こんよく
桜並木の道を出て、ローカル線沿いの工場と小さな駅に挟まれた場所にあるスーパー銭湯は、ロビーが一面ガラス張りという開放的なもので、それが逆に閉塞感を際立たせているようにも見える。
いっそ男湯と女湯も、透明ガラスとはいかずとも、せめて曇りガラスで仕切られてたらなぁ…。
「どうしたの? ぼ~っとしちゃって」
「ん!? いや、なんでもない!」
「ならいいけど…。さぁ、お風呂で今日の疲れを癒しましょう♪」
「おう!」
やべ、変なこと考えてるのバレてるかと思った。
気を取り直して建物に入ると、カウンターの前に説明書きがある。
『当入浴施設は混浴となっております。なお、空室時には貸し切り浴室もご利用いただけますので、ご希望のお客さまはフロント係員までお気軽にお申し付け下さいませ。』
おおっ!! 混浴っすか!? マジっすか!? 夢じゃないよな!? 錯覚じゃないよな!?
コツンッ!
「いてっ! 何すんだよ!」
突如、浸地が俺の頭にげんこつをくれた。
「何か変な事考えてるみたいだからげんこつしてみた」
うぉ、今度は変な事考えてるのバレたか。悪ガキ浸地、恐るべし…。
「さ、入ろ♪ 大浴場でまた会おうね♪」
「お、おぅ…」
流石に脱衣所まで男女共用とはいかず、浸地と一旦別れた。期待を胸に、高鳴る鼓動。ルンルン気分でいざ、大浴場!!
俺一人しかいない静かな脱衣所の扉の向こうから、わいわいがやがやと賑やかな声が響いてくる。客入り上々! 大事なトコロはタオルで隠して突撃準備完了! 曇りガラスの扉の向こうはパーラダーイス!!
いざ、混浴風呂へ突入!!