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いちにちひとつぶ2  作者: おじぃ
湘南での日々
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害悪的下等人種

 日曜日の昼前、私は小田原の実家から広視にメールを送った。


『これから会わない?』


 手が自然に、そう打ち込んでいた。


 メールのやり取りはよくするけれど、最近の広視は、明らかに元気がない。


 どうにか元気づけたいけど、私も元気がない。


 小学校の教員をしている私。受け持っている1年3組でイジメがあった。家庭訪問をしたとき、イジメている側の親に「うちの子がそんなことするわけないでしょ! それにね、イジメっていうのは、イジメられるほうにも原因があるのよ! みんなと仲良くできる子を育てるのが教師でしょ!」などと怒鳴られ追い返された。


 それから、学校には嫌がらせの電話が毎日。そんな中で、テスト問題の作成、採点、成績判定などなど、通常業務もこなさなければならない。


 教育者なんて、なるものじゃない。


 自分が小学生のときだって、イジメられたじゃないか。


 それを、大人になった私なら、なんとかできる、あの頃の自分のような子を、一人でも減らす。


 そんな想いで教師になったけど、現実はあまりにも過酷。


 そんな私が良かれと思って広視に手を差し伸べて、見当違いな方向へ導いてしまったらどうしよう。


 そんな言い訳を内心でしつつ、保育士をしている親友の未砂記も同じような境遇にいて、相談しづらい。


 私も、もう限界だ。


 自分の思い通りにならない相手を攻撃する、未知の相手を攻撃する、幸せそうな人を妬んで攻撃する。


 なんで攻撃する?


 心が満たされていないから。


 それは、環境だったり、我儘わがままだったり、他者との思想の違いだったり。


 人間なんて解かり合えない生きもの。


 それを一緒くたにしようなんてほうが、どうかしている。


 みんな違っていい。


 認め合わなくてもいい。


 それぞれの世界で幸せに生きていられれば、それでいい。


 なんでそれが、わからないかなぁ、害悪的下等人種め。

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