九十話 反撃
尾田軍の陣地までやってきた。
オレ「おい、なんか人数多くねぇか・・?」
美咲「完全武装の武士が数千人待ち構えてるとは・・今日来るってことは知らなかったはずだよね?」
火蓮「栗斗軍や坂本軍の兵士も混ざっておるんじゃろ。大した問題ではない」
信雄「作戦は変えずにやりますよね?」
オレ「ああ。やるぞ」
城の頂上に雷を落とした。
兵士たちのどよめきが聞こえてくる。
オレ「作戦開始ぃぃぃぃ!!!」
一斉に兵士が走り始めた。
剛斗「うおおおおお!!!」
火蓮「・・本当にやるんじゃな?」
オレ「ああ、やるんだ」
見せしめとして、尾田軍の城は焼き討ちにする。
宰川軍を敵に回すとこうなるんだと、教えてやる必要がある。
非人道的な気がしなくもないが、悪にはより大きな悪で立ち向かうのが一番だ。
なんせ、この世に『正義』なんてものはもう無いからな。
オレ「撃てぇぇぇぇ!!!!」
火蓮が彩色炎の火球を城へ向かって乱射した。
城から多くの人間が逃げ出し、元から外に居た敵兵はだんだんと減ってきた。
法螺貝の音がそこら中に鳴り響いた。
オレ「何だ!?」
美咲「見て、あっち!」
西から大量の兵士が突撃してきた。
オレ「総員! 反撃準備!!」
全「はっ!」
クソ、増援か・・
火蓮「ここは通さん!」
放たれた炎は、一直線上に燃え広がった。
兵士「久遠さん! こいつら、さっきまでの奴らより強いです!!!」
オレ「おそらく、先程までの敵兵は足軽だ、戦況を見て精鋭を送り込んできた! 全員迎え討てぇぇぇ!!!」
兵士「ぐぁぁぁああ!!」
味方の悲鳴が何度も聞こえた。
剛斗「久遠!!! やべぇのがいる!!!」
オレ「何処だ!」
剛斗「こいつだぁぁぁぁ!!!」
一人の敵兵を掴んで地面に叩きつけた。
敵兵「刀も使わずによくやるじゃねぇか!」
何故平気そうにしている?かなりの勢いで地面にぶつかったはずだ。
美咲「幹部級が一名! 幹部はここへ! 幹部以外は引き続き敵兵を迎撃!!!」
全「了解!」
オレ「よくもオレの部下たちをやってくれたな!!」
敵兵「まぁ落ち着けや。もう少し楽しもうぜ?」
オレ「は?」
源次「俺は坂本軍幹部の源次だ。よろしくな。生まれつきなんだが、俺は痛みを感じなくてな。おめぇらの攻撃は全く効かねぇんだ」
信雄「何故坂本軍幹部がここに!?」
源次「さぁ、何でだろうな。俺が幹部だと気づいたそこの姉さん見る目あるじゃねぇか!」
源次が美咲を蹴った。
美咲「くっ・・!」
オレ「貴様オレの女によくも!!!!!」
源次「知らねぇよ武士が恋なんてしてんじゃねぇ!!」
羽音「はっ!!」
源次の頬を平手打ちした。
源次がのけぞる。
源次「は・・?」
何故斬らなかった・・?
羽音「恋をするもしないも、個人の自由です。そして、恋には職も立場も関係ないのです!!」
源次の顔を蹴り飛ばした。
源次は鳩が豆鉄砲を食ったような表情のまま立ち上がる。
源次「何でお前がそんなに怒ってんのかは知らねぇけど・・痛くねぇって」
信雄「はっ!」
信雄が源次の背中を切り刻んだ。
源次「あ? 何してんだお前」
数秒後に源次は倒れた。
信雄「痛みを感じないというのも難儀なものですね。そもそも痛みには、病気やけがなどで損傷した組織を修復する間、体を動かさないように警告する役割があります。斬られた場所に気づけないというのは武士として致命的かと」
刀を眺めながら言った。
源次「クソ・・・・」
羽音「恋ぐらいさせて!」
そう言って源次の首を斬った。
美咲「やっぱりそこが気に食わないんだ」
半笑いで言った。
剛斗「おい! あそこを見ろ!」
一つの集団を中心に、味方が次々と倒れていった。
オレ「クソ、きっとあれが精鋭班だ!」
美咲「行くよ!! って・・」
信雄「はぁぁぁぁ!!」
信雄が背後から刺されていた。
オレ「信雄!!!!」
剛斗「この野郎ぉぉぉぉ!!!」
信雄を刺したやつを殴り殺した。
オレ「翔斗は何処にいる!」
今すぐに手当をしてもらわなければ。
美咲「待って、今鳴らす!」
美咲が笛を鳴らした。
羽音「まだ敵が残ってる、行こう!」
精鋭班のもとへ追いついた。
見ただけで分かる。只者じゃねぇな・・全身血まみれだ。
敵兵「オラァァァ!!」
剛斗「はぁっ!!」
敵の手首を折った。
敵兵「ぐぁあああ!!」
美咲「精鋭はおそらくあの六人。一人ずつ倒していった方が良いと思う」
オレ「ああ。ただ、使用術が分からない限り無闇に突っ込むことは出来ない」
どうする・・?
