とある軍人の独白の噺
2013/06/21
診断結果
牙声さんは『飛べない』と『心』と『狗』と『黄金』を使ってSSを書いてください!!頑張ってね(・ω・)ノ
未公開。
この籠の中に閉じ込められてからどのくらいの時が流れたのだろう。いや、閉じ込められたと言うより自分から入った、と言う方が正しいのだが。
どちらにせよ、期待に満ち溢れ此処に足を踏み入れたあの時の自分は、もう居ない。
毎日必ず誰かが姿を消した。
昨日は同期だったあの青年。一昨日は良く面倒を見てくれた先輩。その前はまだ入って来たばかりの後輩。その前は俺の親友。
俺の周りだけじゃない。俺の知らない人達が、もっとずっと沢山消えていく。
――あの時の憧れは、期待は、何処へ。
国を護れると、戦う事こそ正義だと、あの時は信じて疑わなかった。でも、理想と現実はまるで違っていて。
俺たちは所詮狗。大義名文を掲げた黄金の鎖で心も身体も繋がれて、もう自由には飛べない。
“正義”なんて名ばかりで、やっているのはただの殺戮。俺達は“軍人”と言う名の“殺人鬼”。護りたいと思った事は間違いだったのだろうか。罪の無い命を奪ってまで、俺がしたかった事なのだろうか。
――罪の無い命を奪う事が正義か。無理矢理にでも言う事を聞かせ抑え込む事が正義なのか。
なんて、そんな事は今更だ。どうせもう、何処にも行けやしないのだから。
さぁ、次に消えるのは俺かそれとも。
消える=死
戦いは哀しい。皆幸せになりたいだけなのに。




