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いちにちひとつぶ2  作者: おじぃ
湘南のなつやすみ編
3/52

所持金10円

「「おつかれさまでしたー!!」」


 夕方16時半頃、祭りが終わり、俺たちボランティアはその後片付けを終えて自治会や他のメンバー同士で集まり挨拶をして解散となった。


 その後、俺と浸地は一日中露店で働き、全身汗だくになったので、浸地の提案で近所のスーパー銭湯で汗を流す事にした。替えのシャツはあるがトランクスは使い回しだ。


「浸地は替えの下着あんの?」


 なに訊いてんだ俺。いくら幼なじみだからって、相手は22歳だぞ。でも浸地だからこそ、こういう事を自然に言える。


「ううん、無いからそこで買ってくる」


 言って浸地が指差した先は、公園の斜め向かいにある大型ショッピングセンター。そこに行けば生活上必要な品は大抵揃うと、この街に住む同級生は言っていた。俺も下着を買おうかと財布を覗くと所持金10円。5円チョコ2個買えるじゃん!! 超リッチじゃね!? でも風呂上がりの牛乳買えねぇ!! Oh Shit(ちくしょう)!!


「広視も替えの下着買ってく?」


「いや俺は10円しか持ってないからいいや」


「プッ…」


「いま鼻で笑ったろ!!」


 やべ、でかい声出したら周囲の視線を集めちまった…。


「うん」


「認めるのかよ!!」


「だってぇ、高校生で所持金10円はないでしょ!!」


「う、うるせぇ!!」


「まったくしょうがないなぁ、私が買ってあげるよ。お風呂入ってまた同じ下着穿きたくないもんね」


「マジで!? いいの!? サンキュー!!」


「うん、私も下着買いに行くからお金渡すね。じゃあまた後で」


 言って浸地は俺に野口さんを二枚渡してくれた。そういや野口英世の家は福島県のばぁちゃん()の近くだよな。


「それとも私と一緒に下着選びに行く?」


 マジで!? 俺が浸地の下着を一緒に選ぶ!? やべぇ、行きてぇ!!


「べ、別にお前の下着なんか興味ねぇよ」


 でも素直に行きたいとか言ったらきっとドン引きされるよな。


「広視の下着を一緒に選ぼうか、って意味なんだけど。顔紅くしちゃって、かわいっ♪」


「うっ…」


 こいつ、ハメやがった…。


 小さい時から、俺はこの女性(ひと)に頭が上がらない。

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