独りが出逢う噺
2013/06/17
診断結果
牙声さんは『ぶつける』と『星』と『死神』と『黄金』を使ってSSを書いてください!!頑張ってね(・ω・)ノ
ブログ【にゃんことお出掛けのはなし。】(http://ameblo.jp/kisei728/entry-11554469280.html)にて公開、加筆修正済。
どこかの世界の誰も知らない森の中、嫌われ者の死神が独り居た。何もしていないのに『死神だから』と言う理由だけで人間達から、生き物達から嫌われた死神が。優しさも愛情も、彼は持っていたのに。
怖がらせてしまうのならこのまま、僕はずっと此処に居よう。誰も知らないこの場所で、死ぬまでずっと独りで居よう。皆がそれを望むのなら。
優しい死神は死ぬまでずっと独り、そう思っていた。でも。
星の降る夜、そんな彼の運命を一人の少女が変えた。
日が沈み、紫紺の空に三日月が輝く。そんな中で死神は少女に出逢った。
月夜に照らされ其処に居たのは一人の幼い少女。夜空の様な紺色のワンピースに、星の様に煌く白金の髪。夜を纏う少女が、死神を見つめ立っていた。
少女が動き、黄金に輝く星を地にぶつける。飛び散る破片が煌いた。
果たして彼女は人間なのか、それとも――。
その場に立ち尽くす死神に、その少女は近付いた。
「貴方はだあれ?」
「……僕は、死神。君は?」
「解らない。気が付いたら此処に居たの。ねぇ、一緒に遊ぼう?」
怖がる素振りを見せず無邪気に笑う少女に、彼は問うた。
「僕が怖くないの?」
「どうして?」
不思議そうに首を傾げる少女。さらり流れた金の髪が彼女の目に掛かる。彼は続けた。
「人間も他の生き物も、皆僕を怖がるよ。僕が死神だから」
「貴方は悪い事をするの? 私の事、食べちゃうの?」
「そんな事しないよ」
「なら、怖がる事なんて何も無いよ。私と一緒に遊ぼう?」
死神を怖がらない生き物は初めてだった。早く早く、と彼の手を引き少女は笑う。
「死神だって良いよ、そんなの関係無い。私は、貴方が好き」
優しい死神と、夜を纏う少女。
独りと独りが出逢った時、確かに世界は変わったのだ――――。




