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いちにちひとつぶ2  作者: おじぃ
湘南のなつやすみ編
18/52

悪ガキ浸地、活動再開!

 新幹線や箱根登山鉄道(はこねとざんてつどう)の走る小田原駅の山側に出て徒歩15分、小田原城や海が見渡せる高台にある大甕(おおみか)家、つまり浸地の家は、ホームシアターやプールまである大豪邸。浸地(ひたち)の両親は共働きで、お父さんは大手鉄道会社の駅長、お母さんは看護師である。ちなみに十年前、お父さんは電車の運転士だった。


 初めて招待された大甕家に、広視はただ驚き目を見張っていた。恐縮だが、アロハとオハナちゃんの住む烏帽子(えぼし)邸より豪華だ。などと思いつつ。


 屋根にはソーラー電池、玄関は静脈認証システムや監視カメラ、警備会社のステッカー、ニュージーランドから輸入したピンク色のタイル、リビングには50インチのテレビにホームシアターに白い皮張りのソファーと、同じく白い大理石のテーブル、その下に敷かれているベトナム製の茶色い手縫いの絨毯が部屋の落ち着いた雰囲気を演出している。天井のシャンデリアは、鈴蘭(すずらん)の形をしたものが六つ、円周状に取り付けられている。


 高価な電化製品が揃う大甕家であるが、自家発電が可能とはいえ、電力の使用を極力控えている。シャンデリアにはLEDライトを使用、家屋の外周には地下の冷たい空気を取り入れられるよう通気孔があり、縁の下から地下に通じるダクトと繋がっている。これで冷房器具の使用を大幅に抑制できるのだ。


 ◇◇◇


「ドリンク、ジンジャーエールでいい?」


「おう、サンキュー」


 50インチのテレビを点けず、ソファーに身を預けていると、浸地が氷のたっぷり入った細いステンレス製の取っ手が付いたグラスや、瓶の炭酸水と、『Confiture et Provence』というジンジャーシロップをトレーに載せて持ってきてくれた。読み方は『コンフィチュール エ プロヴァンス』。


 このシロップは口当たりがマイルドで飲みやすく、俺や俺の母親も時々購入している。いま浸地が持ってきてくれたのは、喉にやさしいカリンのフレーバー。他にもブルーベリや柚子など、多様なフレーバーが販売されている。


「私、おやつ作ってくるからジンジャーエール飲んで待ってて」


「何作るの? 手伝おうか?」


「ううん、大丈夫だよ。ありがとう。ギョウザ作るんだ」


「おやつにギョウザ?」


 ギョウザって普通おかずじゃね?


「うん。楽しみにしててね♪」


「楽しみにしてます」


 俺は言いながら、ふざけてテーブルに手をついて土下座のように頭を下げた。それを見た浸地は「しばし待っておれ~」と言ってキッチンへ戻った。


 初めて食べさせてくれる浸地の手料理に、胸を踊らせずにはいられない。


 浸地のギョウザ、楽しみだなぁ♪


 ◇◇◇


 キッチンで鼻唄を唄いながらギョウザのタネを作る浸地。十年ぶりに再会してすっかり逞しくなった広視に感心しつつ、相変わらず意地っ張りで、そのくせ甘えん坊なところに可愛いげを感じていた。


 広視は可愛いなぁ♪ 可愛いくて撫で撫でしたくなっちゃう広視に、お姉さん、ちょっとイタズラしちゃお♪


 十年前までイタズラをしては広視を散々泣かせてきた浸地は、また新たなイタズラを思い付いた。


 この後、浸地の手料理を心待ちにしてウキウキワクワクの広視に、悪ガキ浸地の悪夢が再来する。

 広視に襲いかかる悪夢とは!? 次回お楽しみに!

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