とあるスパイの噺
2013/06/08
診断結果
牙声さんは『誓う』と『仕事』と『歌』と『黒』を使ってSSを書いてください!!頑張ってね(・ω・)ノ
ブログ【MH4のはなし。】(http://ameblo.jp/kisei728/entry-11547741339.html)にて公開。加筆修正済。
黒のドレスを身に纏い、目的のパーティー会場へと足を踏み入れる。立食式のこのパーティーでは数多の人々が思い思いに食事を摂ったり話をしたりしていた。
でも、私は遊びに来た訳ではない。今日は仕事の為に態々こんな所までやって来たのだ。
近付いて来たウェイターに声を掛け、会場の奥へと向かった。
パーティーの主催者に軽く挨拶をしてステージに上がれば、会場全体が暗くなり眩しいくらいのスポットライトが私を照らし出した。瞬間、会場のざわめきが止み視線が此方に集まる。
ゆっくりと深呼吸をし、緩やかに流れ出すピアノの音色に併せて言の葉を紡ぎ出した――。
いつも通り歌い終えた私は沢山の称賛の声と拍手に一礼して応えるとステージから降りる。差し出される花束を笑顔で受け取り主催者の元へと向かった。
話を済ませ一度控室に戻って花束を置いて再び会場へと入る。ウェイターからシャンパーニュを貰い口に含めば、広がる上品な香りと味に舌鼓を打った。
壁に凭れ会場全体を眺めていれば、誰かと話をしていた一人の男性と目が合って微笑みかけられる。同じように笑みを返せば、彼は話を切り上げて此方へとやってきた。
「今晩は。さっきの歌、素晴らしかったよ。」
「今晩は、お褒めに預かり光栄です。」
軽く頭を下げて挨拶をすれば絡んだ視線で全てを悟る。どうやら彼の方も上手くいったらしい。
「では、私はそろそろお暇致しますわ。」
「そうか、それは残念だな。では、俺もそろそろ行くとしよう。」
暫く他愛もない話をした後、アイコンタクトを取りその場を後にする。
金持ちの道楽になんて興味は無いわ。全ては忠誠を誓うあの方の為に……。
会場の外、再び先程の彼と落ち合うと闇色のドレスを翻し歩き出す。今回の任務の報告をする為、相棒と共に夜の影に紛れた。
SSじゃなくて短編のようになってしまった。