色を拒絶した噺
2013/06/12
診断結果
牙声さんは『揺らす』と『地』と『苦無』と『茶』を使ってSSを書いてください!!頑張ってね(・ω・)ノ
ブログ【にゃんこと学校のはなし。】(http://ameblo.jp/kisei728/entry-11550723139.html)にて公開。加筆修正済。
カーテンの隙間から差し込む光で目が覚めた。まだ覚醒していない頭で目を擦り、緩慢な動きでカーテンを開く。窓から見えるのは昨晩までの吹雪がまるで嘘の様に静かな森。ガラス一枚隔てた向こうには、陽の光を受けて輝く銀世界が広がっていた。
一瞬で意識が覚醒する。ベッドから跳び起き、クローゼットに手を掛けた。
雪と同じ白のポンチョに毛糸の帽子、ふわふわの耳当てとマフラーを素早く身に着け家を出る。置き去りにされた手袋が、外に飛び出して行く少女を見守っていた。
扉を開けば先程ガラスの向こうに見た銀世界がどこまでも広がっている。そんな光景に嬉々として白を纏う少女は飛び込んだ。
素手で純白の雪を掴む。冷たさなんて気にならない。ぎゅっと握ってまた雪を掴んで、徐々にその形を作り出していくのだ。
吹雪の所為で雪に埋もれた赤い実を優しく採る。手の中でころりと転がる小さな実が、まるでルビーの様だった。その実の傍ら、緑の葉も摘んでたった今作った雪の形を彩る。彼女の手の中には、白い兎が抱かれていた。
全ての色を拒絶した気高き白に傍に寄り添う赤と緑。すぐに消えてしまうからこそ、雪は儚く美しい。小さな雪兎は、彼女の家の窓辺に佇んでいた――。
それぞれ色のあるものはその色を受け入れているから色付いて見えるけど、白はどの色も受け入れず拒絶した。何よりも清廉で純粋で気高い色だと思う。




