女湯突撃!
「きゃっ! ちょっ、やめてよぉ!」
「いいなぁ、私もこのくらいあったらなぁ」
情緒ある、竹の仕切りに耳澄ませ、黄色い声が、僕らを誘う。
大浴場でシャワーを浴び、露天風呂へ出た三人は、さっそく男湯の仕切りに身を寄せて、女湯からの黄色い声を満喫している。
「いいだろいいだろ? この仕切りの向こうにはハダカの女子がいるんだぜ? 須賀川くんの好きな子はどの声かな?」
「なぁなぁ広視、この仕切り、頑丈にできてて隙間作れないから乗り越えて突撃しようぜ」
「そうだな。せっかく壁の向こうはワンダーランドなんだから、やるしかないな」
「ちょ、ちょっと待って。そんな色々と大変なことをなんでサクサク進めようと……」
「須賀川くん、行動にスピード感がないのは日本人の悪い癖だ。別に覗いたからって誰かが死ぬわけでも傷害を負うわけでも何かが減るわけでもない。人畜無害の環境に優しい行動なんだ。環境に優しいんだぞ? 世間ではよくエコとかいうだろ? 俺たちは環境に優しく目の保養になる慈善事業をしようと提案しているんだ。こんな素晴らしい行動に対して何か異論があるのか?」
「いや、あの、じょ……」
女子の心に深い傷を負わせるのでは? そう言いかけたときだった。
「うわあ!」
僕は二人に両脇を抱えられ、そのまま仕切りの天辺まで持ち上げられ、それを跨ぐかたちになってしまった。
「きゃあああ!」
ばれた。当たり前か。女子の頭上に堂々と姿を晒しているのだから。でも誰が悲鳴を上げているなんて気にしている場合じゃない! お湯の上とはいえ、落ちたら大怪我するかもしれない。仕切りの竹がお尻の真ん中に突き当たってジクジク痛い!
「うほーい! 俺たちも突撃だぜ!」
自称神様の号令で、本人と磐城くんが一斉に仕切りを乗り越えて女湯へダイブした。
「きゃあ出た! みんな、なんでもしていいからこいつらの記憶消しちゃえ!」
ようやくバランスが取れたとき、女湯を見下ろすと他校の女子、しかもモデルみたいに綺麗な人たちが一斉に二人の男子に殴る蹴る湯に沈めるなどの暴行を加え始めた。二人は「ぐほあっ!」、「うおおお!! キンが死ぬううう!!」などと悲鳴を上げた後、やがて痙攣して静かになり、Пの字型になって水面に浮かんだ。
どうしよう、僕も時間の問題だ。逃げようにも落下後の怪我が怖くて男湯にも女湯にも降下できない。でも何もしなければきっとあのモデルみたいな女子二人が騒ぎを聞き付けた教職員に引き摺り降ろされる!
だめだ、もうおしまいだ……。
お読みいただき誠にありがとうございます。
毎度更新が遅くなりまして申し訳ございません。
この先の構想はございますので、まとまり次第更新いたします。




