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いちにちひとつぶ2  作者: おじぃ
福島のなつやすみ編
26/52

飲ん兵衛ラーメン

 美里さんとサイクリングロードの終点まで着くと、お札になった偉い人の記念館や土産物店が建ち並ぶ国道沿いで祐紀さんという美里さんの友達とも知り合えた。


 祐紀さんの家は食堂を営んでいて、何かご馳走するよと招待してくれた。美里さんの手料理が…。とも思ったが、祐紀さんが腕を奮って食事を用意してくれるというので俺は、うほーいっ! という感じで素直に喜んだ。


 木造の店は吹き抜けになっていて、湖水風が心地良く冷房が要らない。


 メニュー表を眺めていると、一日二十食限定という気になるものを見付けた。


「あの、飲ん兵衛ラーメンってなんすか?」


 飲酒の後は無性にラーメンが食べたくなるというが、酒と合うラーメンなのだろうか。


 俺は未成年だから飲酒はしてないけど。うん、してないぞ。してない!


「飲ん兵衛ラーメンは醤油ラーメンに薄く焼いた卵を被せたメニューなんだけど、特に飲ん兵衛に向けたラーメンじゃないんだ」


 なるほどね。飲ん兵衛の町だからって理由か。


「じゃあせっかくなんで、それお願いします!」


「はいよー! 美里はなんにするぅ?」


「私はみそラーメン! 野菜たっぷりで!」


「はいよー!」


 注文を受けた祐紀さんは調理場に入り、麺を茹で始めた。


 ………。


「ここ、いい所でしょ」


 一分くらい沈黙が続いた後、美里さんが言った。


「はい! のんびりしてて、都会の喧騒を忘れさせてくれます。美里さんはこの辺の育ちなんすか?」


「うん! すぐ近くに住んでるよ!」


「へぇ、ならちっちゃい頃会ってたりすんのかな」


「そうかもね。広視くんは親戚のお家があるんだよね」


「えぇ。ここより駅に近い所です」


「そっかぁ。ところでさ、広視くんは一年生? 二年生?」


 なぜ三年生? とは言わないんだ? 俺そんなにチビか? もしくは童顔か?


「二年生っす。でもなんで三年生だと思わなかったんすか?」


 率直に疑問をぶつけてみた。


「だって、知り合ってから結構会話してるのに、いつまで経っても敬語なんだもん。ってことはつまり、広視くんは私のほうが学年が上かもと考えて、ヒエラルキーを意識して敬語を使ってるって推理だよ!」


 天然で抜けてるイメージあったけど何気に頭イイなこの人!


「頭イイっすね! 失礼ですが、美里さんは何年生なんすか? もしかして大学生とか?」


 すると、美里さんは驚いた表情を見せた。


「なるほど、私が大学生なら広視くんが高校三年生でも敬語使うかもね!」


 そうだ! 俺もその可能性は考えなかった! 童顔だから、せいぜい高3くらいだろうと。


「やっぱ私、抜けてるなぁ。さっきの、我ながら人間心理を突いた名推理だと思ったんだけどなぁ。ちなみに私は高校三年生だよ! でもだからって敬語使わなくていいからね! フレンドリーにいこう!」


「了解です!」


 俺は額に手を沿え、美里さんに向かって軽く敬礼した。


「ふふっ! 素直でよろしい!」


 あれ? なんとなくだけど、上下関係が発生したような…。まぁ軽い冗談程度だから気にしな~い。


「はいはいお待たせ~、みそラーメンと飲ん兵衛ラーメンで~す!」


 美里さんとの仲が一歩進展したところで祐紀さんがアツアツのラーメンを運んできてくれた。夏だからこそアツイラーメンでバテ防止だ。


「ありがと祐紀~」


「いただきまーす!」


「召し上がれ~」


 さて、食事の時間だ。祐紀さんも賄いの月見そばを俺たちが座るテーブルで一緒にいただく。

 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 猪苗代湖畔は夏でも湖水風が気持ち良く、冷房のない食堂でも熱いラーメンを抵抗なく食べられます。


 なお、作中のお店はいつもお世話になっているお店を基にしておりますが、架空のものです。

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