新しい世界への初めての一歩
黒い雲が空を覆い、土砂降りの雨が降っている。このクソみたいな天気は、まるで今日の就職活動の失敗を予告しているかのようだった。
でも、正直に言うと、少し感心してしまう。どういうわけか、俺が仕事を探す日の朝はいつも雨が降るのだ。
靴は雨に濡れ、失敗を象徴する泥の匂いをまとっていた。
こんなみにくい俺は、玄関の前に立ち、自分の身なりを整えている。
汗で服は濡れ、まるで「自己実現」という一歩を踏み越えたかのようだ。
顔向けできない俺は、玄関に立ちながら気持ちを整えていた。
ドン——!!
正直、もう何回目かは覚えていない。でも、今の俺はすごく自信がある。自信満々で、まるでもうプロの俳優になれるくらいだと思っていた。
「どうだったの?」
おばあちゃんは、いつも通り玄関のところで待っていて、期待に満ちた顔で問いかけてきた。
俺はわざとらしく伸びをしながら、気にしていないふうに言った。
「どうして面接官って、俺たちみたいな人間を落とすために、あらゆる手を尽くすんだろうね?」
おばあちゃんは、もう何も言わず、ただ顔を曇らせて長いため息をついた。
そうだ、次に俺はいつも通り、痩せたおばあちゃんをそっと抱きしめて慰めた。
「大丈夫、もう少し探してみるし、準備もちゃんとする。きっと見つかるよ。」
女の口は、嘘つきだな。きっと、そういうことだろう?
俺は慣れた足取りで台所に入った。皿を洗い、ご飯を作り、テーブルを拭き、おばあちゃんの好きなチャンネルに切り替えて、そっとドアを閉める。そしてノートパソコンを開き、大学では教えてくれなかったピディ愛撫の本をダブルクリックして開いた。こうして、気づけば、いつの間にか、いつの間にか。
ふと我に返ると、もう九時の目覚ましが鳴っていた。まるで現実に引き戻された操り人形のように、俺はまた自動で台所に歩き、おばあちゃんの洗面用の衣類と熱いお湯を用意した。
昔、ある本を読んだことがある。その内容は今でもはっきり覚えている。
「仮面は、生まれながらに持っているものでも、他人に強制されて着けさせられるものでもない。」
今でも、俺はその意味を理解していない。ただ、いつも通りにおばあちゃんに「ゆっくり休んでね」と言い、いつも通りに機械のようにキーボードを叩いて自分を麻痺させる。そして、おばあちゃんもいつも通り、泣き声を混ぜながら言った。
「坊や〜、私じゃ助けられないね。お前の両親はあんなに早くに亡くなって……もし……もし生きていたら、こんなことしなくてもよかったのにね。」
俺は村田美樹。今年二十四歳。海衔大学のコンピューター学科を卒業した。
あることが妙に思える。正月やお盆、あの親戚たちは毎年、古びた台本を手にしてこう言うのだ。
「美樹、お前たちコンピューター学科の学士なら、仕事なんてすぐ見つかるでしょう? 二舅の娘を見てごらん、同じコンピューター学科の学士で、広富市のあるパソコン会社で働いてるじゃない。毎月四十五万円もらってるんだって。彼女の父さんの話によれば、彼女、彼氏も見つけたらしいよ。それもコンピューター学科で、同じ会社で働いていて、毎月六十万円だってさ!」
こういうことを考えるたびに、つい笑ってしまう。多分、俺はよく怒る人たちが言う“病んでる”ってやつなんだろう。
でも、それと同時に、俺はいつも不思議に思うんだ。なぜ彼らはあんなに疲れながら生きているのか? 面子なんて、そんなに大事なのか?
