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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
天下統一編

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九十一話 出没

?「友誠をやったのはてめぇらだな」

血走った目でこちらを見てきた。


将英「ああ、オレが殺した」


?「オレはあいつの同期の純一だ。大事な仲間を殺した連中をほっとくわけにはいかねぇ」


俺「悪い、この大柄男がやったってのは嘘だ。本当は俺が全部やった。友誠とかいうやつ、幹部の割に弱かったぜ?」


純一「それ以上口を開くな」


俺「あんな弱いやつが幹部になれるってことは、坂本軍って大したことないのかな? えっ! まさか、俺たち坂本軍を買い被ってたのかも・・!!!」


純一の手が震えている。いいぞ、もっと怒れ!


俺「お前も俺の腕一本で十分そうだ。好きにやり合おうぜ」


了斎「わしが背後を突く。相手の隙を作れ」


俺「了解」


純一「どうせ二人で挟み撃ちにするつもりだろう。浅はかな作戦だ」


俺「違うよ。俺一人でお前を殺す」

針で純一を囲った。


純一「クソ、何だこれ!!」

普通の武士の力でこの針をどうにかすることは出来ない。


俺「え、もう殺すけどいいよね? あ、そうだ! 最後に友誠に伝えたいこととかない? 死体なら持ってこれるけど」


純一「さっきからガチャガチャうるせぇなお前は・・」

針を乗り越えてきた。


まぁ、この程度で終わるとはこちらも思っていなかったさ。


俺「真っ向勝負だな、もう術は使わないと誓うよ」

俺はこの数ヶ月、刀だけでのやり合いに重きをおいて鍛錬していた。

両手ある時の俺よりも剣術の腕前は上がっている!!!


