とある男の哀の噺
2013/06/13
診断結果
牙声さんは『苦しむ』と『依存』と『嵐』と『赤』を使ってSSを書いてください!!頑張ってね(・ω・)ノ
ブログ【学校とシルバーアクセのはなし。】(http://ameblo.jp/kisei728/entry-11551460605.html)にて公開。加筆修正済。
他の人は僕が君に依存してる、なんて言ってたけど、それは間違ってると思うんだ。だって、僕は君が好きで、君は僕を好きで、それってきっと愛でしょう??僕が近付いたら逃げるのは照れ隠しなんだ。僕は君の事なら何でも知ってるんだよ。
例えば今日の朝、髪型が決まらなくて遅刻しそうで、部屋の中を右往左往してたよね。その後慌てて家を出て、ゴミを玄関に置いたまま捨て忘れて嘆いてた。そう言えば昨日の夜は仕事帰りに買った新商品の入浴剤を試していたよね。気に入ってまた買おうかなって思っていたでしょう? それに昨日卸したばかりのピンクに白のドットでレースのついた部屋着、君に良く似合ってたよ。
でも最近はなんだか知らない男が何人も君の周りをうろついてるよね。それに君も気安く彼等と話したりなんてしちゃって。
おかしいな、君は僕の物なんだよ??僕以外の男と関わるなんて、君は悪い子だなぁ。そんな子にはお仕置きをしなきゃ。大丈夫、君の周りに居た目障りな男は皆僕が消しておいたから。君は僕だけの物だって、ちゃんと解らせてあげるよ。
そうだ、こうすれば良いんじゃないかな?
怯えた顔で僕を見る君は今日も可愛い。怯えることなんて何も無いんだよ? 今迄もこれからもずっと、君と僕は一緒なんだから。
君の細く白い喉に手を掛けた。苦しむ君が僕の手を掴むけど、これはお仕置きでとっておきのプレゼントでもあるんだよ? 君が僕以外の男と関わるなら、いっそ僕と君だけの世界に逝こう。
右手に握った包丁を振り下ろす。辺りに広がる君の赤が、赤に染まる君が、今迄見てきたどの君よりも奇麗で美しかった。
――これで君と僕は永遠に一緒になるんだ。
暑い夏も冷たい冬も荒れる嵐も邪魔をする人間も何も無い。二人だけの場所へ共に逝こう。
首に這わせた刃が、僕と君の哀を描いた。
男は彼女が大好きで、彼女は男の狂気に気付いて逃げようとしていた。
男の所為で死んだ彼女も、愛される事を望んで殺した男も、本当はどちらも報われない。




