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転生せれくと。  作者: 灯些季
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「なに?」

「仕方ない。お前には特別に術をわたしてやる。」


裕は手を動かして印を結ぶ。


「へ?」


深衣菜は短く声をあげてその場に崩れる。


「深衣菜ちゃん!?」

「裕っ何しやがった!?」


(なに?体に力が入らない??)


「こいつが参加してきたら厄介なんだよ。そういうわけだから燎、こいつ頼む。」


裕に言われる前に、燎は動けない深衣菜を抱える。


「なにがなんでも遥君とサシでやりあうってことかよ。お前そうとうヤな奴だな。」

「何とでも言えば?ほらあいつらの流れ弾くらったりする前に行けよ。」


燎は裕を睨むと、深衣菜を抱えて壁際へと連れていく。


そんなことがあるとは知らずに白虎同士は激闘を繰り広げている。


(いくら先輩でも兄貴が相手じゃまずいよ・・・全国大会いっちゃうレベルだし・・本物の刀だなんて!止めなきゃ!!)


体を動かそうと意識するが、力が入らない。


そうしているうちにも裕は刀を光らせて遥に向かっていく。


振り下ろされる刀。

遥は竹刀が切れないように受け止め、流す。

裕はニヤリと笑い、間をおく。


「へぇ~剣道初心者のわりにはやるじゃん。そういやぁ青龍は二刀流の使い手だったよなぁ?」


裕は人型の紙を数枚だし、印を結ぶ。

すると、裕の背丈ほどの人となる。


「式神たちあいつに攻撃だっ!」


遥に向かってく。


「お前っっそりゃねーだろっっ!見損なったぜ!!」


燎は右手に炎を出すと、式神にむかってダッシュ!


・・・のはずだったが、何かに弾かれて床に叩きつけられた。


「お前の行動は予測済みだぜ?結界張らせてもらったからそこで深衣菜と大人しくしてろよ。」

「くっそっっ!」


(兄貴ってあんなにすごいの!?なんなの結界って!!)


遥は自分に向かってくる式神たちを竹刀を振ってはらう。


「う~ん・・・紙の式神じゃあイマイチか?」

「充分大変ですよっっ!」


式神と格闘している遥を戦ってる壱弥はふと見る。


「おい拓那!あれは放っておいていいのか!?」

「はい?」


二匹の白虎は互いに攻撃の手を止める。

どちらとも顔を引きつらせる。


「なんで式神が人襲ってるっすか!?それにおいらたち放置っ!?」


拓那と壱弥は慌てて裕に駆け寄る。


「裕さんっっいくらなんでもあれはねぇんじゃねぇか?」

「四対一は卑怯っすっっ!」

「ちょうどいいとこ来たな。」


爽やかな笑顔を向ける裕に拓那は怪訝な表情になる。


裕は紙の式神たちを消した。

流石に運動神経の良い遥でも体力は消耗したのか、肩で息をしている。


「じゃあ白虎行ってこいっ」


そういって遥を指差す。


「いやいやいやっそれはあんまりっす!」

「お前だれと契約してるんだぁ~?」


印を結ぶと、拓那は悲鳴をあげつつ鉄棒を手に遥に向かっていく。


「ぎゃぁぁぁぁっっ体が勝手にぃぃぃぃぃっっ!」

「式神は契約者に逆らえねぇもんなぁっっ」


壱弥は急いで拓那を追い、遥に攻撃する寸前で拓那の鉄棒を自分の鉄棒で受けとめる。


金属音の鈍い音が響き渡る。


「師匠ぉぉ~恩に着るっすぅぅぅ~」

「くっそぉっっなんで戦ってる相手に礼言われなきゃなんねぇんだよっっ!裕さん後でボコる!!」

「あーやれるもんならやってみろ。白虎ぉ~壱弥君ごと遥君ぶっ飛ばしてくれよ!」

「お前最低だ!!」


叫ぶ燎の横で、深衣菜は頷くことしか出来ない。


(火澄さん、兄貴と縁切ってもいいですよ。あたしだって切れるなら縁切りたいよぉ。あの外道!)


目の前で繰り広がれる白虎どうしの争いを、遥はぼうぜんと見ている。


「白虎!弧月弾だ!!」


裕は叫びながら印を結ぶ。


「ちょっ体あやつっ逃げるっすーーーっっ!!」

「させるかぁぁぁぁぁぁっっっ」


意に反して石を複数空中に出現させ、弾丸のような速さで遥に向かっていく。

壱弥は鉄棒を素早く動かしてそれをすべて弾く。


「どうだ!!」

「おいおい壱弥君、自分が昔使った技のこと忘れたのかい?」

「へっ?」


そう、石は確かに弾かれた、しかし生きているように動きは止まらない。


「姫!!」


遥に向かうはずの攻撃がほぼ動けない深衣菜へと向かっていく。

どうやら暴走したようだ。


「ま、結界張ってるから大「突き抜けたっすーー!!」なにぃぃぃっ!!?」


弾き落とそうと燎が鞭を構える。


「燎っムリだ!避けろ!!」


燎が鞭を振るおうとしたとき、一陣の風が吹き、石は全て床に落とされた。


「こいつは・・・?」


突然のことに呆然とする一同。


「・・・姫に傷ひとつ付けさせるものか・・・・」


遥の口からそんな言葉が聞えてくる。


風が遥をとりまき、その目は赤い。


「お目覚めか。」


そう呟く裕を、遥は睨む。


「おまえが姫を傷付けようとしたのかい?許せんねぇ。」


遥は竹刀を置き、両手を掲げると、そこをさらに強力な風が包み・・・両手に刀を手にし、裕を睨みつけたかと思うと消えた!