純一「受けて立つ!」


俺「喰らえ!」

数分間の剣戟の間、味方がずっと俺たちを眺めていた。


俺「おい、お前ら俺のこと見てねぇで味方助けてやれ! 俺のことは良いから!!」

すると皆散っていったが、了斎は残っていた。


俺「おい、了斎!! 早く!」

ここにいたって意味がない。一騎打ちなんだし・・


了斎「清次のことはほっておけん!」

出たよ、了斎の保護者ヅラ・・



俺「黙れ!」

手元を蹴り、純一が手を押さえているうちに足を切った。


純一「がぁぁぁあ!!」


じゃあいい、今終わらせてやる。


純一「いつまでも喋ってんじゃねぇぞこの野郎!!!」

了斎「はっ・・」

ほっとした了斎の表情が見えた。


俺「お前はなかなか強かったよ・・純一。数ヶ月前の俺だったら負けてるかもしれない」


純一「まだ、負けるわけには・・・・」


俺「仲・・良かったんだろ。連れてくるよ」

友誠の首を倒れている純一の前に置いた。


純一「友誠・・」

純一が刀を捨てたので、俺が純一の手に友誠の首を乗せた。


純一「すまない、俺が弱かったせいで・・・・」

純一の瞳から涙が流れていた。


純一「もうすぐ・・お前のもとに行く。俺らが行くのは地獄かもしれねぇけど・・友誠とだったら俺は地獄でも構わない」

純一の手から力が抜けていき、友誠の首が転がった。


俺「・・息を引き取ったよ」


了斎「どうして、最後だけこいつに寄り添った?」


俺「俺が了斎を失うのと、変わらないと思ってな」

すげぇ仲良かったみたいだし、その二人を殺してしまった責任は大きい。そして純一の苦痛も大きかったはずだ。

それを無下にはできないよな・・


了斎「どういうことだ?」


俺「だから、なんかこう・・大切な仲間っつうか親友っつうか・・」


了斎「はっきり言ってくれよ」


俺「だから、相棒が死んだら悲しいだろって!」

わざわざ言わせんな恥ずかしい。


了斎「清次、わしを相棒と思ってたのか?」


俺「はぁ?」


了斎「ちょっと、嬉しくて」


俺「あーもううるせぇ。さっさと他の幹部探せ」


 俺たちは久遠さんのところへ駆けつけた。


俺「純一は倒した。今の状況は?」


久遠「よくやった、茜が一人幹部を射抜いたようだ。心臓を貫いたらしい」

やっぱりすげぇ技術だな・・多少は弓を練習したこともあるが、そんなぴったり狙えるものなのか。


了斎「他の幹部は?」


久遠「今、羽音が戦っている。オレは引き続きここで兵士たちに指示を出す、お前たちは助けに向かってくれ」


俺「了解!」


 羽音が戦ってるのは・・あそこか。亡霊が見えた。


俺「羽音!」

やはり女性一人では心もとないか、力で押し負けている。


敵軍幹部「クソ、増援かよぉ!」

なんだか気弱そうなやつが言った。


了斎「わしは変わらず背後を狙う、清次は術も使ってできるだけ危害を加えるんだ」


俺「任せろ!」


敵を足元に棘を出した。

最近はこの術も磨きがかかってきてな・・針どころか棘の大きさになってきた。これが刺さったらただじゃすまない。


俺「さぁ、お前は一歩でも歩いたら足の激痛でもう終わりだ。どうする?」


羽音「助けに来てくれたの・・!」


俺「ああ、久遠さんの指示でな」


羽音「ありがとう、助かった」


敵軍幹部「ああどうしようどうしよう・・動けない!」

よし、混乱してるな。

ただ、本当にこいつ幹部なのか?全く場馴れしていないように見える。


了斎「ふっ!」

背後から火球を飛ばした。


敵軍幹部「わぁぁぁぁ!! やめて!!」

敵が重心を落とし、転がるように棘を超えて逃げた。


俺「は!?」

さっきまでの姿からは想像もできない瞬発力と対応力・・・・


羽音「ほらボケっとしてないで!」

羽音が敵の周りに亡霊を召喚した。


敵軍幹部「もう! やめてくれよ!!!」

亡霊を全て薙ぎ払った。

こいつ、言葉と行動が一致してねぇ・・


了斎「はっ!」

飛び込んで斬ろうとしたが、刀で弾かれた。


俺「今だぁぁ!!」

敵のもとに棘をまた出したがそれもまた弱気な言葉を吐きながら避けやがった。

わかってきたぞ・・こいつは気が弱いだけで内に秘める能力はずば抜けていやがる。


羽音「はぁ・・はぁ・・」

羽音の息が上がっている。術を連続で使いすぎたか・・


俺「羽音、一回攻撃をやめろ! 攻撃を避けることに体力を使え」

やはりまだ体力は物足りないか。


了斎「致し方ない、増援要請をする」

了斎が笛を鳴らした。


俺「ああ、こいつはやべぇぞ・・」

段々と俺たちはこいつの強さを実感し始めていた。


俺「ああそうだ、一個気になることがあるんだ」


敵軍幹部「な、なんですか・・」


俺「お前はどの軍の幹部だ? 名前は?」


敵軍幹部「ぼ、僕は栗斗軍幹部の大昌(だいしょう)です・・」


俺「は? 栗斗軍!?」


      *


 栗斗軍の根城に侵入した。


雷煌「敵が出てきたら誰が先に対応しますか・・?」


俺「俺がすぐに殺す。お前たちは何もしなくて良い」

忍び足で城の中を歩いていると、近くから会話が聞こえてきた。


霧島「おそらくここだ。戸を開ける時間で敵に猶予を与えちまうから、瞬間移動で中に入ろう」


俺「ああ」


中に入ると、七人の兵士が地図を囲んで話していた。


俺「お前ら、地図は汚さないように殺せ!」


獅電班「了解!」


地図になにか大事な情報があるかもしれない。この七人を殺した後、確認しよう。


敵兵「お前ら、かかれぇぇぇ!!」

全員が同時に雷煌を狙ってきた。

なるほど、子供から狙うか・・


雷煌「なーんだ、術も使えない人たちだったか」

五人を雷刀で切り捨てて言った。


敵兵「な、何だ今の・・!?」


雷煌「ちょっと! 地図を踏まないでくださいよ・・見たかったのに」


敵兵「おい! 地図を今のうちに・・」


晃牙「させない」

地図を破ろうとした二人の首を斬った。


俺「おそらく、今の戦闘の音でこの城の中にいる兵士がここへ集まってくる。地図を見るのは後にして、敵が寄ってくるのを待とう」


雷煌「地図は丸めて僕の懐に忍ばせておきます」


