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「悪いけど伊那瀬先輩は僕の依頼中です。今度にしてもらえませんか?」
「あ、あのさ、気持ちは嬉しいけど日を改めてもらえないかな?ほら、同じ学校だからまた会えるし。」
「白虎のいない今がいいんだよ!!」
女子生徒は叫びながらも変化していく。
目は赤く光り、頭からは角が生え、体が赤く変化していく。
「ひぃぃぃぃぃぃっっ」
悲鳴をあげて義隆が倒れる。
そんな慶隆には目もくれず、深衣菜を見て笑う鬼。
自分よりやや大きくなった鬼を驚愕の目で見る。
「アタシが同じくらいの背で驚いたって顔だねぇ。安心しなっ痛みもなくすぐに喰ってやるよ!!」
「ふざけんなーーっっ」
そう叫び、深衣菜は回れ右をしてダッシュ!!
(壱弥を呼び戻さなきゃ!あっっこんな時のために兄貴に術教えてもらったじゃん!)
「とっ止まれぇぇぇっっっ!!」
ポケットに入れておいた護符を投げつける。
「ふんっっ」
鬼の鋭い爪が切り裂き、ただの紙屑へと変わって落ちていく。
「なっっなんでっっ!!?」
「お前の力が弱いんだよっっ!」
再び襲い来る鬼。
深衣菜はとっさに錫杖をだして爪を遮る。
「いつまで耐えられるかなぁぁぁ?」
「ぐっ・・・・・」
鬼は人の数倍は力が強いので当然押されていく深衣菜。
牙が深衣菜の首に近づいてくる。
「水包っっっ!!」
声が響き渡り、鬼の顔が水に包まれる。
苦悶の表情を浮かべ、深衣菜から離れて床に転がる。
(もしかして玄武!?)
とっさに義隆が倒れている方を見る。
そこには、義隆が気を失ったまま転がっている。
(違う!?)
水から開放された鬼は苦しそうに肩で息をするが深衣菜を睨む。
「よくもっっ!調子に乗るなぁっっ人間ごときがっっ!!」
「えっっあたしじゃないってば!!」
爪を振り上げて飛びかかってくる!
「深衣菜から離れろぉぉぉぉぉぉっっ!!」
鬼の後頭部にミルクティーの缶がヒットし崩れ落ちる。
「壱弥!」
「深衣菜っ無事かっっ!?」
「うんっ白虎召喚!」
壱弥が変身すると鬼は顔を更に歪める。
「貴様らさっきからふざけやがってぇぇぇぇぇっっ!!」
「それはこっちのセリフだ!!」
白虎の鋭い爪が鬼の腹を深く切り裂く。
「闇に帰せ!封印!!」
呆気なく消えていく鬼。
「壱弥っまた玄武がっあ、多分玄武だと思うけどたすけてくれたよっ」
「じゃあやっぱり義隆か!?」
「ううん、だって、ほら。」
深衣菜が指差した先には倒れている義隆の姿。
「あれ?違う??」
「うん。とりあえず保健室に運ばない?」
元の姿に戻った壱弥が義隆を背負う。
「これじゃあ午後の授業は出れないな。」
「仕方ないじゃん。」
慶隆が目を覚ますと、深衣菜と壱弥が顔を覗き込んでくる。
「せっ先輩っっ化け物はっ!?」
「え?何?怖い夢でも見たの?いきなり倒れたから驚いたよ。」
「もう大丈夫か?」
腕時計をみると、午後の授業がそろそろ終わるらしい。
保健医から担任へ連絡が行っているようだ。
「僕は昼休みからずっと倒れてたのですか?」
「そういうことになるね。もうすぐ車が迎えに来る時間だよ。」
義隆はやや不満を顔に残しながらもベットから降りる。
保険医に礼を言い、3人は校門へと向かう。
無事に慶隆を家に送り、二人の依頼は無事に終了した。
夕食後にミルクティーを自室で飲む義隆。
その前には右京と左京。
「義隆様、あの2人はどうでしたか?」
「姫はともかく白虎のバカは全然変わってないね。腐っても四神か、気付かれるとこだったよ。」
「鬼に攻撃される直前で右京と入れ替われなかったら危うかったです。とっさのご判断流石です。」
壱弥がいなくなった途端、鬼からの攻撃が来ると読んで右京と入れ替わっていたのだ。
自分が玄武ではないとアピールする為?
玄武は味方・・・だと思っていいのか?
深衣菜と壱弥にはそんな疑問が残った。
「壱弥、玄武って正体わからないけどさ、味方だと思ってもいいんじゃない?」
「どうだか。だって今の転生のときに俺の力ゴッソリ持って行ったの玄武だぜ。」
「えっ!同じ四神なのになんで!?」
「しらねぇよ。元々わからないヤツだったけどさぁ・・・何考えてるかわかんねぇ。」
そんな会話をしつつ帰宅していくのであった。