ベッドに横になり、天井をじっと見つめる。理由は思い浮かばず、寝返りを打ちながら考え込む。共感もできず、ただ寝返りを打つだけ。
しばらくして、考えるのを諦めた俺は、また勝手に妄想し始める。
「もし俺がいなかったら、こんなにいろんなことは起きなかったんじゃないか? 社会はいつも通り、普通に回っていたんじゃないか?」
人生は舞台のようであり、舞台は人生のようでもある。ここでいう“舞台”は本当に劇のことだろうか? もしかしたら、ゲームなのかもしれない。
そうして、また気づけば、いつの間にか。
そうして、また、ふと我に返る。
自問自答のゲームの中で、俺の意識は徐々に薄れていき、まるで果てしない深淵の中心に落ちていくようだった。
無重力のまま漂い、まったく実感できない。
無重力のまま漂い、頭の後ろに置き去りにすることもできない。
どれだけ素晴らしい世界に生きられたらいいだろうか。そこには苦しみも悲しみもなく、傷つけ合いも嫉妬もなく、欲望や災難もなく、嫌なものは何もない。きっと、そこにいる人々は笑い声に満ち、楽しげに暮らしているのだろう。
余韻は響き渡り、脳裏に、夢の中に、果てしなく反響する。
そうして、いつの間にか、いつの間にか。
そのとき、男の叱責の声が意識の中で反響し始めた。だんだん大きく、だんだん大きく。
俺は目をこすり、ゆっくりと開いた。
目の前には、体格の良い中年の男が立っていた。身長は一メートル九十、肩幅は壁のように広く、肌は長年の風と日差しにさらされて黒く粗かった。
男は口に火が消えかけの煙草をくわえ、怒り混じりの強烈な煙の匂いを漂わせながら叫んだ。
「おい!! おい!! くそガキ!! まだやる気あるのか?! ぼーっとしてんじゃねえ!! ぼーっとしてたら出て行け!! 聞こえてんのか?! 俺は聞いてんのかって聞いてんだ!! 話してんだぞ、こら!!」
「す、す、すみません、本当に申し訳ありません。や、やります、今すぐやります……!」
俺はとっさに頭を下げて謝った。
だが、その言葉が口をついて出るか出ないかの瞬間、鼻腔を突き刺す異臭が一気に飛び込んできて、心臓が跳ね上がった。
「うそ……?!くっさ!!これ、なんの匂いだ?!」
「早くしろ!!」
俺が反応する間もなく、男の唾がまた顔に飛んできた。
俺はためらうことなく身を翻す。まるで尻尾を踏まれた猫のように、動きは地面で消された煙草の火のように素早かった。
「なんだこれ……くっさいし、黒黄色の塊って……人間の……?」
鼻をつまみながら、顔をしかめつつ心の中でぶつぶつ呟いた。
そのとき、あの男の怒声が背後から再び響いた。
「何をためらってるんだ?さっさとしろ!」
「は、はい、今やります……!」
俺はすぐに頭を下げ、手が微かに震え、胸の中は今まで味わったことのない慌てと不安でいっぱいになった。
目の前にある汚い排泄物を見て、吐き気とどうしていいかわからない気持ちが込み上げる。
「くっさ……もう無理だ……」
この鼻を突き刺す臭いに、思わず後ずさりしたくなる。でも、俺は歯を食いしばり、必死に自分を落ち着かせた。
「おかしい……!? どういう状況だ……!? なんでこの人に怒鳴られてるんだ……!? なんで俺がここで掃除してるんだ!?」
理由を聞きたくても、後ろの男を刺激したら余計に怒らせるだけだ。
俺は深く息を吸い込み、小さなシャベルで慎重に掃除を始めた。
「もういい……とにかく、この状況を片付けてから、理由を聞こう……」
背後からの怒声は相変わらず耳を突き刺すようだったが、俺の手は次第に動きに慣れてきた。
しばらくすると、汚れは少しずつ取り除かれていった。解放されるかと思ったその瞬間、男の怒声が再び背後から響いた。
「さっさとホースで流せ!!」
「な、何?!まだ洗い流すのか?!」
慌てて頭を下げて足元を見たが、ホースの姿はまだ見えない。
すると突然、怒鳴り声が再び背後から飛んできた。
「お前のお尻の後ろだ!!お尻の後ろだ!!目、見えないのか?!」
俺は答えず、ためらうことなく振り返り、かかとにホースを向けて汚れに水をかけた。
するとまた怒声が飛んできた。
「スイッチを入れねえでどうやって洗うんだ!!ああ!!」
この瞬間の俺は、魂を失った操り人形のようだった。振り向き、水栓に駆け寄り、ハンドルを捻る。しかし、予想通り、次の瞬間——
ドン——!!
