俺って生きてる意味、あんのかな?
「ひでぇ……」
オハナちゃんの話を聞いて、正直それしか言葉が出なかった。
血縁はなく、多額の養育費がかかっていて家計の負担になっていたり、アロハの母親とは相性が良くないのは事実かもしんない。
けどこれは俺的に引っ掛かるものがある。それを上手く言い表せられない。
「仕方ないよ、うん、仕方ない。私は本当の家族じゃない。そんなのわかってたよ。でもちょっとつらかったから、広視くんに話を聞いて欲しかった。それだけ」
言ってオハナちゃんはそっと立ち上がり、「夜遅くにありがとう。おやすみなさい」と、きっと精一杯の柔らかな笑顔を向けて部屋や戻っていった。
ここは手を取って引き留めたほうがいいんじゃないか?
戸惑ったが、結局それはできなかった。
これから毛布をかぶり、誰にも気付かれないように枕を濡らすのだろうか。
だとしたらいま、俺の前で思いっきり泣いて欲しかった。けどオハナちゃんにとって俺は、そこまでを許せる存在にはなれていないのかもしれない。
◇◇◇
結局なんの力にもなれず合宿は終わり、地元福島の面々や北海道の神威たちとも別れ、俺たち湘南海岸学院の生徒は神奈川へ戻った。日々は足早に過ぎるけど、オハナちゃんにとっては四六時中が苦なわけで……。
夜10時、2階の自室。階下で今夜も響く食器の割れる音と、夫婦の怒鳴り声。浸地にはフラれるし、オハナちゃんの悩みも解決できない。
俺って生きてる意味、あんのかな?
こういうとき思い切って酒やタバコに手を出せたら、少しはラクになれんのかな?
とりあえず浸地を妄想しながら一発ヌイて寝よう。明日になれば何か変わるなんて、とてもありそうにないけど。
お読みいただき誠にありがとうございます!
更新間隔が7ヶ月も開いてしまい申し訳ございません。
なお次話はただいま執筆途中です。