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魔法使い

[魔法使い]


破天荒と言われた魔法使いの話をしよう



ジメジメとした森の中。

そこに今日の寝床を作った魔法使いがいた。オールバック気味の前髪に、長い後ろの髪。暗くてよく見えないが、きっと赤く光る髪の持ち主だろう。

瞳は歪な形の色付き眼鏡で覆われているが、美形そうな顔立ちをしている。


火の燃える灯りと、装飾が凝られているランタンだけが光っている。

テントは三角形の古い形の物。


あのテント中には何があるのだろうか?

見かけによらず広いかもしれない。

見た事もない動物がたくさんいるかもしれない。

別世界と繋がっているかもしれない。


彼は何をしでかすかわからない魔法使いの一人として有名だ。

いきなり魔法の箒なしに空を飛び始めたり、杖を構えずに紅茶と椅子をだしティータイムを始めたり……噂は尾鰭をつけて人から人へ伝わり本当の姿は誰も知らない魔法使いとなった。


だが、皆が口を揃えて言うのは、

“彼は放浪者だ”という事。彼の名前を聞いたら皆がそういうだろう。


素晴らしい実力をもつながら、どこの魔法団にも属さない。コレは歴史上でも数少ないことであった。

いきなり戦場に現れては、状況を滅茶苦茶にしてその場を立ち去る。コレは戦場にいる悪魔のようだった。


かの勇者も、“彼とだけは同じ場所にいたくないよ”と明言した事で有名だ。


そんな魔法使いの過去の話をしよう。



とある小さな町に厄災と言われる赤髪の男の子が生まれた。森に囲まれ、世間とは違った生活を行う人々が暮らしている町。

地図にも載らなような町だ。


そこは、世間では見なくなった魔女狩りの伝統が深く根を張る地域だった。今現在は魔女や魔法使い、魔法を生活で使う者をよく見るが、昔は迫害を受け、処刑の対象だったとか。

そんな魔女の象徴と言える赤髪はそれはもうとことん、嫌われていた。


自分で厄災を産んだことを受け入れなかった彼の母親は、彼を森の中に捨て養子を迎えいれ、とても大切に育てられることになる。


そして彼は、生まれて間もない頃に一人で生きていく事を強いられた。緑の森に不自然にある赤い髪。

彼の泣く声は、静かな森に響き渡った。



それから何年経った頃だろうか?

彼はもう魔法を使えるまで成長した。独自で杖を作り、独自の魔法まで創り上げて生活を行えるほどには。

やはり彼には魔法の才があったのだ。



僕は生まれた頃から一人だった。

いいや、意識があった頃から一人だった。


親はいないし、友達もいない。

なんなら自分の名前すらわからない。

“この世に神様はいない”

コレが僕が最初に思った哲学だった。


神様がいるなら、僕は親に捨てられないし、家もある筈で……。友達と一緒に笑える筈だから。


文字は読めるし、書ける。

森に落ちている本を拾い集めたから。


生活にも困らない。

魔法が使えるし、生まれた時からこの環境だから。


だけど、言葉は喋れない。

だって喋ってくれる人がいなかったから。


僕は自分の楽しい事だけして生きていきたい。

僕は思うがままに生きていきたい。

僕は足が動く方にいつまでも歩いていきたい。

……自分のために魔法を使いたい。


彼は、強く大地を踏んだ。

その後ろ姿に宿る魔力は、千年の時を修行した仙人にも負けない程の強さだった。



彼を偶然にも森で見つけた、猟師は度肝を抜かしたと言う。

だってまだ十にも満たないであろう少年が、一人で狩りをし、生活していたのだから。コレだけならまだしも、少年は見た事もない魔法を使っていたのだから。

その猟師は少年のことをこう言った。

“赤髪の幼き魔法使いは最強クラスだ”と。


この事は各国を騒がせた。

皆強い戦力が欲しいから。

ある国は、彼を探す専用部隊を制作した。

まだある国は、彼に懸賞金をつけた。

だが、少年は見つからなかった。森の中に突如として、姿を消したのだ。



どうだっただろうか?

これが破天荒といわれた魔法使いの過去だ。



『よく僕を見つけ出したね……。

人間に会うのは久方ぶりだな。折角このような場所であったのだ。雑談くらいはしようか。

……僕は、この生活も悪くないと思っているよ。親を憎んだのは、最初の数年くらいだ。その後は、感謝もしている。僕を自由にしてくれたことに対するな。実はいうと、数年前故郷を見つけ出してな。

たが、親は僕のことを全く知らない様子だった。それどころか、

“赤髪よ! この子に近づかないで”と叫ばれたよ。

二十歳以上はいっているであろう小太りの人を抱きしめながらね。

本当にあの親の元で育たなくてよかったよ。

ああはなりたくないからね。』


No.5 自由に生きたい魔法使い


ー追記


彼は杖を使い空中に文字を書いて、会話をしてくれた。

この魔法は、どの魔法書にも載ってはいなかった。

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