強烈な水圧で汚れが飛び散り、中年の男まで全身びしょ濡れになった。
「終わった……!!終わった……!!もう死んだ……!!」
俺は顔面蒼白でこの光景を見つめながら、足は震え続けていた。
しかし、その後の出来事は、予想外で生涯忘れられないものとなった。
彼は一言も発さず、素早く俺を押しのけ、水栓を閉めると、そのまま扉を開けて外へ走り去ったのだった。
俺はぼんやりとその場に立ち尽くし、まるで空気までが一瞬で凍りついたかのようだった。
「……」
ドン——!!
それからさほど経たないうちに、彼は長い雑巾とスプレーを手に、糞の穴へ一直線に向かっていった。
俺はまるで悪さをした子供のように、黙って彼の後ろに立ち、これからの処理を見守るしかなかった。
水栓を素早く開け、壁面を洗い流し、溜まった水をかき出す。スプレーを吹きかけ、雑巾で何度も拭き上げる。その動きは一気呵成で、ほとんど反応する暇すら与えないほどだった。
こうして、どれくらい経ったのかもわからないまま、ぼんやりしたノックの音が意識の中で突然響いた。
ドンドンドン——!!ドンドンドン——!!ドンドンドン——!!
その音はますます大きく、ますます響き渡り、やがて木の扉がゆっくりと開いた。俺はその音に引き戻され、すぐに現実に意識を戻した。
「は、はい。」
「お邪魔します。あなたはアイリーン・フィールド様でしょうか?」
目の前に立つ背の高い、端正な青年のウェイターは、微笑を浮かべ、落ち着いた口調でそう尋ねた。
俺は混乱して問い返す。
「私……ですか?」
「胸元のバッジに刻まれている名前は、このお名前ではありませんか?」
彼の声は変わらず穏やかで、口元にわずかな笑みを浮かべていた。
俺はゆっくりと頭を下げると、銀色のバッジが視界に入った。次の瞬間、頭の中が真っ白になった。
「これ……どういうこと?俺、寝ていたんじゃ……?……どうしてここに……?」
「当店のオーナーがフロントでお待ちです。ご一緒に向かっていただけますか?」
男のウェイターの声が、再び穏やかに響いた。
「一体何が起きているんだ……?これ……これって……」
「当店のオーナーがフロントでお待ちです。ご一緒に向かっていただけますか?」
男のウェイターの声が再び響くが、先ほどよりも少し苛立ちが混じっているように聞こえた。
「あ、はい……すみません。」
俺は慌ててそう答え、恥ずかしさに顔を赤らめながら、急いでドアを閉め、彼の背中に続いて廊下を進んだ。
壁にかかる斑点のある油絵は、まるで古代の叙事詩の幕のように見えたが、そんな余裕はなかった。
しばらくすると、頭の中で焦燥が爆発した。
「やばい!!やばい!!さっきのあのおじさんだ!!まさかこのおじさんが、あの人が言ってた店長……?!」
広間が徐々に視界に入ってくる。俺は胸のざわつきを必死に抑え、心の中で自分に言い聞かせる。
「大丈夫、大丈夫……きっと大丈夫……」
「こちらが、当店の店長です。」
男のウェイターが突然振り返り、手を差し出して紹介した。
その瞬間、俺の心臓は一気に早鐘を打つように跳ねた。
「え……?!本当に当てた……!!終わった……終わった……」
俺は自分が罰せられると思っていた。しかし、次に起こったことは予想を超えていた。
「はい、これが今日の給料だ。」
目の前の中年男性は無表情で、冷たくその短い言葉を吐き出した。
しかし、たったこれだけの簡単な言葉が、今の光景をまるで映画の一コマのように刻み込んだ。
その瞬間、俺は時間の裾を掴めたような気がした。