれっ面になる。

壱弥に指差しまでされ、勝手に騒がれている遥はというと、呑気にお茶をすすると、一言。


「新入部員?歓迎するよ!」


笑顔で言う。

そんなわけで新たに部員が一人追加された同好会であった。


「ちょいまて!テストぉぉ!!」


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