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いちにちひとつぶ2  作者: おじぃ
湘南のなつやすみ編
2/52

やまとなでしこイヤガラセ

 俺の勘が正しければ、恐らくこの大和撫子(やまとなでしこ)は…。いや、もうほぼ確信した。大甕(おおみか)なんて苗字、滅多にないし、なんとなく十年前の面影があるような。


「もしかして磐城くんって…」


「まさか、大甕さんって、悪ガキ浸地(ひたち)!?」


 違ってたらごめんなさいと気持ちを込めて俺は言った。


「やっぱり広視か!! 元気だった!?」


 マジかよ!? やっぱ小さいころ俺を散々痛め付けた悪ガキ浸地かよ!?


 驚く俺の両肩を嬉しそうに両手でポンポン叩く浸地。


「あぁ、まぁ元気でした」


 連絡を取ることさえなかった浸地と打ち合わせもなく再会だなんて、なんか信じらんないな。


「それにしても広視変わったね。逞しくなった。小さい頃は大人しくて、でも虫が怖くてよく大声出して泣いてたもんね」


「それはお前が俺の顔にハチなんか近付けるからだろ!!」


「違うよ~、そりゃカメムシとかジョロウグモを顔にくっつけて泣かせた事はあったけど、あれはハチじゃなくてトンボだよ。それなのに、刺される刺されるぅ~って大泣きしながら逃げ回って」


「嘘つけ! トンボとハチ全然違うだろ!」


 そう、浸地といえば、福島県のばぁちゃん()の隣ん家の孫で、俺より5歳上のお転婆娘。嫌がる俺を無理矢理引きずり回して顔にでっかいアオムシとかくっつけてきたり、近くの湖で綺麗な夕焼けを見せてくれたと思ったらウシガエルで顔面パンチしてきたり、散々な目に遭わされた記憶がトラウマになっている。それに浸地も嫌がらせした自覚あるんだな! カメムシとかジョロウグモって、明らかに悪意あるだろ! そういや浸地に虫くっつけられた後に家中激臭が立ち込めた事あったな。あれがカメムシだったのか。


「本当だって。ハチは刺されたら危ないからくっつけないよ~」


 それにしても、女ってこんなに変わるもんなのか。『歩く嫌がらせ』が今となってはすっかり大和撫子(やまとなでしこ)だもんな。これなら女優になれるんじゃね? 仲間由紀恵みたいな感じのキャラで。


 あぁ、なんか複雑な気分だわ。

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