幸せな夢の代償の噺
2013/06/14
診断結果
牙声さんは『踊る』と『裁き』と『池』と『灰』を使ってSSを書いてください!!頑張ってね(・ω・)ノ
ブログ【授業と落書きのはなし。】(http://ameblo.jp/kisei728/entry-11552174106.html)にて公開。加筆修正済。
長い夢をみていたような気がする。いつかの思い出の様な、でも思い出せなくて。頭の中に霞がかかった様な、そんな夢だった。
何処にでも居るような娘。意地悪な姉達に虐められて、舞踏会には行かれない筈だった。家に独り取り残される。そんな運命は1人の魔女によって塗り替えられた。
南瓜の馬車に綺麗なドレス、ガラスの靴。その甘美な誘いに、差し出された手を迷う事無く取った。
――さぁ、舞踏会へお行きなさい?
灰被り姫は踊る。壊れたマリオネットの様に。くるくる廻って夢に溺れて、鳴り響く鐘の音にも気付かずに。
幸せな夢から覚めた彼女に、待っていたのは冷たい牢獄。人目を盗んで再び現れた魔女は言った。『これが夢の代償よ。』、と。
裁きの時が近付く。向けられた憎悪の瞳と観衆の罵声に晒され、彼女は断頭台へと登って行った。
電池の切れた目覚まし時計ともう動かないオルゴール。幼き日、何度も聴いていたそれはどこかの国の幸せなお姫様のお話と共に。
さぁ、そのお姫様は何を代償に幸せになったのでしょう。
あの日の記憶は埃を被り眠っていた。
童話『シンデレラ』をモチーフに。
果たして知り合いでもない魔女が、彼女の為に見返りも無く手を貸すだろうか。
憐れに思ったから、だけで済む話とは思えなかったので。