剛斗「まとめてかかってこい!!!」
オレ「まとめてかかって来させるな!!!」
美咲「あのバカ・・!」
火蓮「剛斗、戻ってくるんじゃ! 一旦妾が火を放つ!!」
剛斗が走って戻ってきた。
精鋭の固まっているところに火を放ち、敵が脱出する所を狙った。
美咲「無闇に侵攻してきた報いを受けてもらうよ!!」
精鋭「女がしゃしゃり出てんじゃねぇ!!!」
軽く刀を弾かれた。
オレ「羽音、亡霊を十人ほど頼む」
羽音「了解」
亡霊を精鋭の方へ向かわせ、剛斗が敵の背後を狙った。
精鋭「ええい! 小賢しい!!!」
あっという間に亡霊を対処し、剛斗の攻撃も避けた。
戦闘能力はやはり頭一つ抜けている・・
オレ「雷を落とす、皆避けろ!」
精鋭「させねぇよ!!!」
腹に刀を刺された。
オレ「くはっ・・・・」
静かにオレは倒れた。
精鋭「なっ・・・・」
オレとほぼ同時に、精鋭の敵兵も倒れた。
美咲「何!?」
茜「あーごめん・・ぎり間に合わなかったみたい」
清次「久遠さん!!!」
将英班が駆け寄ってきた。
オレ「どうして・・お前たちが・・」
清次「細かい話は後だ!! 神楽!!!」
神楽「はい!! 私がずっと手を当てておきますので、刀を抜いてください!」
茜「私がやる」
茜が躊躇いなく刀を抜いた。
オレ「うっ・・・・」
清次「傷口は?」
神楽「塞がりました。立てますか? 久遠さん」
オレ「ああ・・ありがとう。こいつ、頭に矢が刺さってるけど・・」
茜「私が射た」
美咲「そんなあっさり・・」
茜「私より弓が上手い人はこの戦場にいない。敵の強いやつを教えて、ここから全員殺すからさ」
羽音「その前に、信雄さんが・・」
了斎「信雄が?」
オレ「負傷して翔斗が手当をしている。神楽、治してやってくれ」
神楽「承知しました」
美咲「茜、こっちおいで。精鋭の敵兵を教えるから」
茜「はいよ」
オレ「それで・・どうして将英班がここに来た?」
将英「坂本軍の根城がもぬけの殻だった。おそらく坂本軍兵士は尾田軍か栗斗軍のもとへ派遣されていると思い、ここまで増援にやってきた」
オレ「そうか・・なぜ栗斗軍ではなくこっちを選んだ?」
清次「尾田軍を中心に同盟が結ばれたんだろ? ここに来る方が自然だと思ったんだ」
オレ「そうか。とりあえず、城はもうすぐ焼けて朽ちる。出てきた兵士を袋叩きにするぞ」
清次「楽しそうだな。よし、お前らやるぞ!!!」
濃霧衆の忍たちが頷いた。
武士と違って声は上げないんだな・・
信雄「助かりました・・」
背中に刺された刀は問題なく抜かれていた。
オレ「無事だったか、よかった・・」
蒼月「茜殿は・・」
茜と美咲のところへ行くと、茜がちょうど一人目の精鋭を狙っているところだった。
茜「多分これであいつは死ぬ」
矢を放ったが、敵は軽くのけぞって避けた。
オレ「は!?」
敵がこちらを見て歩いてきた。
清次「なんか危なそうだなあいつ・・」
精鋭「さっき僕を狙ったのはどなた?」
まっすぐな目で聞いてきた。
茜「私だけど、何?」
精鋭「すごい! この距離で歩いている最中の僕にぴったり当てられるなんて・・」
清次「騙されるな、こいつ、話している途中で急にやってくるぞ!」
清次が敵の足元に針を出した。
精鋭「そう焦るなって!」
清次の首元に刃を当てて言った。
いつの間に近づいた!?
清次「なっ・・!?」
春日「危ない!」
精鋭の体を鋼糸で引っ張った。
精鋭「だから焦らないでくれって!!」
鋼糸を切って脱出した。
精鋭「まず自己紹介からさせてもらうよ。僕は坂本軍幹部、友誠だ」
やはり坂本軍はこちらに来ていたか・・
将英「まぁ、そんなもんだろうと思っていたさ」
将英が刃先を友誠に向けた。
将英「オレは将英、元々お前を殺す予定だった男だ」
友誠「うーん・・確かに強そうだけど、勝ち負けはやってみなきゃわからないでしょ」
将英「じゃあ、やるか?」
一騎打ちか?
友誠「・・わかった。一対一でやり合おう」
二人の剣戟が始まった。
清次「なんか・・バレねぇように加勢したいな」
オレ「卑怯だな清次は・・」
信雄「一人に使っていられる時間は多くありません、終わらせましょう」
信雄が友誠の足元から木を生やした。
友誠「ぐはっ!!!」
友誠が木の勢いで打ち上げられた。
将英「は・・・・?」
清次「とどめをさせ!」
将英「了解」
落ちた衝撃で動けない友誠を斬った。
春日「信雄がいたら誰にでも勝てそうじゃない?」
信雄「今のは偶然です。全員に有効な術ではありません」
茜「とりあえず、十人くらいは殺したけど・・他の幹部はどこ?」
オレ「分からない・・見当たらない」
清次「そんなわけ無いだろ、この戦場にいるはず・・」
剛斗「後ろぉぉぉぉ!!!」
オレ「はっ! おらぁぁぁぁあ!!!」」
背後からの攻撃を避け、敵の腹を蹴り飛ばした。
?「くっ・・かっ!!」
敵が吐血した。
いつの間に背後を取られたかは分からんが・・絶対に殺す!