俺「ああ」


予想通り、足音が四方八方から聞こえてくる。


俺「全員、違う方向を向いて待とう」


敵兵「何事だ!!」

戸を蹴り飛ばして入ってきた。

もう少し城を大切にしろ。


霧島「いっけぇぇぇぇ!!!」

霧島は少し手こずっていたが、一つ目の波は越えた。


俺「まだ足音が聞こえる、気を抜くな」


敵兵「何か妙だと思ったら・・敵兵の侵入を許してしまっていたか。不甲斐ない」


俺「気をつけろ、こいつは前情報でも名前が出ていた兵士だ」

高い身長に長い髭と髪。間違いないだろう。


敵兵「俺を知っていたか。まぁいい」


霧島「栗斗軍一の大剣豪・・幻翼(げんよく)刃舞(じんぶ)風雲士(ふううんし)だな」


幻翼「その長い名前をしっかり覚えてくれているとは。生真面目な武士だな」

五人を目の前にしてもこの堂々とした対応。先程までの兵士たちとは格の違いを感じる。


俺「お前のような図体の大きいやつが城の中で戦うのは不利なんじゃないか?」


幻翼「お前は身長が小さくて羨ましいよ・・獅電。わかった、こうしよう」

俺の名前も知っていたか・・まぁ不思議ではない。


幻翼がそこら中を切り始め、城内が一つの大きな空間になった。


俺「崩れないか?」


幻翼「そん時はそん時だ。今は戦いに集中しよう」

人と戦うことしか考えていない変人とは聞いていたが・・本当に他のことは気にしないんだな。

しかし、誠実さは感じる。所作も言葉遣いも綺麗だ。


俺「五人でかかるのは少々卑怯かもしれないが、こちらも軍の今後がかかっている。総力戦でいかせてもらうぞ」


幻翼「俺は結果など気にしないから構わん。武士の頂点である獅電と相まみえることが出来たのであれば、ここで死ぬのも本望だ」


霧島「イカれてやがんな・・」


俺「絶対に幻翼の斬撃を喰らうな、おそらく一撃で致命傷だ!」

幻翼との剣戟が始まった。


幻翼「くっ・・なるほど、速いな」

速度は俺の圧勝だ。しかし、幻翼はかなりの技術を感じる・・常に最も正しい弾き方をしており、まともに攻撃が入らない。


雷煌「刀を狙うだけなら出来るはず・・!」

雷煌が雷刀で幻翼の刀を斬ろうとしたが、幻翼は柄で雷煌の腕を突いた。


繭「危ない!」

繭が雷煌を庇っていたが、幻翼はそれ以上雷煌を狙おうとしなかった。

何だ・・?とどめを刺すことはできたはずだ。幻翼であれば・・


幻翼「ふっ・・」

幻翼が俺の手首を掴み、刀を動かせないようにしてきた。


霧島「そりゃないぜ・・刀でやり合ってくれよ」

霧島が俺を瞬間移動で離した。


俺「ふぅ・・助かった、霧島」


晃牙「もういい。獅電、幻翼・・より、強い。から・・」

晃牙が術を使って幻翼の動きを封じた。


霧島「もう、完全に動けなくなったのか・・?」


繭「多分。獅電さん、もう倒しましょう」


俺「ああ」

幻翼の両腕を斬ろうとしたとき、何者かによって刀が遮られた。


霧島「誰だ!?」


?「おいおい、動けなくなっちまって情けねぇなぁ、侍大将さんよぉ!」

敵兵が幻翼の髪を掴んで揺すぶった。


幻翼「く・・・・はっ!!」

幻翼が目を覚ました。


俺「お前の名は?」


?「俺は坂本軍大将、坂本成秀(なりひで)だ。別に城内の戦いなんてどうでも良かったんだけどな、暇だから来てみたのさ」

坂本・・こいつが大将だったのか。しかも栗斗軍の城に潜んでいたとは・・先に見つけておくべきだった。

それにしても、坂本はかなり若そうに見える。明るい茶髪の青年だ。


俺「大将がここまで上がってきて、何の意味がある? 部下たちはどうした」


坂本「そんなの侍大将とか旗本に任せときゃ良いんだよ。俺は自由にやりてぇんだ。な! 幻翼さん!」


幻翼「俺はその意見に賛同できない」


坂本「まったく・・頭が固い奴らが多いなぁ。だから負けるんだよ。実際、幻翼も負けそうだったじゃねぇか」

幻翼の肩に手を回して言った。


幻翼「放すんだ」


坂本「ったく、何だよさっきから冷たいな・・同盟結んでんだから仲良くしようぜぇ?」


幻翼が坂本の腹を切った。


坂本「ぐぁぁ!!」

坂本が腹を押さえて前に倒れ込んだ。


霧島「は!?」


幻翼「坂本を殺したのは宰川軍兵士であるということにしてくれ。俺がやったとなると立場が悪くなる」


坂本「クソ・・この野郎!!!!」

幻翼の顔に坂本の一撃が入った。


幻翼「ぐはっ・・・・!」

幻翼が刀を落とした。


坂本「ここでお前も殺してやる・・俺は最期まで自由にやらせてもらう! 今後の坂本軍は知らねぇ!!!」

坂本は幻翼の顔を殴り続けた。


俺「雷煌、風雅を今すぐに連れてきてくれ」


雷煌「はい!!」

高速移動で城の外まで出ていった。


坂本「はぁ・・こんなつもりじゃなかったんだけどなぁ。俺だってお前らと戦いたかったよ」


霧島「知らねぇよ、お前が勝手なことするからだろうが」


 坂本が言葉を発さなくなったが、息はまだ残っていた。


俺「あと数分で死に至る。それまでに雷煌が風雅を連れてこれば・・」


雷煌「獅電さん! 戻ってきました!」


俺「風雅! 今すぐにこの男を治療しろ」


雷煌「え、何で・・」


坂本の傷は治り、ゆっくりと起き上がった。


坂本「何で、俺・・もう死ぬんじゃ・・」


俺「お前には死などという軽い罰じゃ足りない。まだしばらく生きてもらうぞ」


坂本「んだてめぇ!」


俺「落ち着け、もう刀は外に放り投げた。抵抗する手段はお前にない。それとも・・拳でかかってくるか?」


坂本「俺をこれからどうするつもりだ?」


俺「坂本軍の城へ連れて行く」


坂本「何でだよ・・」


俺「お前が降伏したと言い、戦を終わらせる」


坂本「今、俺の城に兵士はほとんどいねぇよ・・尾田軍の方へ派遣した」


俺「では、尾田軍の方へ連れて行く」


坂本「わぁったよ・・行けば良いんだろ・」


俺「まだだ」


坂本「はぁ?」


俺「栗斗軍に勝ってからだ。お前なら知っているはずだろ? 栗斗の場所を」

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