いや、とっさに裕の前に姿を現した拓那と武器を交えている。


「さっきとは大違いっすね!何者!?」


剣を鉄棒から弾き、再び間をとる。

そして、周りを見渡す。


「なるほど、現役の白虎の主か。で・・・・・先代白虎までいるのかい。なんだいその弱々しいオーラは。それでも私の同胞かい?」

「うっせぇ!!転生んときにゴッソリ・・じゃなくてそんなにうまくいくかバーカ!お前だって記憶なかったくせに!!!」



遥は目を赤く光らせたまま座りこんでいる深衣菜を見る。


「話しをした方が良さそうだねぇ。」


そんなわけで、裕に術を解かれた深衣菜、人間に戻った壱弥に、燎、裕、拓那、赤い目のままの遥は何故か円を囲むように床に座る。


「つまり、さきほどの攻撃は私を目覚めさせるためのものだったと?」

「そういうことさ。青龍殿、申し訳なかった。あと深衣菜も悪かったな。」

「う、うん。」


(なんか兄貴に謝られるなんて・・・それに・・・先輩が本当に青龍って・・・)


「裕、一言くらい説明欲しかったっす。」

「そうだ!」


揃って不平の声をあげる拓那と壱弥を遥は見る。


「相変わらず仲いいねぇ。」

「あの、先輩、どうしていままで青龍の記憶なかったのですか?」

「魂が不安定な時に裕に力をわけてしまったせいだね。我ながら無茶したと思うけど後悔はしてないよ。」


青龍が言うには、深衣菜を守ろうとして一時的に覚醒しているらしい。

あと少しすれば、青龍だったときの意識は眠ってしまう。


「それって青龍ってのは遥君の別人格っていう感じ?」

「そういうことになるねぇ。姫、いや深衣菜と契約すれば遥に青龍の記憶は統合されてこの身体でも無理なく力を発揮させることが出来るさ。」


「じゃああたしと契約しましょう!」


そう言ってから壱弥との契約を思いだした。


(あれ、それって・・・先輩とキス!?まっっまって!)


「ダメ!やっぱナシ!じゃなくってっっこっ心の準備が!!」

「お前なに赤くなってるんだ?」


裕は呆れ顔で見る。

壱弥はあさっての方向を見る。「それはまだ出来ないねぇ・・・」

「なんでだよ?」

「そりゃあ・・・深衣菜の今の力じゃ私を制御すること出来ないだろう?」

「ああ。こいつの今のレベルじゃあ暴走させることもあり得るな。」


裕の言葉に拓那と遥はうなづく。


「役立たず。主に合わせて力抑えろよ・・・」

「何か言ったかい?元白虎??」

「はにゃへーーっっ!!」


容赦なく壱弥の頬を引っ張る。


「まぁ・・・姫をしばらく頼んだ、壱弥。」


そう言った後、頭をガクリとたらす。


「遥君!?」

「青龍の意識落ちたな。」


遥はゆっくりと頭を上げ、キョロキョロと周りを見る。


「えっと、白虎同士の争いを目の前で見てから記憶がないな・・・」

「君は一時的に青龍に覚醒してたんだ。けど完璧じゃないから元にもどったのさ。」

「はい?」


説明をする裕を理解できないという表情で見る。


「つまり俺たちの仲間ってことだぜ!」

「よくわからないけど、君たちに協力した方がいいってことなんだね。」


燎は腕時計を見る。


「そろそろ帰った方が良くない?遥君の両親心配するじゃん?」

「そうですね。気遣いありがとうございます。」


(先輩は強引に連れてきちゃったもんね。)


遥を家へ送った後、深衣菜たちも家の前まで燎に送ってもらうことになる。


「で、なんで契約って言ったとき顔赤くした?」


突然の裕の指摘に慌てる深衣菜。


「べっっ別にっっ青龍って四神のリーダーじゃん!?だから本当にあたしが契約していいのかなぁーって!!」

「だよなぁ?いきなりリーダーが仲間ってな!?」

「へー・・ていうかなんで壱弥君まで?」

「「なんでもないから!!」」


車内に2人の見事なまでのハモった声が響いたのだった。



その夜、裕の部屋のドアがノックされる。


裕が開けると、真剣な表情の壱弥が立っていた。


「どうした?」

「ちょっと拓那のことでさ・・・」


壱弥は部屋に入ってくると、ドアを閉める。


「なんだ?呼ぶか?」

「そうじゃなくて・・・あいつに姫が○○ということは伝えたか?」

「ああ・・・それか。先代の四神が言ってねぇこと俺がいうわけないだろ。」


「じゃあ、晴昿と前世の俺がどうして契約してたかは話してないんだ?」

「安心しろ、話すつもりもない。」


壱弥は、安堵の表情となった。







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