とある罪人の狂気の噺
2013/06/09
診断結果
牙声さんは『苦しむ』と『嵐』と『苦手』と『蒼』を使ってSSを書いてください!!頑張ってね(・ω・)ノ
ブログ【我が家のにゃんこのはなし。】(http://ameblo.jp/kisei728/entry-11548515083.html)にて公開。加筆修正済。
暗闇の中、絶え間無く響く雨音と雷鳴に怯えてベッドに潜り必死で耳を塞ぐ。太陽も蒼空も厚い雲に覆われ、今はその面影すら見えない。光は、無い。
――早く、誰かこんな悪夢を終わらせてくれ。
嵐の中、藻掻き苦しむ君の記憶が蘇る。助けを求め此方へと伸ばされた手が紅く濡れ、掠れた声が俺の名を呼ぶ。
――やめろ、
痛い、助けて、死にたくない。
何度も紡がれる言葉は次第に弱く小さくなっていく。伸ばされた手は空を掴み、地を掻いては幾筋もの紅い痕を残した。
――やめてくれ、
彼女の顔が痛みに歪む。
俺の名を呼ぶ声が聴こえなくなる。
彼女の息が、
――これ以上は、
止まる。
――オモイダシタクナイ。
掴めなかった彼女の手が地に落ちる。
身体を打ちつける雨も、鳴り止まぬ雷鳴も、動かぬ君も、辺りを染める深紅も全て、……夢ならば良かったのに。
――全部全部、俺の所為だ。
思い出してしまった。あの日の君を、俺の罪を。
潜り込んだベッドの中、シーツを強く掴み握り締めた。逃れられない、逃れてはならない。
――だから嵐は苦手なんだ。全てを思い出してしまうから。
罪人の嘆きは雷鳴に呑まれ消えていく。