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いちにちひとつぶ2  作者: おじぃ
福島のなつやすみ編
32/52

草食系を巻き込んで

 俺と札幌から来たというの神威は、脱衣所の出入口に仕掛けた監視カメラの映像を、宿泊している部屋で血眼になって見ている。


「おっ! いま誰か入った!」


「あれは、アロハとオハナちゃんだ!」


 背後で俺と神威を見守る根性なし二人がピクリと反応した。烏帽子姉妹は俺らのバンドメンバーでありながら人気が高く、オハナちゃんは学園アイドルと称賛されるほどだ。


「よっしゃ! 早速覗きに行くべ!」


「うっす!」


 俺と神威は気合いを入れて部屋を飛び出した。


 露天風呂の裏手へ廻るため、旅館の廊下を歩いていると、突き当たりにある自販機スペースでスポーツドリンクを飲みながら、ガールズトークに華を咲かせながら露天風呂方面へ向かう数人にチラチラと目をやる草食系っぽい男子の姿を捉えた。


 ほほぅ、あの中の誰かが好きなんだな。


「やぁやぁ、あの中の誰が気になるんだい?」


 これは、悪魔の囁き。


「えっ!? なんですか!?」


「俺は神奈川から来た磐城広視、二年生だ」


「俺は北海道から来た神様、神威だ!」


「あ、どうも、地元在住の須賀川すかがわといいます……」


「須賀川くんか、よろしく! で、早速だけど、須賀川くんは気になるあのコの生まれたままの姿を見たいとは思わないかい? 見たいよね? そうか見たいよなぁ! じゃあ風呂を覗きに行こう!」


「えっ!? なんですか!?」


 俺は状況を把握出来ず狼狽する須賀川くんを無理矢理男湯へ引き連れた。


「さぁさぁ、黄色い声を聞きながらゆっくり温泉に浸かって、お楽しみタイムといこうじゃないか!」


「合宿の楽しみといえば覗きだよな!」


「だ、だめですよ、覗きなんか……」


 湯気がもくもくする大浴場でシャワーを浴びながら期待に胸を膨らます俺と神威。須賀川くんはいま一歩素直になれないようだ。だが心配無用! 俺たち勇者に付いてくれば、きっと未来は明るいぜ!

 お読みいただき誠にありがとうございます。


 更新まで大変長らく間を置いてしまい、誠に申し訳ございません。


 今後は徐々にペースを回復してゆきたく存じます。

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