この鏡、すごく怪しい!あの呪文
『レビテト』
フワッと地面から足が浮く不思議な現象にワタワタしながら、バランスを整え真っ直ぐ立てるようになるまで、ちょっと時間がかかった。
沢山有る木板に記載、正確には刻まれていたのだが魔法と呼ばれる類いの術式だった。
残念ながら武器の類いはみつからなかったのだが、とりあえず浮遊魔法であるレビテトを試していた。
レビテト以外にもいくつかの魔法を習得したのだけど、それ以外の魔法を試してみるにはここでは場所が悪すぎたので使用を控える。
あたしは地面から数センチ浮上していたのだが、魔法の効果が切れて着地。
はじめて自分の身体が地面から離れての浮遊、そして着地にバランスを崩す。
「トトトト、」
武器がないのはちょっと心細いけど仕方ない。
ゼルダ城、宝物庫の一室。 どうやら伝説と呼ばれ遥か昔に失われた魔法の研究をしていたらしい小部屋。
この小部屋におかれていたものを検分して得た解答。
「やっぱり気になるのよねぇ」
鏡に写るのは足先までを覆う丈の長い垢茶色のマントを揺らしてしかめっ面で鏡に写り込むあたし。
鏡の表面を、ペタペタと触りながら確かめる。
コンコンと、握りこぶしを作って軽く叩く。
響いて反ってくる音が違うし、 鏡自体も動きそうな感触。
最初にこの鏡に触った時になんとなく違和感を感じていたのだ。
微妙な音の違い。
こう見えてもあたしの耳は良い方なのだ。わずかの音も聞き逃さない自信はある。
この鏡の向こう側に人の気配はなさそうだけど、と鏡に耳を当てて確認。
『ひらけ! ゴマ!』
なんとなく念じてみたけどこれで開いたら苦労はしない。
「よっこらせ!」