表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/22

双子

[双子]


不老不死と言われた双子の話をしよう



まだ日が長く、暖かい日のことだ。

道をコツコツと長い足で鳴らし、周りの視線を掻っ攫っていく二人組がいた。

これぞ美男美女、と言わざる風貌の二人組は、お互いの顔がよく似ている。雰囲気は全く違うのだが……。


甘い顔立ちの男に、狐のような女。

白い髪がよく映える顔立ちに、長いまつ毛がふわりと揺れる。

不気味だが、儚さを持ち合わせている二人組だった。


この双子はいくつもの都で有名で、いつの年代の人に聞いても、

“あの二人は見た目が変わらない”と次々に口にする。

沢山の都を旅する正体不明の二人。

何の仕事をしているのか、どこへ向かっているのか、何一つとして知られていない。

少年少女からは、憧れの視線を向けられ、女性男性からはよく交際を申し込まれる。


そんな双子の過去の話をしよう。



朝日が雪を照らした日の事だ。


ある平凡な家にとても麗しい双子が生まれた。

雪に負けない天性の白い髪を持つ、可愛らしい双子。産声を上げた時から天使のように美しかったとか。


その双子は、成長すると共に美しさを増していった。それまるで、大天使になるかのように美しくなっていく。


周りはその二人の綺麗な顔にとても驚いた。妹の方を聖女だと言い出す輩もいたほどに。そんな双子がいる事はたちまち周りに広がった。

“儚い白髪の双子がいると”。


だが、その双子は容姿を鼻にかける事はなかった。それはお母様が、

“容姿とは偶然持ち合わせた物であって、貴方達の努力によって手に入れた物ではありませんよ”

と言い聞かせていたからであった。よくできた母親であったのだ。


ある日の夕方

親は目を疑った。

丁寧に閉じられた蝋のスタンプには王室の紋章。震える手で封を開け、手紙を広げる。

そこには、王宮からの直筆手紙。達筆な文字から滲み出るガサツそうな性格。

紫のインクがより緊張感を持たせた。

そこ手紙にはこう書いてあった。


“麗しい双子のお母様。

 明日午後二時半。双子を王室に連れてるか   事。あぁ貴方に拒否権はありませんよ。所詮市民ですからね。

死刑になんて簡単にできる。

どうしても嫌ならば、双子を殺してしまいなさい。

第二王子。”


母親と父親は絶望に落とされた。

大切に大切に育てた我が子を、殺すか、王に引き渡すかの二択。

二人は、選択を余儀なくなれた。


そして、二人を旅に出した。王室から逃すために……。齢十五の二人は、家から追い出されたのだ。行き先もなく、ただ言われたのは

“決して戻ってきてはいけませんよ。いつか私がむかいに行きますからね”

の一言だけだった。


二人はその場から姿を消した。

たった一瞬で。



数十年後。単純に数えたら二十三歳。だが、見た身は十五歳のままだった。幼い天使のような見た目……。



どの町に行っても、人々はその二人の顔に魅了された。

勿論人攫いに連れ去れそうになったり、知らない人に追いかけられたりする事もあった。

だが二人は無事であった。



二人を攫おうといた人攫いに話を聞いた。

牢の中に入る無様な男はこう言った。

“二人組はいつのまにか売り物にもならない、老人に変わっていた”と。


二人を追いかけていたクズ野郎は、こう言った。

“二人はいつのまにか居なくなっていた”と。


捜査は難航した。

何の手がかりも得られなかったからだ。



僕は妹と、家を追い出された。

だが母が言っていた事は何となくわかる。

何か、僕達の身に危険が生じたのだろう。だが、理由くらい教えてくれてもいいと思う。

僕と妹は身も守る術を教えてもらう為、森に潜った。

森に突如として姿を消した魔法使いがいると聞いたからだ。



どうだっただろうか?

これが不老不死と言われた双子の過去だ。



『ああ、求婚はお断りですよ。貴方のようなお美しい人は、僕じゃなくていいと思います。えっ、あぁ違う? すいません。

取材ですか……、取り敢えず内容は聞きますね。

ああ、僕たちは楽しいですよ。絵本見たいな冒険みたいでしたもん。魔法を見たり、綺麗な景色を見たり……でも妹が一番美しいですよ。いつ何時でもね。

後、僕たちはどれだけ危険な目にあってもこの姿を変えようとは思いません。

いつか、母に抱きしめてもらうために。

いつか、母に見つけてもらうためにね。

あの頃から姿を変えてしまっては、見つけてもらえかもですからね。

えっ、方法? 僕たちは幻術を使って、姿を変えているのですよ。()に教えてもらいました。

はい、通る道にいる全員に魔法をかけて歩いています。

えぇ、なので他の人に言わないでくださいでね。逮捕されてしまいますから。」


No.7 母の愛情に取り憑かれた双子。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